米国と欧州3カ国がカイロ協定を破棄した方法とは?
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アラーグチー・イラン外相(右)、アブデルアティ・エジプト外相(中央)、グロッシIAEA事務局長(左)
アラーグチー・イラン外相が「X」に「『エジプト・カイロ合意』(エジプトの仲介によるIAEA国際原子力機関との協力再開合意)は米国と欧州3カ国・英独仏によって破棄された」と投稿しました。
【ParsTodayイラン国際】アラーグチー外相は「X」上の自身のアカウントに以下のように書き込んでいます;
「去る6月にシオニスト政権イスラエルと米国によって外交が攻撃されたのと同様に、『カイロ合意』も米国と英独仏によって破壊された。
我々をこの段階に導いた、不快かつ破廉恥な過程は以下のとおりである;
米国との第6回核交渉を目前に控えていた矢先、突如イスラエル、そして米国がイランを攻撃した。その後、イランが自国内の核施設を攻撃されたにもかかわらず、エジプト首都カイロで同国の仲介により、IAEAとの査察再開協定に署名した時期、米国の圧力を受けた欧州3カ国は、イラン国民に対する国連安保理の制裁の発動に走った。
イランがIAEA査察官のため、去る6月と7月の攻撃で爆撃されなかった核施設から立ち入り・査察の準備を始めていた際、米国と欧州3カ国はIAEA理事会においてイランを非難すべく連携した。今や万人にとって明らかなことは、新たな危機を生み出そうとしているのはイランではないということである。相手方は、我々の善意を理解していない。欧州3カ国と米国は緊張を扇動しようとしており、カイロ合意の正式な終了は自らの挑発行為の直接的な結果であることを十分承知している」
「カイロ合意は米国といわゆる欧州トロイカ(ドイツ、フランス、英国)によって破棄された」とアラーグチー外相が強調したことは、米国とイランの間接交渉からカイロ合意の締結に至るまでの最近の対イラン折衝における西側諸国の真の目的が、イランの核問題の平和的解決ではなく、主に欺瞞手段を用いてイランに圧力をかけ、IAEAの査察官を通じてイランの核施設の被害状況に関する正確な情報の提供を迫ることであった、という厳しい現実を暴露するものです。
この点に関しては、イスラエルとアメリカの共同でのイラン侵攻後、IAEA査察官にイランの核施設へのアクセスを許可することを目的としたカイロ合意が締結されたにもかかわらず(もちろん、2025年6月の攻撃では爆撃されなかった施設が対象)、米英独仏は依然として対イラン圧力行使から手を引かず、協力して最近のIAEA理事会会議で決議案を提出し、イラン非難の土壌を作った形となりました。
「カイロ合意」は、イランの核施設に対するイスラエルとアメリカの攻撃後、エジプトの仲介およびイランとIAEAの協力を得て成立したものです。この合意の主な目的は、査察の再開と相互信頼の構築を通じて、核交渉への道を再び開くことでした。しかし、米国と英独仏は政治的圧力、新たな制裁、そして合意の履行プロセスに対する不信感の扇動により、「カイロ合意」を事実上無効化し、その目標の実現を阻んでいます。
米国と英独仏による合意破壊の経緯と方法
1. 外交への最初の攻撃:米・イラン第6回交渉開始前にまずイスラエルが、次いで米国がイランを攻撃しました。この行動は外交雰囲気緊迫化させ、不信感を生み出しました。
2. 欧州の後押し:カイロでの合意調印後、欧州3カ国(ドイツ、フランス、イギリス)は米国の破壊的なアプローチに追随し、合意を実質的に支持せず、対イラン制裁復活を可能にする仕組み・スナップバックを発動して対イラン安保理制裁行使に持ち込もうと画策しました。
3. 合意の履行の軽視:イランがIAEA査察官のアクセスを許可し始めた一方で、米国と欧州は新たな制裁と政治的計画によってカイロ合意の履行を事実上無効化しました。
4. 不信感の創出:査察は攻撃で爆撃されなかった場所から開始される予定でしが、同時に米国と欧州は政治的プロパガンダを通じてイランの透明性の欠如を非難しました。この矛盾により、カイロ合意は内部から弱体化した格好となっています。
5. 外交ルートの阻害:結局、継続的な圧力と制裁により、カイロ合意は事実上無効となり、アラーグチー外相によれば「殺された」のであり、即ちその存在と実施の継続はもはや不可能となりました。
米英独仏の行動の結果
- 不信感の高まり:イランは、西側諸国が協力し合意に署名したにもかかわらず、約束を守っていないことを認識しました。これにより、将来の交渉への信頼が低下しました。
- 緊張の高まり:カイロ合意の失敗により、地域・国際社会の雰囲気は再び対立および危機へと向かう形となっています。
‐組織機関の役割の弱体化:信頼構築の中心となるはずだったIAEAは、米国と欧州からの政治的圧力により信頼性を喪失しました。
- 西側諸国による外交上の日和見主義:カイロ合意は緊張緩和と交渉のテーブルへの復帰への道を開く可能性があったものの、西側諸国の妨害により失敗したことで外交への道は閉ざされ、さらなる紛争の可能性が高まりました。
最終的に、米国と欧州3カ国は政治的圧力、新たな制裁、メディアによるプロパガンダ、そして合意履行の軽視といった手段を使ってカイロ合意を事実上破壊しました。このプロセスは、重要な合意を破壊しただけでなく、信頼関係、地域の安定、そして核交渉の将来に広範な影響を及ぼした形となっています。

