アメリカでのイラン制裁法の10年延長
(last modified Fri, 02 Dec 2016 10:42:29 GMT )
12月 02, 2016 19:42 Asia/Tokyo
  • アメリカでのイラン制裁法の10年延長

アメリカ上院が全会一致で、イラン制裁法の10年延長案を可決しました。この法案はアメリカの大統領の署名が必要です。

ミールターヘル解説員

イランの制裁法延長案の可決は、イランに対するアメリカの敵対の新たな表れとみなされています。イランに対するアメリカの一方的な制裁の基盤と見なされるイラン制裁法は、1996年に初めて、イランのエネルギー部門への外国の投資を阻止する目的で可決され、2006年にも延長されています。イラン制裁法は2016年に期限を迎えます。これ以前、アメリカの下院が賛成419、反対1により、この法案を可決していました。こうした中、ホワイトハウスは、この法案の可決に対するオバマ大統領の対応を明らかにしていません。ホワイトハウスのアーネスト報道官は、30日水曜、「オバマ大統領はイランに対する追加制裁の発動に関して権限を持っており、オバマ大統領がそれに署名したとしても、それほど緊急性のない議会の法案に署名するのはこれが初めてのことではない」と語りました。アメリカの上院がイラン制裁法の延長を強く支持したことに注目すると、オバマ大統領がそれに拒否権を行使したとしても、この法案が法律に変わるのを阻止することは出来ないでしょう。特にアメリカ議会は最近、テロ支援者制裁法(JAST)について、オバマ大統領の拒否権行使にもかかわらず、上院で再度3分の2以上の賛成を得て、それを可決しました。アメリカの憲法により、アメリカ大統領によって拒否権が行使されても、上院で3分の2以上が拒否権の無効に票を投じれば、その法案は法律となります。イランと6カ国の核合意後、オバマ大統領はイランの核関連の制裁を停止しました。こうした中、アメリカの議会はこの法案の可決をイランへの圧力の手段を維持するために必要だと見ています。これに関して、共和党のマコーネル上院院内総務は、中東でのイランの影響拡大を阻止するために制裁の維持は必須だと主張しています。さらに、「アメリカの新しい議会と政府が今後、同国の全体政策において反イランの行動をとるよう期待する」と述べています。

イラン制裁法の延長案は、明らかに核合意の実行におけるイランの誠意をアメリカが無視していることを示すものです。イランの最高指導者ハーメネイー師は最近、「制裁法の延長は、新たな制裁の可決と行使を意味し、それは核合意の明らかな違反だ」と表明しました。ハーメネイー師は、イラン制裁法が延長された場合、イランはそれに対して反応を示すだろう、と述べています。

実際アメリカの行動は、彼らがイランへの圧力を継続するための口実を探そうとしていることを示しています。アメリカのヨーロッパの同盟国が認めているように、核合意により、イランの核計画に関する懸念が払拭にされたにもかかわらず、アメリカはミサイル計画、テロ支援の停止、人権問題、シオニスト政権イスラエルへの立場の軟化といった事柄において、イランを自らの要求に従わせようとしています。

当然イランはこうした要求のどれにも従うつもりはなく、核合意の受け入れは単にこれに関する対立の解消に向けた誠意から生じたものです。イランはアメリカが制裁を継続するなど約束違反を続けるなら、平和的核計画に完全に戻る可能性があると強調しています。