週刊イラン
(last modified Tue, 18 Jul 2017 11:31:17 GMT )
7月 18, 2017 20:31 Asia/Tokyo
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この1週間にイランで起こった主な出来事です。 イランの政府高官が、イラクの政府と国民、宗教権威に向け、モスルがISISの占領から完全に解放されたことに祝辞を送りました。 国際警察によるテロとの戦いをテーマにしたワークショップの国際会合が開催されました。 テヘランで、「砂塵の問題と解決策」に関する最初の国際会議が開催されました。 オマーンの政府関係者がテヘランを訪問しました。また、イランとロシアが、核合意とアメリカの約束不履行について話し合いを行いました。 イランのザリーフ外務大臣が、イランと6カ国の核合意から2周年にあたり、アメリカがこの合意を遵守する必要性を強調しました。

ザリーフ外相は、14日金曜、アメリカに到着した際、記者団に対し、「核合意は国際的な合意だ」と語りました。ザリーフ外相は、核合意に対するアメリカの立場について、次のように強調しました。

 

「核合意は、長年に渡る協議の賜物であり、アメリカ政府は、この合意に対する立場を改めるべきだ」

 

ザリーフ外相は、「残念ながら、アメリカは、誤った政策やアプローチにより、イランが相応しい形で核合意の恩恵にあずかれないような状況を作り出している」としました。

 

EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表も、核合意から2周年に際して声明を発表し、「これは、地域と世界全体の安全にとって、歴史的な成果だった」と語りました。モゲリーニ上級代表はまた、この合意を成立させるための数カ国による外交の成功に触れ、「この合意の実施から1年半が経過する中、イランをはじめとするすべての関係国によって、この合意は順調に実施された。IAEA国際原子力機関の6つの報告でも、そのことが示されている」と語りました。

 

モゲリーニ上級代表は、2年前の取り決めに対するすべての関係国の遵守を求め、「EUは、取り決めの維持と実施を決意しており、地域に残っている衝突や未解決の緊張の解決に向けて努力する」と語りました。ドイツ外務省も14日、声明を発表し、すべての関係国による核合意の遵守を求めました。

 

国連のグテーレス事務総長は、核合意から2周年に際し、イランの核合意の遵守を賞賛しました。グテーレス事務総長は声明の中で、核合意を大きな成果と呼び、「この合意は、どれほど複雑な問題も、対話や相互理解、協力によって解決できることを示した」としました。また、「核合意の関係国が常にその取り決めを守ることが、この合意を長期に渡って持続させ、その実施を成功させる上で不可欠だ」と述べました。さらに、国連のすべての加盟国に対し、安保理の決議2231やその他の決定に基づく核合意の実施を支持するよう求めました。

 

2015年7月、長年に渡る協議の末、イランと6カ国の間で核合意が署名されました。この合意は、7月20日に国連安保理決議2231によって承認され、国際的な合意となりました。そして、2016年1月から実施が開始されました。

 

先週、イスラム世界におけるテロ組織ISISの問題が終了に近づきました。イラクにおけるISISとの戦いは、現在、モスルやシリアの戦場におけるISISの最後のバリケードの陥落により、非常に重要な最後の段階に入りました。なぜなら、ISISとその他のテロ組織は、イラクやシリアだけでなく、人類全体にとっての脅威になっていたからです。

 

イランは、すでに、テロと情勢不安を実際に経験しており、テロとの戦いの主張者の支援を受けたテロの犠牲になっています。そのため、この問題の重要性を理解した上で、この数十年、地域の安全確保に努めてきました。イランイスラム革命防衛隊・ゴッツ部隊のソレイマーニー司令官は、テヘランで行われた式典で、ISISが引き起こした問題は、人類の歴史におけるどの問題とも比較できないとし、次のように語りました。

 

「イラクの人々は、この数年、ISISという名の大きな災難に巻き込まれた。ISISは、イラクの統一と領土だけでなく、世界を大きな危険に晒していた」

 

テロリストは、あらゆる場所で暴力を組織的に拡大しています。テロ組織はこれまで何度も、イランを標的にしてきました。イランの反体制派テロ組織、モナーフェギンはそうしたテロ組織の一つであり、彼らによって、これまでに1万7000人の罪のない人々が命を落としています。残念ながら、一部の地域諸国は、干渉的な大国の支援を受け、こうしたテロ組織を支えています。テロ組織は近年、アメリカやサウジアラビアの資金や武器の援助により、地域諸国で多くの犯罪を行ってきました。

 

