イランと印が関係拡大を強調;「制裁は二国間貿易の最大の障害」
(last modified Sat, 10 May 2025 05:17:58 GMT )
May 10, 2025 14:17 Asia/Tokyo
  • イラン外相:「制裁は我が国と印の経済関係向上にとって最大の障害」
    イラン外相:「制裁は我が国と印の経済関係向上にとって最大の障害」

イランとインドの当局者らが両国の外交関係樹立75周年を前に、第20回経済合同委員会会合において既存の諸問題に関係なく相互協力を拡大していくことを強調しました。

イランのセイイェド・アッバース・アラーグチー外相はインド政府高官との会談および、二国間問題や地域・国際情勢についての協議を目的に、外交使節団を率いてインド首都ニューデリー入りしています。

 

制裁;経済関係路線における障壁

アラーグチー外相はイランとインドによる「合同委員会」の第20回会合で両国の歴史的な関係に言及し、「イランとインドとの関係は常に相互尊重と共通の利益に基づいてきたが、米国の圧政的な制裁が原因で両国間の経済交流の水準は向上していない」と述べています。また、「イランとインドの経済問題が両国の尽力により近い将来解決されるよう希望する」と表明しました。これに対し、インドのジャイシャンカル外相も二国間協力の最近の発展に触れ、「我が国の政府はイランとの新たな協力の機会を見出す用意がある」と発表しています。

 

イラン南東部チャーバハール港湾;インドと共通する優先事項

アラーグチー外相はさらに、「我が国とインドの主要な優先課題の1つは、イラン南部チャーバハール港湾協力協定の履行である」とし、この港湾が持つ既存能力の活用を求めました。またインド外相に対し、「チャーバハールはより広範な協力のモデルとなり得る」と述べています。これに対しジャイシャンカル・インド外相もこのプロジェクトの重要性を強調するとともに、両国がこの協定の各項目の履行に向け努力していくと発表しました。

 

イランは印・パ緊張を懸念

さらにこの合同会合でアラーグチー外相は、インドとパキスタン間の最近の緊張に言及し、南アジアの安定の重要性を強調するとともに、「我が国として、印・パ両国当局者の先見の明により、こうした緊張が早急に緩和されるよう願っている」と述べました。これに対しジャイシャンカル外相も、パキスタンとの係争地・カシミール地方にあるテロ拠点に対するインド側の最近の攻撃を「相応の対応」だとし、「インドは緊張を扇動するつもりはないが、いかなる攻撃にも断固として対処する」と語っています。

 

インド高官との会談

アラーグチー外相はこの訪印でさらに、同国のドラウパディ・ムルム大統領とも会談しました。両者はこの会談で、BRICS新興経済国グループやSCO上海協力機構などの国際組織の枠組み内における多国間協力拡大の必要性を強調しています。

 

アラーグチー・イラン外相とムルム・インド大統領


2つの協力文書が調印

アラーグチー外相の訪印の終盤で、両国の代表者の間で税関と食品・医薬品衛生の分野における2つの協力文書が調印されました。これらの文書は、イラン・インド間の貿易交流の促進および、技術協力の改善において重要な足掛かりとなりうるものです。

 

両国関係の展望;機会と課題

イランとインドは制裁にもかかわらずエネルギー、輸送、医療の分野で協力する大きな可能性を秘めています。イラン南東部チャーバハール港湾に関する合意や多国間組織における協力は、二国間関係の変革への道を開きうるものです。しかし、これらの目標達成には制裁問題を解決し、地域の緊張を緩和することが重要な要素となると言えるでしょう。

 

 


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