週刊イラン
(last modified Tue, 22 May 2018 11:29:56 GMT )
May 22, 2018 20:29 Asia/Tokyo

この1週間にイランで起こった主な出来事です。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、パレスチナ問題に関して演説を行いました。

シオニスト政権イスラエルによるパレスチナでの最近の犯罪について、イランが立場を表明しました。

核合意の維持におけるEUの役割について分析します。

西アジアで初の細胞性医薬品の製造工場が稼動を開始しました。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、コーラン朗誦会の参加者を前に演説し、イスラム共同体に現在、不可欠なのは、コーランに親しみ、その指示を実践することだとしました。

 

「パレスチナの遺憾な状況やシオニスト政権の特にこの数日の犯罪など、イスラム世界の現在の問題は、イスラム共同体がコーランから離れていることの結果である。ベイトルモガッダスはパレスチナの首都であり、神の恩寵により、パレスチナは敵の手から解放されるだろう。アメリカとその追従者は、神の掟と真実に対して何もできない」

 

 

ハーメネイー師は、イスラム共同体、イスラム諸国、イスラム政府は、この犯罪に立場を表明すべきだと強調し、次のように語りました。

 

「コーランは我々に、宗教の敵や不信心者に対して厳しく接し、仲間たちには優しくするよう教えている。しかし現在、コーランから遠ざかっているために、イスラム世界では、イスラム教徒が互いに争い、対立し、不信心者に屈服する姿が見られている」

 

 

シオニストの占領や犯罪は、先週、アメリカ大使館のベイトルモガッダスへの移転により、新たな段階に入りました。このアメリカ大使館の移転は、2017年12月21日に国連総会が、ベイトルモガッダスを支持する決議を採択した中で実行されました。この決議により、国連はベイトルモガッダスをシオニスト政権の正式な首都として認めませんでした。

 

しかしアメリカは、パレスチナに関する国連の決議を無視し、1967年にイスラエルに占領されたものの、パレスチナの分かつことのできない領土の一部であり、イスラムの3大聖地の一つでもあるベイトルモガッダスを、イスラエルのものとして承認しています。このような行動は、パレスチナ人の大きなデモや抗議を呼びました。しかし、イスラエルはこの抗議に武力で応じ、この衝突により、パレスチナ人の若者60人以上が殉教し、3000人近くが負傷しました。

 

先週、テヘランで、イスラム諸国議会同盟パレスチナ委員会の緊急会合が開催されたのに合わせ、パレスチナ問題、特にアメリカ大使館のベイトルモガッダス移転を巡る最新の状況に対応するためのイランの努力が行われました。イランのローハーニー大統領は、OICイスラム協力機構の首脳会議に出席するため、トルコのイスタンブールを訪れました。

 

ローハーニー大統領は、先週金曜夜、パレスチナの最近の状況に関するOIC首脳会議で、国連に対し、アメリカ大使館のベイトルモガッダス移転というアメリカ政府の違法な決定と、シオニスト政権のパレスチナ人に対する最近の犯罪について話し合うため、国連総会の特別会合を開催することを提案しました。

 

ローハーニー大統領

 

ローハーニー大統領はまた、アメリカの違法な決定に対処する方法を探るため、OIC加盟国の政治、経済、法に関する専門家による専門家チームを結成し、アメリカ政府とシオニスト政権に対して、政治、経済、貿易に関する措置を講じるよう求めました。

 

ローハーニー大統領は、シオニスト政権の核兵器は、世界の安全と平和、特に西アジアの安全と平和にとって深刻な脅威だとし、「イランが繰り返し提唱してきた中東の非核化は、イスラム諸国の最優先の取り組みとなるべきだ」と語りました。

 

イランのホシュルー国連大使は、ニューヨークの国連本部で開催されたOIC加盟国の代表や大使による会合で、「イランは、パレスチナ人との連帯を表明すると共に、自由、独立、ベイトルモガッダスを首都としたパレスチナ国家の樹立を求める彼らの合法的な闘争を支持する」と語りました。イランのヴェラーヤティ最高指導者国際担当顧問は次のように語っています。

 

