矛盾をはらむ仏;イランの核エネルギーを懸念し、イスラエルの核兵器には沈黙
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ジャン=ノエル・バロ仏外相
イールヴァ―二―・イラン国連大使が国連安保理に宛てた書簡において、「我が国が核兵器開発に取り組んでいるというフランス外相の主張は完全な事実無根で無責任だ」と語りました。
イールヴァーニー大使は29日火曜夜、安保理の現議長国およびアントニオ・グテーレス国連事務総長に送った書簡の中で、イランが核兵器開発の「寸前」にある、とするフランス外相の主張を否定しました。
【Parstodayイラン国際】イールヴァーニー・イラン国連大使はこの書簡において「我が国は核兵器の獲得を求めたことは一度もなく、その防衛方針も変更していない」と述べています。
フランス外相の発言に関して、イールヴァーニー大使が安保理に送った書簡の本文は以下のとおりです;
慈悲深く慈愛あまねき神の御名において
我が合法政府の指示に従い、2025年4月28日の国連安全保障理事会の非公開会合におけるフランスのジャン=ノエル・バロー外務大臣の発言について、ここに貴殿の注意を喚起する次第である。
フランス外相は演説の中で、イラン・イスラム共和国の平和目的による核開発計画について、事実無根の政治的な動機に基づく主張を提起した。その中には「イランは核兵器開発の寸前にある」という根拠のない主張も含まれている。
こうした疑惑提起は、根本的な誤解の結果、もしくは国際法に基づくイランの法的権利を意図的に歪曲した結果のいずれかである。このような発言は、場合によっての事実の解釈変更を反映したものであり、安保理の常任理事国として特別な責任を担う国による継続的な二重基準の実例でもある。この点に関し、貴殿と安保理の構成国に対し、以下の点を伝達する;
1. イランが核兵器開発に「近づいている」という主張は全くの事実無根であり、政治的見解からして無責任である。わが国は核兵器の獲得を求めた歴は一度もなく、その防衛方針も変更していない。イランは核兵器を含むあらゆる大量破壊兵器を断固として拒否する。
イランはNPT核兵器不拡散条約の創設メンバー国として、今後も引き続き同条約に基づく義務を遵守していく。IAEA国際原子力機関は、イランの核計画の平和的性質を継続的に監視し、検証している。また同機関の報告書は、核物質が平和目的医以外の目的に転用された事実がないことを一貫して認めている。
2. JCPOA包括的共同行動計画(通称;対イラン核合意)は、安保理決議2231(2015年)の採択により全会一致で承認された歴史的な多国間による成果であった。この合意の崩壊はイランの行動によるものではなく、米国の違法かつ無謀な離脱、及び欧州トロイカたるイギリス、フランス、ドイツが経済的義務を履行できなかったことの結果として発生したものである。
これに対し、イランは1年以上にわたり相手側に猶予を与えその行動を待つという戦略的方針を採用し、その後、JCPOA第26条および第36条に従って、段階的に自らの義務を削減および停止した。これらの措置は完全に透明かつ、適切なものであった。
3. イラン経済に「壊滅的な影響」を与えるであろう制裁を再び課すというフランス外相の公然たる脅迫は、政治・経済的強制を用いた明確な実例である。経済面での脅迫や強制という手段の行使は全く容認できず、国連憲章の原則への公然たる違反となる。
さらに、フランスが自らの義務を履行していないにもかかわらず、いわゆるトリガーメカニズム(イランが核開発を再開した場合、自動的に制裁が強化されるといった仕組み)の発動を示唆し脅迫していることは、国際法の基本原則、つまり義務に違反した当事者が合意から生じる権利を主張することを防ぐ原則に反する。このような行動は法的にも手段的にも歪曲的で受け入れがたく、無効であり、安保理の信頼性を損ないかねない。
4. フランスはイランの平和的核開発計画をめぐり核拡散のリスクについて懸念を表明しているが、核拡散防止の分野におけるフランスの信頼性はこれまでの実績によって著しく損なわれている。
フランスは核兵器の拡大と近代化を続け、非核保有国への無条件のNSAs消極的安全保障の付与を拒否し、シオニスト政権イスラエルの未申告の核兵器計画については沈黙を守り共謀しており、NPT核不拡散条約第6条に基づく軍縮義務を未だ履行していない。
5. イラン・イスラム共和国は、外交と建設的な交流協力への約束順守を改めて強調する。しかし、脅迫と圧力に満ちた雰囲気の中では真の外交は推進できない。フランスとそのパートナーが真に外交的解決を求めるのであれば、脅迫を止め、国際法の下で各国の国家主権を尊重すべきである。