明らかに、イラクやシリアでの勝利は、戦略的な重要性を有しています。これまでの地域情勢を見ると、特にイラクとシリアの安全や安定は、地域諸国の協力に基づいたものでなければならないことが分かります。しかし残念ながら、一部の国々は、対テロ連合という名のもと、テロと真剣に戦うのではなく、テロリストを支援しています。イギリスの新聞、インディペンデントは、この事実に触れ、次のように記しています。

 

「サウジアラビアはこれまで、国外におけるワッハーブ派の拡大に何十億ドルを投じてきた。その痕跡を今日、シリアのラッカからイギリスのロンドン、マンチェスターで見ることができる」

 

6月7日にテヘランのイマームホメイニー廟と国会関連の建物で起きたISISによるテロ攻撃では、17人が殉教、数十人が負傷しました。この事件もまた、地域のテロリストの支援者の目的を明らかにしました。イランのイスラム革命防衛隊は、6月18日、シリア東部のデリゾールにあるテロリストの司令部、拠点、自爆自動車製造施設に対して地対地中距離ミサイル6発を発射しました。この攻撃で、数人の幹部を含む170人のテロリストが死亡しました。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、このミサイル攻撃の後、革命防衛隊の司令官らと会談し、ミサイル分野におけるこの組織の努力を称賛しました。

 

先週テヘランで、カルカンプロジェクトのワークショップの国際会合が開催されました。この会合は、イランのラフマーニーファズリー内務大臣、アシュタリー警察司令官、国際刑事警察機構のユルゲン・ストック事務総長、その他、30か国の高官が出席して開催されました。2日間にわたるこの会合では、国際警察の能力の統一やテロの資金源への対策といった問題について話し合いが行われました。

 

ここ数年のテロ攻撃は、地域、特に西アジアを大規模な情勢不安に直面させており、この地域は、西側と一部の地域諸国、シオニスト政権イスラエルの支援を受けたテロリストの戦場と化しました。テロとの戦いは、世界レベルで重要性を有しています。なぜなら、西側の主張とは異なり、テロには善いテロも悪いテロもないからです。テロはどのような形であっても、世界の安全を脅かすものです。現在、国際社会は、テロとの戦いがすべての国の協力によって行われるべきだという結論に至っています。

 

テロとの戦いは、国際的な取り組みによって行われなければなりません。明らかに、テロとの戦いには、その思想的な根源を特定し、資金や武器、人材の源を制限する必要があります。イラン代表のナジャフィー氏は、会合で次のように語りました。

 

「いかなる国も、単独でテロと戦うことはできない。その一方で、多くの国が、テロの犠牲になっている。テロは多面的な問題である」

 

これについて、ストック事務総長は、会合の傍らで記者団に対し、次のように語りました。

 

「今日、国際社会は、バーチャル空間と国際的な脅威にさらされており、いかなる国も地域も、単独でこの脅威と戦うことはできない」

 

アシュタリー警察司令官は、次のように語りました。

 

「今日、テロはすべての国にとって国際的な大問題になっている。テロをよいテロと悪いテロに分けることは、世界の安全を脅かす戦略的な過ちである。すべての国が、この悪しき現象と戦うべきである」

 

イランはこれについて、地域諸国の権利に沿った協力という政策によって努力を続け、テロとの戦いへの参加は、国際的な共通の取り決めに基づく包括的なものであるべきだと強調しています。テロ対策に関する国際会合も、このような目的で開催されました。

 

アメリカの政府高官は、今なお、イランに対して新たな挑発行為を追求しており、彼らのイランに対する干渉的な発言も、そのような目的で続けられています。

 

アメリカのマティス国防長官は、先週、ニュースサイト、デイリーコーラーのインタビューで、「イランとアメリカの間で関係が築かれるためには、イランの支配体制が変わる必要がある」と語りました。この発言に対し、イランのデフガーン国防軍需大臣は次のように語りました。

 

「アメリカ国防長官の発言は、すべての国際法規に反する不遜な発言だ。アメリカの国防長官や政権は、他国の国民の問題について決断を下す代わりに、国内の問題の解決を考えた方がよい。そうしなければ、それほど遠くない将来、アメリカの現政権と政治体制は崩壊するだろう」

 

マティス国務長官は、イスラム体制を地域の情勢不安の元凶、脅威であると主張していますが、彼ら自身、民主主義や選挙の全く存在しない地域や世界の政権を支持しています。アメリカは、人権侵害やテロの象徴であり、これは事実です。地域や世界の人々はそのことをよく知っており、アメリカが、パレスチナ、イラク、シリア、イエメンの罪のない人々の殺害に関与していることを何度も目にしてきました。イラン国民もまた、アメリカのイランに対する醜い行動や人道に反する行動を忘れてはいないのです。