週刊イラン(音声)
(last modified Tue, 29 May 2018 11:12:36 GMT )
May 29, 2018 20:12 Asia/Tokyo

今夜も、この1週間にイランで起こった出来事を振り返ってまいりましょう。

今週の主なニュース;

●イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、イランのイスラム体制の原則に対するアメリカの奥深い恒常的な敵対行為の原因について説明しました。

●IAEA国際原子力機関の報告の中で、イランが核合意を遵守していることが承認されました。

 

イスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、体制責任者との会談において、イランのイスラム体制の原則に対するアメリカの根強い根本的な敵対行為の原因について説明しました。

ハーメネイー師の演説の重要なポイントは、アメリカや核合意、ヨーロッパに対する正しい行動、そして国内経済の開発に向かって行動する必要性に絞られています。ハーメネイー師は、これらの点について、イランと西側諸国の関係における教訓的ないくつかの経験にも触れ、また核合意の継続のためにヨーロッパが確約すべき事についても説明しました。

ハーメネイー師は、体制責任者全員の責務として、「国民の権利の擁護と、彼らの問題の解決に向けた努力」を挙げ、イランに対するアメリカの直接的な敵対行為や、内政干渉的な政策を分析する中で、次のように述べました。

「イランのイスラム共和制は、過去40年間にわたりあらゆる場面や、全ての出来事を賢明な措置と堅忍不抜さをもって潜り抜けてきた。そして現在も状況を理にかなった措置と力でもって乗り越え、自らの発展の道を歩み続けていくであろう」

「1979年のイスラム革命の当初から、そしてその全ての場面において、アメリカの体制はイラン国民にとっての基本的な敵であり、政治、経済、安全保障、軍事、プロパガンダといった面での陰謀や全ての手段を利用してきたが、その全ての事例において失敗した」

 

ハーメネイー師はさらに、アメリカの政府関係者の発言の中で「転覆」という言葉が繰り返し使われている事に触れ、「転覆という解釈は、決して真新しいものではなく、アメリカの政府関係者はイスラム革命の当初から、この表現を用いてきた。イランの体制の転覆を追求していないと断言していたそのアメリカ大統領までもが、実は転覆を求めていたのであり、その大統領の目的や目指すところも明確になった」と語りました。

ハーメネイー師はまた、これまでヨーロッパがアメリカに追従してきた経歴にも触れ、この経験も重要な事例であるとして、次のように述べました。

「我々は、根本的にヨーロッパ諸国と争う意向はないが、ヨーロッパの主要な3カ国は、重要な場面でアメリカに同調していることを示した」

 

ハーメネイー師はさらに、アメリカの対イラン制裁の全てにヨーロッパが敢然と対抗することが必要だとし、「全ての人々は、イランが遠くからの防衛をはじめとする自らの力の行使を、決して断念しないということを知っておくべきだ」と語りました。

 また、「ヨーロッパ諸国は、核合意に対するアメリカの違反行為の繰り返しにこれまで対処し切れなかったことを、国連安保理への決議案の提出により償うべきだ」とし、次のように述べています。

「ヨーロッパ3カ国の首脳は、イランのミサイルや地域における活動に関する議論を決して持ち出さないことを確約すべきだ」

 

ハーメネイー師がヨーロッパによる核合意の維持の条件として挙げた、その他の重要なポイントには、イランと取引する政府や民間部門が出入金を行う上でのヨーロッパの銀行の保証、そしてヨーロッパがアメリカの対イラン制裁に公然と対抗することが挙げられます。

 

イラン外務省のアラーグチー政務次官

 

EUは、自らの政策を独立したものとして提示しています。イラン外務省のアラーグチー政務次官は25日金曜、記者団に対し、「イギリス、ドイツ、フランス、中国、ロシアの代表者と、EUのモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は、オーストリア・ウィーンでの核合意合同委員会において、核合意に定められた自らの取り決めを今後引き続き遵守していくという、同一の立場を表明した」と語りました。

「アメリカを除いて、核合意に留まったメンバーは、核合意の存続のためには核合意に定められたイランの要求の確保、そしてイランとの経済協力の正常化が必須であると表明している」

 

もっとも、ヨーロッパの取り決めの履行は、言葉上では証明できるものではありません。ヨーロッパ諸国はあくまでも自らの行動によって、アメリカのトランプ大統領や一部のペルシャ湾岸諸国によるイランに対する誤った吹き込みに乗せられないことを証明する必要があります。今後数週間は、あらゆるレベルでの協議が継続される見込みであり、これらの段階の後にイランが核合意に留まるか否かを決定すると思われます。

イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記は、「ヨーロッパが核合意の取り決めを実施できない、或いは他の事例においてアメリカの核合意離脱を悪用し、イランに圧力を行使してくることがはっきりした場合には、イランは外交政策における現在のアプローチを見直す」と語りました。

 

イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記

 

「IAEA国際原子力機関は、各国の核活動を監視する権利のある唯一の関係機関として、これまでに何度もイランの核計画の平和性を承認している。だが、一方で、民間人に対し核兵器を使用した犯罪歴があり、シオニスト政権イスラエルを核武装させているアメリカにはイランの核計画を云々する資格はない」

 

先週発表されたIAEAの新たな報告では、改めてイランの核活動が核合意に完全に合致したものであることが承認されています。この報告は、核合意の実施後から数えて11回目、そして核合意実施検証に関するIAEA理事会に提出される10回目の報告となります。

 イラン原子力庁のサーレヒー長官も、イランの原子力産業が良好に進展しているとし、イラン原子力庁が様々な分野で核合意以前の状況に戻る用意があることを明らかにしました。また今月22日には、イラン国会教育・技術・研究委員会のメンバーとの会談後、記者団に対し、「イラン原子力産業は、核合意以前にも良好に進展しており、現在もその方式で進められており、さらにピッチを上げている」と述べました。

 

それでは引き続き、アメリカの真の体質に関するイラン最高指導者の表明についてお届けすることにいたしましょう。

アメリカの覇権主義的な本質は、イラン国民にとってこれまでに何度も証明されています。これに関するハーメネイー師の表明は、地域におけるアメリカの悪意のある目的に対する真剣な警告であると考えられるべきでしょう。これについて、ハーメネイー師の表明ではいくつかの重要なキーポイントが強調されており、それらは地域におけるアメリカの長期的な陰謀に対し、賢明さを維持するよう注意喚起しています。ハーメネイー師は、これについて次のように述べています。

「オバマ政権時代でさえも、アメリカはイランのイスラム体制の転覆を狙っていたが、口では自分たちの目的がイスラム体制の転覆ではないなどと虚言を発していた」

過去数年、特に核合意後に行われた数々の協議の実績からは、基本的な問題が核やミサイルの問題ではなく、イランの国民やイスラム体制の原則に対するアメリカの根深い反対や敵対であることが見て取れる。それは、このイスラム体制こそが緊迫した中東地域で威風堂々と存続し、人々の抵抗の精神を高めると共に、イスラムの旗を掲げてアメリカの圧制に反対しているからである。アメリカは、イスラム体制からその力や威力というものを抜き取ろうとしている」

次回もどうぞ、お楽しみに。

 

 

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