「アメリカ政府は常に、世界の平和維持の指導者であることを主張し、トランプ大統領は、挑発的で利己的な行動によって、アメリカ大使館のベイトルモガッダスへの移転、核合意からの離脱、イスラム諸国を弱めるための一部の地域諸国の扇動、国際的な取り決めや合意への数々の違反により、地域だけでなく、世界の緊張を高め、平和と安定を崩す方向にのみ、向かっている」

 

イランのヴェラーヤティ最高指導者国際担当顧問

 

アメリカは、パレスチナを支持する決議を無視しただけでなく、核合意とイランに対する非合法な制裁の解除を認めた国連安保理決議2231にも違反しています。イランのザリーフ外務大臣は先週、国連のグテーレス事務総長に書簡を送り、このことを強調すると共に、アメリカの核合意への違反は、崩壊した一極主義の時代に逆戻りするものだとしました。

 

ザリーフ外相は、先週、核合意の他の国々と会談するため、まず中国を訪問し、その後モスクワで、核合意の今後についてロシアの関係者と会談しました。さらに、ブリュッセルを訪れ、ドイツ、イギリス、フランスの外相、および、EUの上級代表と会談しました。

 

イランのザリーフ外相と、ドイツ、イギリス、フランスの3カ国の外相、および、EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表は、ベルギーでの会合の後、声明の中で、イランとの経済関係の維持、イランの石油、天然ガス、石油化学製品の売却の継続、イランへの投資の拡大、EUの経済活動家への支援、透明な雰囲気作りといった問題を強調しました。

 

一部のアナリストは、ヨーロッパ3カ国の立場を評価する中で、「ヨーロッパは、核合意の経済的な要素を維持するために努力する用意があるが、その抵抗がどれほどの代償をともなうのかは、ヨーロッパにとって深刻な問題であり、核合意におけるヨーロッパの役割の継続は、この問題に大きく関わっている」としています。

 

こうした中、これらの会談が長期にわたることはなく、核合意の今後については、早急に明らかにする必要があります。イランは、これらの契約の実施を続ける条件として、核合意による経済的な利益が保障され、イラン側の要求が実現されることを挙げています。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、最近、教師週間に際して行った表明の中で、アメリカと核合意について重要な演説を行い、イラン国民の偉大さと誇りの継続、敵の陰謀の失敗に触れ、次のように強調しました。

 

「これまで何度も、アメリカを信用してはならないと言ってきた。これがその結果だ。ヨーロッパ3カ国との協議についても、彼らのことも信用すべきではないと言おう。あらゆる契約に関しては、真の具体的な保障を得るべきであり、そうでなければ、このような形で動き続けることはできない」

 

先週、西アジア初の細胞性医薬品の製造工場が、イラン第一副大統領と保険医療教育大臣の立会いのもと、稼動を開始しました。細胞性医薬品を開発する技術を保有するのは、アメリカや日本などの限られた国のみでした。この工場の生産品は、変形膝関節症や皮膚病などの治療に応用されます。

 

イランのガーズィーザーデハーシェミー保健医療教育大臣は、イランは幹細胞の分野で、世界15位、地域ではトップに立っているとし、「いかなる国の国民も、迷いや失望の中で発展することはできない」と語りました。

 

ハーメネイー師は先週土曜、国際学術会議の出席者と会談し、西側の大国のイスラム諸国に対する理不尽な要求と、多くのイスラム諸国による追従に触れ、次のように強調しました。

 

「このような状況は、イスラム諸国の科学的な発展によって変更されるべきだ。イスラム世界は再び、人類文明の頂点に立ち、イスラムの敵やアメリカが、イスラム諸国の首脳に指示を出したりできないようにすべきだ」

 

ハーメネイー師は、イランの学術的な発展はひとつの成功モデルだとし、「我々は、科学や知識の頂点を極めるまで、この道を歩み続ける。イランは西側とは異なり、学術的な成果や発展を、他のイスラム諸国に移転する用意がある」と述べました。

 

イランの誇りの一つは、学術や科学技術の分野で大きな成長を遂げていることです。核エネルギー、ナノテクノロジー、幹細胞、航空宇宙技術、衛星の打ち上げといった分野での活動は、近年の科学技術分野における、イランの成功を示しています。

 

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