週刊イラン
この1週間にイランで起こった主な出来事です。
アメリカが、核合意を巡ってイランに敵対する動きを続けています。
イランとアルメニアの関係を見ていきましょう。
イランとアフガニスタンの関係に関する報告を分析します。
そして、イランの麻薬対策についてお話しします。
アメリカの約束不履行が高まる中、核合意の行方は今なお、世界のメディアにおけるイラン関連の最も重要なニュースとなっています。
「核合意はアメリカ史上最悪の合意であり、いつでも必要だと感じた時に、この合意を終了する」
トランプ大統領はまた、イランに対する新たな制裁についても明らかにしました。
イランのローハーニー大統領は、テレビの生放送で語った際、トランプ大統領の反イランの立場に対し、アメリカのイランへの干渉に触れ、次のように話しました。
「イラン国民は、独裁者の嫌悪すべき言葉に頭を垂れることはない。イランの偉大な国民はこれまで、いかなる勢力に対しても屈服したことはなかったし、今後もそれは変わらない」
ローハーニー大統領はさらに、「トランプ大統領の言葉は、核合意が、彼が選挙戦の時に考えていたものよりも確かなものになっていること、アメリカが現在、イラン国民に対する陰謀や核合意への対抗の中で、いつにも増して孤立していることを示した」と述べました。また、敵に対する防衛力の強化を強調し、「イスラム革命防衛隊は、地域の人々の傍らに立ち、テロに対抗する」と述べました。
ここで、トランプ大統領の反イランの発言に関する、政治問題の専門家のアーベダイーニー氏のお話しをご紹介しましょう。
「トランプ大統領の発言の中に目新しい言葉はなかった。彼の発言は、過去38年の間、繰り返し、アメリカの大統領や関係者がイランに対して行ってきたものだった。この言葉には3つの特徴があった。一つ目は、ペルシャ湾という名称の変更と地理の捻じ曲げだった。とはいえこれ以前にも、それはアメリカの軍事関係者から見られたものであり、それは、彼らがイランの歴史や文明にも反対していることを示している。トランプ大統領の言葉のもう一つの特徴は、歴史の歪曲であった。トランプ大統領の言葉は人質事件から始まり、一部の問題をイランに関連付けたが、歴史を途中から始めるべきではない。なぜトランプ大統領は、アメリカが1953年に我々の国の統治体制を転覆させたこと、あるいは治外法権の時代や情報機関サヴァークに拷問の方法を教えた出来事などから歴史を始めなかったのか。トランプ大統領は演説の中で、イラクとシリアへのイランの支援を批判した。しかしこれは国際関係の枠内で行われている。国連の加盟国である法的な中央政府が、ある国に支援を要請したら、その国はそれを行うことを義務と考える」
イランのザリーフ外相は、アメリカの雑誌ニューヨーカーのインタビューで、イランのミサイル能力や防衛力の維持の必要性を強調しました。ザリーフ外相は、イランの弾道ミサイルは、核兵器を搭載するために設計されていないとし、「イランのミサイル実験は、核合意の精神に反していない。これは単なる防衛のための実験だ」と語りました。
イランはまた、トランプ大統領の発言を受け、声明の中で、「核合意は、一方の離脱によって信用を失うような二国間の合意ではなく、国連安保理決議2231の一部として国際社会に認められている。そのため、国際社会や他の国々は、アメリカの大統領が、この合意を嘲笑するのを許してはならない」としました。イランはこの声明の中で、「イランが最初に核合意から離脱することはないが、イランの利益や権利が核合意の中で守られなければ、すべての取り決めを終わらせ、まったく制限のない中で、平和的な核活動を続けることになる」と強調しました。
ロシアのラブロフ外務大臣も、13日金曜、ザリーフ外相との電話会談で、ロシア政府の核合意の順守を強調し、イランはこの合意の経済的な利益を利用すべきだとしました。
EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表と、ドイツのガブリエル外務大臣も、ザリーフ外相との電話会談で、ヨーロッパの核合意の順守を強調し、「イランは取り決めを完全に守っているため、この合意による経済的な利益を完全に利用できるようにすべきだ」と語りました。モゲリーニ上級代表とガブリエル外相はまた、「イランが核合意の取り決めを守る限り、ヨーロッパもこの取り決めを守りつづける」と強調しました。
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列国議会同盟の会合に出席するためロシアを訪問したイランのラーリージャーニー国会議長は、次のように強調しました。
「アメリカが核合意を離脱すれば、この合意は終わることになる」
明らかに、アメリカがどのような行動をとっても、イランは彼らの行動に適した対応を示す権利があると考えています。
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先週、アルメニアのカラペチャン首相がテヘランを訪問しました。カラペチャン首相は、政治・経済高等使節団を率い、イランの政府高官と会談するため、先週月曜、テヘラン入りしました。カラペチャン首相はテヘラン訪問で、イランの政府高官と、二国間関係や地域問題について話し合いを行いました。この会談と同時に、イランとアルメニアは、3つの協力文書に調印しました。
イランは、近隣諸国との関係拡大を追求しており、この流れの中で、アルメニアはイランの外交政策において、非常に重要な地位を有しています。イランのローハーニー大統領は、カラペチャン首相との会談で、両国の経済・貿易協力の拡大に向け、可能性を最大限に利用するためにさらに努力することが不可欠だとしました。また、地域の安定と平和の必要性を強調し、「それぞれの国の現在の危機や問題の解決は、地域全体の利益になる」と語りました。
イランとアルメニアは、運輸、エネルギー、電力、天然ガス、農業、科学や文化の面で協力を行うことができます。
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イランとアフガニスタンは協力を拡大しています。
イラン外務省のアラーグチー国際法次官と、ラヒームプール・アジア太平洋担当次官、エネルギー省のメイダーニー次官は、先週、外交使節団を率い、アフガニスタンとの合意について追及するため、先週土曜夕方、同国の首都カーブルに入りました。
イランとアフガニスタンは、長期的な協力文書を作成するため、5つの合同委員会を設置しました。この5つの合同委員会の設置は、5月7日のザリーフ外相のカーブル訪問の中で決定されました。イランの代表団の先週のカーブル訪問は、これらの委員会による、最初の合意に至るための話し合いの結果を実施するために行われました。
イラン麻薬対策本部のハーディネジャード副本部長も、先週火曜、カーブルで開催された麻薬対策の地域会合に出席し、この分野でのイランの努力を説明しました。2日間に渡ったアフガニスタンでの麻薬対策会議では、ケシの代替作物の栽培に向けた措置や、麻薬の栽培や生産による環境問題について話し合いが行われました。
欧米諸国は、アフガニスタンの麻薬の最大の市場であり、麻薬の積み荷は、近隣諸国や地域諸国を通過しています。これまで、イランの警察関係者およそ4000人が、麻薬対策の中で殉教しました。大量の麻薬が、アフガニスタンから、東部の国境を経てイランに入っています。