週刊イラン
今回も、この1週間にイランで起こった出来事を振り返ってまいりましょう。
今週の主なニュースです。
●イランイスラム革命最高指導者ハーメネイー師が、数百人の学生らと会談しました。
●イランに対するアメリカ政府の敵対的なアプローチが続いています。
●アメリカの裁判所が、2001年9月11日に発生した同時多発テロにイランが関与していたと断定する判決を下しました。
●各大学の数百人の学生らが先週、親密的な雰囲気の中で最高指導者のハーメネイー師と会談しました。
この会談は、親密的で喜びと熱気にあふれる中、3時間にわたって行われ、学生らが結成する学術、文化、政治、社会、技術などの団体の代表者が、最高指導者に対し提案や要求、批判、見解の表明などを行いました。
この会合では、様々な見解や趣向にそった学生らしい見解の表明がなされ、一部の問題に対する学生の側からの批評も行われました。
ハーメネイー師は、今回の学生らとの会合を、信仰心やプライド、意欲のある学生らの潮流が大学に存在する事の表れであるとし、革命やイスラム体制が躍動的なものになるための3つの原則として、革命に沿ったものである事、革命的な状態のまま存続する事、そして、革命に沿うよう行動する事をあげ、これらについて説明ました。
イランのイスラム共和制は、1979年のイスラム革命と、宗教的な価値観にそった理念を基盤として日々前進しており、イランの共和制の真のアイデンティティを物語っています。イスラム革命における革命的な価値観は、世界で近現代に発生したそのほかの革命とは異なり、世代交代とともに決して色あせる事はありませんでした。しかも、イラン国民はこれまで40年近くにわたって、地域における覇権主義やシオニズム、反動分子などの圧力をものともせず、イスラム革命の価値観を守るために抵抗し、戦ってきたのです。この抵抗において重要なことは、物事を成し遂げるための原則は強い意志や信念を持つ事であるということです。
この点についてハーメネイー師は、革命が体制の樹立後は収束するという誤った思想を否定し、次のように述べました。
「革命に基づくイスラム体制は、ある種の目的や理念、価値観を有しており、革命政府の樹立と革命的なイスラム政権の正しい機能、その目指す理念の実現により、革命的なイスラム社会という新しい段階を形成することになる。このプロセスに続いて、革命の完成のうちの5番目の段階、すなわち革命的なイスラム文明の出現の下地が整うはずである。このため、革命は決して終焉に至ることなく、恒常的に継続する」
イランの若者たちは、イスラム革命の全ての段階において、「我々にはできる」という概念を証明し、地域における各種の覇権主義やシオニズム、反動分子による敵対行為や圧力をものともせず、イスラム革命の価値観を守るために戦い、粘り強く抵抗しました。これについて、ハーメネイー師は次のように語っています。
「国家が持つ潜在能力や可能性からして、栄誉あふれる行動は、理想に向かって力強く、急ピッチで継続される必要がある。イスラム体制は、過去40年間にわたりいくつもの理想の実現において発展している。この前向きな動向は、イスラム共和制の本質に定着した堅忍不抜さと情熱の証であり、イランのイスラム共和制の真のアイデンティティを物語っている」
ここ数年の間に地域で発生した一連の出来事は、テロ組織ISISの脅迫という形で、地域の不安定化やイスラム革命のけん制、そしてイスラムの目覚めの潮流の歪曲を目的に勃発しましたが、信心深く決意の固い若者の存在により、最終的に敗北しました。そしてイランのイスラム体制は、テロとの本当の戦いの方法が、数十億ドルもの武器の購買や、地域における西側諸国による偽りの連合の結成ではないことを示したのです。
実際に、青少年や学生は、国家の未来の価値ある資本や後ろ盾であるとともに、将来のイランの立役者に他なりません。児童生徒、学生をはじめとするイランの青少年は、革命に沿った動きのもう1つの舞台である学問の分野でも良好に前進しており、これまでにも世界各地の様々な学術界で数多くの成功を収めています。言うまでもなく、様々な行動における矛盾を解消することで、このような価値ある資本や資源、蓄財したものを、イランの進歩発展のために最高の形で活用できるのです。
アメリカ国務省は先週、「宗教的な自由」と称した2017年度の年間報告において、イランに対する正当な根拠のない疑惑を提示し、言論や信教の自由がないとして、イランを非難しました。この報告では、イランにおける信教の自由の実態が、不当で歪曲された疑惑とともに説明されています。
これまで長年にわたり、イランに対するアメリカの敵対的なアプローチが続いています。アメリカが核合意からの離脱後に各種の圧力を強化したことから、イランへの反対を促す世論操作がなされることは十分予測可能です。イランに対するアメリカのそうしたプロパガンダ攻勢の一部として、イランのイスラム革命の本質や全容、目的から暴力的なイメージを連想させることが挙げられます。これについて、イラン外務省のガーセミー報道官は次のように述べています。
