週刊イラン
この1週間の主な出来事です。
アメリカが核合意から離脱しました。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、アメリカと核合意に関して重要な表明を行いました。
核合意に対するヨーロッパの立場やアプローチを分析します。
アメリカの核合意離脱は、先週、イランと世界のメディアで大きく取り上げられました。
アメリカのトランプ大統領は、数ヶ月に及ぶプロパガンダや世論操作の末、核合意の離脱を発表しました。
トランプ大統領は、今月8日、核合意は意味がなかったと主張し、国連からも承認されているこの国際的な合意から、アメリカが離脱する大統領令に署名しました。このアメリカの行動は、どのような目的を持つものであり、イランの政府高官は、これに対してどのような反応を示したのでしょうか?
ハーメネイー師は、イランの教師週間に際し、数千人の大学生や教師を前に、アメリカと核合意について重要な演説を行い、イラン国民の偉大さと栄誉が続いていること、敵の陰謀が実を結んでいないことに触れ、次のように強調しました。
「私はアメリカを信用してはならないと言っていた。これがその結果だ。ヨーロッパ3カ国との協議についても、彼らのことも信用すべきではないと言おう。彼らからは、あらゆる協定に関して真の具体的な保障を得るべきであり、そうでなければ、このような形で歩み続けることは不可能だ」
ハーメネイー師は、トランプ大統領の愚かな発言に触れ、次のように語りました。
「この人物は、10回以上も明らかな嘘をついた上に、イランの国民とイスラム体制を脅迫した。私はイラン国民を代表して、トランプ大統領にこう言いたい。あなたには何もできない」
ハーメネイー師は、アメリカの問題は、感情を抜きにした真剣で重要な問題だとし、次のように語りました。
「アメリカの、転覆を狙う継続的で深い敵対は、私や他の体制責任者に対する敵対ではなく、イスラム体制を選び、その道を進む国民と、イスラム体制全体への敵対である」
ハーメネイー師はこれについて次のように語りました。
「オバマ政権時代にも、彼らは書簡を送り、さまざまな主張を行い、体制の転覆を狙いながら、自分たちの目的はイスラム体制を転覆させることではないと嘘をついていた。その頃、私は体制責任者に対し、核エネルギーは口実であり、この問題に関して我々が譲歩すれば、アメリカは別の口実を設けるだろう。彼らはそうではないと言っていたが、今、私が言っていたことが実際に起こっている」
ハーメネイー師はまた、イランの地域における活動やミサイル能力に関するアメリカの口実に触れ、次のように強調しました。
「もし明日、“これ以上ミサイルを開発しない”、あるいは“ミサイルの射程を制限する”、と我々が宣言すれば、この問題は終わるかもしれないが、必ず、別の問題や口実が提起される。なぜなら彼らの我々に対する敵対は根本的なものであり、アメリカはイスラム体制そのものに反対しているからだ」
ハーメネイー師はさらにこう続けました。
「アメリカは、地域の一部の政府のように、ただ自分たちに従う下僕を望んでいる。だがイスラム体制は、国民と自身の誇りを彼らの前に示しており、この偉大さと栄誉は、彼らにとって耐えがたいものとなっている」
ハーメネイー師はまた、ヨーロッパ3か国との核合意の維持を巡る一部の発言に触れ、次のように語りました。
「私はヨーロッパ3か国も信用していない。彼らを信用すべきではないと言おう。協定を締結するのなら、彼らから具体的な真の保障を得るべきだ。そうしなければ、明日、その協定とも、アメリカが現在したことを、他の形で行うだろう」
EUは、自分たちの政策が、アメリカのそれとは異なるように見せようとしましたが、それは言葉の上だけでなく、行動で示されるべきです。EUのトゥスク大統領は、ツイッターで次のように記しました。
「トランプ大統領の核合意や貿易に関する政策は、EUのアプローチに直面する」
EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表は、トランプ大統領が、アメリカの核合意離脱を発表した後、「EUは、今後も核合意を遵守し、それを維持することを決意している」と強調しました。イギリス、ドイツ、フランスの首脳も、声明を発表し、イランとの核合意の順守を強調しました。
イランのローハーニー大統領は、アメリカの核合意離脱が発表された直後、テレビのインタビューで、イランはこれまで、核合意の取り決めを遵守してきたとし、「それに対し、アメリカはいかなるときも、この合意の取り決めを守ったことはなく、核合意の離脱も予想されたことだった」と語りました。
ローハーニー大統領は、ヨーロッパ諸国、ロシア、中国と協議を行うよう外務省に指示したことを明らかにし、「トランプ大統領の行動は、イランの経済に圧力をかけるための心理戦だ」と語りました。
トランプ大統領の行動は、アメリカ国内の亀裂をも明らかにしました。アメリカのパトリック・リーヒ民主党上院議員は、トランプ大統領の核合意における決定を受け、次のように語りました。
「アメリカ大統領は、イランとの核合意の離脱により、大きな過ちを犯した。彼は選挙戦での危険な公約の一つを実現した。この公約は、アメリカと緊密な同盟国の人々の安全よりも、自分の政策を優先にしたもので、アメリカが合意を破ったのは、残念なことだ」
ニューヨークタイムズは次のように報じました。
「トランプ大統領の行動は、同盟国の間でアメリカを孤立させるだけでなく、核合意を巡るロシアと中国のアメリカとの緊張を明らかにする可能性がある」
アメリカのサンダース上院議員も、ツイッターで、アメリカの真の力は何かを壊すことの中にあるのではないとし、「大統領は我々を、危険な異なる道に置いた」としました。
アメリカのロバート・メネンデス上院議員は、「トランプ大統領は、今回の決定によって、アメリカの国家安全保障を危機にさらし、ヨーロッパの同盟国の根本的な協力を脅かしている」と語りました。さらに、トランプ大統領は、この行いの結果を受け入れるべきであり、計画もなく核合意から離脱することは、大きな過ちだとしました。
1週間前にプロパガンダを展開し、トランプ大統領の過ちの継続を奨励していたシオニスト政権イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ大統領の核合意離脱の決定を称賛しました。サウジアラビアも、シオニスト政権に同調し、誰がこのトランプ大統領の行動に満足し、喜んでいるのかを示しました。
明らかに、数々のシナリオや騒動の目的は、イラン恐怖症を広め、抵抗勢力にダメージを与えることにあります。いずれにせよ、イランの反応や回答は明らかです。核合意の維持に関するイランのレッドラインは、イランの利益が守られる限り超えられることはありません。核合意がその軌道を超えない限り、イランは核合意にとどまります。
イラン国会の議員らは、ハーメネイー師に書簡を送り、「イランの国民と体制責任者は、いかなる状況にあっても、敵が自分たちの不当な要求をイランに押し付けるのを許してはならない」と強調しました。
2月10日、シリア空軍が、ゴラン高原で、シオニスト政権イスラエルのF16戦闘機を撃墜しました。しかし、シオニスト政権は、2月10日のシリアに対する空爆は、イランの無人機が領空に侵入したためのものだったと主張しています。
イランのホシュルー国連大使は、先週金曜、国連のグテーレス事務総長に書簡を送り、2月10日の出来事について記しました。ホシュルー大使はこの書簡の中で、「シオニスト政権の主張に反し、無人機は武装しておらず、攻撃のために派遣されたものでも、衝突を意図したものでもなかった」としました。
ホシュルー大使は、「イランは国連憲章に基づき、国防の権利があるものと見なし、国連安保理に対しても、侵略行為を非難し、シオニスト政権に対して、地域の安全と平和を脅かす行動を煽る、危険な挑発行為を停止するよう求め、その責務を果たすよう要請する」と強調しました。
この他の今週の出来事には、イランとオマーンの防衛委員会の会合の開催、ジョージアの第一副首相のテヘラン訪問、ロシア外務次官とイラン外務次官による、核合意に関するテヘランでの会合などがありました。