週刊イラン
この1週間の主な出来事です。 イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、最近の暴動について語りました。 アメリカのトランプ大統領が、核合意に関する決定を発表しました。 東シナ海で、イランのタンカーが貨物船と衝突し、炎上する事故が発生しました。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、先週火曜、テヘランで、宗教都市ゴムの数千人の人々を前に演説し、国民の正当な要求を悪用する、敵の陰謀のさまざまな側面について説明しました。
「最近の出来事のトライアングルの一角は、アメリカとシオニストである。彼らが計画を行い、数ヶ月に渡ってこの計画を練ってきた。その計画により、運動が小さな都市から始められ、中心部に広げられることになった」
ハーメネイー師は、さまざまな呼びかけに触れ、次のように語りました。
「これらの呼びかけの中で、“物価高騰の拒否”というスローガンが提起された。このスローガンは、一部の人々を引き込むのに魅力的であり、当初はやはり、一部の人々がこのスローガンに同調した。しかし、人々はスローガンや目的が変わったのを目にするや否や、そこから離れた」
ハーメネイー師は次のように強調しました。
「国民の国民に敵対する動き、イランのイランに敵対する動き、イスラムのイスラムに敵対する動きとの戦いや抵抗は、この40年と同様に続けられるだろう。だが、敵からの敵意によって、体制責任者は国民、特に弱い階層の問題や弱点への注目を怠ることになってはならない」
アメリカ政府は、この数週間、イラン恐怖症を広める戦略を続ける中で、核合意を壊すのと同時に、イランに対する根拠のない主張を広めるプロジェクトにより、イランにおける人権侵害という新たな問題を作り出そうとしました。アメリカ政府は、人権に関する声明を発表する中で、「アメリカ政府は、、最近の情勢不安の中で逮捕、拘束されているイランの数千人の市民の状況を深く懸念している」と主張しました。
アメリカは現在、イランに対する制裁や干渉、敵対的な行動を、イラン国民の権利の支持という隠れ蓑で覆い隠そうとしています。
昨年12月28日から数日間、イランの一部の都市で、人々が集会を開き、スローガンを叫び、破綻した金融機関の預金状況の先行きが不透明なこと、物価の高騰、政府の管理能力の弱さに抗議しました。
この集会の一部が、外国の支援を受けた暴徒らによって暴動に発展しました。
イランの人々は、この数日、多くの都市でデモ行進を行い、公共の財産の破壊における暴徒や敵の新たな陰謀に嫌悪と怒りを示しました。
暴徒やテロリストの痕跡と、アメリカ政府やシオニスト政権イスラエル、サウジアラビアを中心とした地域の反動的な政府の支持が明らかになったことで、今回もまた、外国の目的は、イラン国内の問題を悪用し、革命とイスラム体制にダメージを与えることであったという事実が示されました。EU上級代表のタチ特別顧問はツイッターで次のように記しました。
「イランから戻ったばかりだが、国際メディアは先週のイランの抗議運動を実際とは異なる形で報道した」
タチ顧問は次のように語っています。
「抗議運動は決して、社会全体に広がることはなく、イランは重要な政治的変化と混乱の手前にあるとした国際メディアの報道ほどの規模ではなかった。もしイランの一部都市の情勢不安が他の国で起こっていたならば、西側メディアの報道の仕方も大きく異なっていただろう」
最高指導者のハーメネイー師は、この出来事を分析する中で、この陰謀の内側に潜む側面について触れました。
「作戦と組織化のために、イランの近隣に2つの指令部が結成されていた。一つはバーチャル空間で作戦を導くための指令部であり、二つ目は、暴動を管理するための指令部だった。どちらもアメリカとシオニストによって導かれ、自分たちの勝利を微塵も疑っていなかった」
10年以上もの間、アメリカの政策は常に、イランを脅威に見せることに集中していました。トランプ大統領による核合意の違反は、こうした流れの一部です。IAEA国際原子力機関は、これまで何度も、イランによる核合意の取り決めの遵守を認めていますが、トランプ大統領は、核合意を消滅させようとしています。
トランプ大統領は、ヨーロッパ側に、核合意の修正についてアメリカと合意できなかった場合、アメリカはこの合意から離脱すると示唆しました。トランプ大統領は、12日金曜、声明の中で、次のように語りました。
「核合意に関する私の見解ははっきりと表明した。この合意は我々にとって利益が少ない一方で、イランには多くの利点が与えられている。アメリカは、イランとの核合意の離脱を強く望んでいるが、まだそれを行わない」
トランプ大統領は、核合意に関して4つの条件を提示しました。その条件とは、イランの軍事施設の査察、イランが核兵器の保有に近づくことさえしないとする保障、イランによる信頼醸成のための制限や監視に期限を設けないこと、核兵器計画と長距離ミサイルは切り離せないものであり、イランによるミサイルの製造と実験は厳しい制裁の対象にされる、といった内容が初めてアメリカの法に盛り込まれることです。
明らかにアメリカ政府も核合意の他の参加国と同じように、その取り決めのすべてを履行する義務があり、さまざまな口実でその責務を怠った場合、その結果について完全に責任を取らなければなりません。しかしアメリカは、最終的に、核合意を免れようとしているのです。
こうした中、この目的は、さまざまな障害を考えると、決して簡単には実現されないでしょう。核合意は数カ国による確かな合意であり、国連やIAEAにも認められています。そのため、その分だけ真剣に支持される必要があります。
EUは、12日金曜夜、声明を発表し、EUはイランとの核合意に関するトランプ大統領の決定を検討するだろうと強調し、「第一歩として、核合意に署名したフランス、ドイツ、イギリスとその他のEU諸国は、この声明とその結果に関する共通の評価を調整する」としました。
いずれにせよ、アメリカのイランに敵対する政策の継続と、EUの立場の調整により、核合意の今後のシナリオを考慮し、それに即した新たな政策を採用することが必要になるでしょう。
明らかに、イランは、すべての関係国が核合意の中で相互の取り決めとして定義されている事柄を遵守する限り、核合意の維持を有益だと見なします。しかし、アメリカは核合意に違反し、地域や世界の緊張を深めるような政策を進めています。新たな状況は、間違いなく、長期的にマイナスの影響を及ぼすことになり、それは世界の協力、平和、安定を損なうものになります。
今月6日、中国の東部海岸でイランのタンカーが中国の貨物船と衝突する事故が発生しました。この事故でタンカーが炎上しました。このタンカーには、イラン人30人、バングラデシュ人2人が乗っていました。
事故にあったタンカーのイラン人乗組員の救助活動を行うため、海軍の特別作戦チームが中国に派遣されました。イラン軍の報道官も、中国軍と日本の自衛隊に対し、イラン人乗組員の救助活動のための協力を要請したことを明らかにしました。その後、タンカーが沈没し、32人の死亡が明らかにされました。これを受け、15日月曜は服喪の日と発表されました。