「アメリカ政府は、世界の一部の国における宗教の多様性を、政治的に利用しようとしているが、特にそれらの国での宗教的な状況や人口面での動向をはじめとする、各国の国内情勢を正確、かつ客観的に捉える意向はない」
ガーセミー報道官はまた、イラン国民が豊かな文化や文明を享受しており、数千年前から現在に至るまで、多種多様な民族や宗教の信者らが平和共存してきていることを強調し、次のように述べています。
「イスラム革命の勝利後も、イランの国内各地では憲法に述べられている原則に従い、多数の宗教施設において、それぞれの宗教に基づいた儀式が実施されている。イラン憲法も、こうした宗教面での自由を擁護している」
アメリカ国務省の報告が発表される前に、同国のニューヨークにある連邦地方裁判所も、衝撃的な判決を下し、2001年に発生した9.11テロにイランが関与していたと断定するとともに、イランにこのテロ事件の犠牲者の遺族に対する60億ドルの賠償金の支払いを命じました。ニューヨーク連邦地裁の判事は、1年前にもこれと似たような判決を下し、イランに100億ドルの賠償金の支払いを命じています。
アメリカ国防総省の元戦略アナリスト、マイケル・マルーフ氏は、ファールス通信・英語サービス局とのインタビューで、裁判所に出廷してイランの9.11テロ事件関与疑惑に対する反論証言を行う用意があるとし、この事件がサウジアラビアによるものだったと強調しています。マルーフ氏は、これに関して次のように述べています。
「同時多発テロ事件に関する独立調査委員会(別名9.11委員会)は、この事件へのイランの関与を裏付ける確固たる証拠は存在しないと公言している。そこへもってきて、欠席裁判が行われたのは、自らを弁護すべきイラン側の関係者が出廷していなかったからである」
マルーフ氏は、さらに次のように述べています。
「9.11委員会は、サウジアラビアに関して明白に発言している。サウジアラビア人がいなかったなら、9.11テロは発生しなかっただろうというのが、私の持論である。私の見たところ、この極秘の計画は、アメリカ・ワシントンにあるサウジアラビア大使館の外で、バンダル・ビン・スルタン王子により企てられていたと考えられる。なぜなら、バンダル・ビン・スルタン王子があのテロでのハイジャック犯の家族に、個人用の口座から金銭を支払った事を示す証拠が存在するからだ」
アメリカの学術界や政界の活動家の団体は、イランにとって不利なこの判決に反応し、イランの外務省や検察庁に宛てて書簡を送付し、この判決に抗議するようイラン政府に勧告しました。これらの人々は、イランにとって有利な証言をするために裁判所に出廷する用意があると表明しています。
政治活動家のターレブザーデ氏は、この書簡について触れるとともに、「イランは、アメリカの裁判所の判決に抗議しないという習慣を止めて、政治活動家の参加のもと、9.11テロ事件に対する多数派のメディアの捉え方に疑問を提示すべく、アメリカの裁判所を活用すべきだ」と語っています。
ターレブザーデ氏はまた、9.11事件をアメリカのアキレス腱であるとし、またこの事件にはシオニスト政権イスラエルが関与していたとして、次のように述べています。
「この問題に関しては、証拠資料が存在している。我々は、アメリカ人たちに、彼ら自身でこれについて釈明させる許可を与えるべきだ。9.11委員会も、この事件にイランがまったく関与していなかったと断言している。ニューヨーク連邦裁判所の判事は、一体なぜ2回もイランを有罪とするこのような判決を下したのか?サウジアラビアから金銭を受領していたことは確実であろう」
イラン恐怖症の第1波は、1979年のイスラム革命の勝利と同時に始まりました。それは、イスラム革命の伝播やその本質が恐るべきものだとする吹聴により、特にイランの近隣諸国をはじめとする地域諸国の間でさらに強まりました。第2波は、イラン恐怖症プロジェクトという形で、9.11テロ以降、テロとの戦いという大義名分を利用して始まっています。
現在、イラン恐怖症の3段階目は、イランが平和利用目的での核科学で成功を収めた事を受け、イランのミサイル防衛能力への懸念の吹聴を中心に開始されました。さらに、イラン恐怖症の継続を狙ったアメリカのプロパガンダによる陰謀や名目には、このほかにも人権問題や信教の自由の問題、テロ支援を口実としたデマ報道が挙げられます。
イラン最高指導者のハーメネイー師は、テロとの戦いに関するアメリカの主張を指摘し、次のように述べています。
「アメリカは、テロとの戦いというスローガンを叫ぶ一方で、テロリスト政権であるシオニスト政権イスラエルを公然と支援し、さらにはアメリカのトランプ現大統領も選挙運動で自白しているとおり、アメリカ自身がISISを結成し、それを最後まで支援してきた」
次回もどうぞ、お楽しみに。