週刊イラン
この1週間の主な出来事です。
アメリカのトランプ大統領が、イランと無条件で協議を行う用意があると発言し、イランがそれに反応しました。
イランのザリーフ外務大臣がアジア諸国を訪問し、東南アジア友好協力条約にイランが加盟する文書に調印しました。
イランがシリア情勢に積極的に関わっています。
アメリカのトランプ大統領は、先週、ホワイトハウスでイタリアのコンテ首相との共同記者会見で、イランと話し合う用意があるかとの質問を受け、「イランの政府高官が話し合いたければ、無条件でそれに応じる」と主張しました。
トランプ大統領は、このような主張の一方で、5月8日、イランに対して根拠のない非難を繰り返し、アメリカの核合意からの離脱と核関連の制裁の2段階に及ぶ復活を発表しました。
ザリーフ外相はツイッターで、イランの政府高官との会談に関するトランプ大統領のアピールを受け、「アメリカにできるのは、核合意の離脱と協議停止の責任を感じることだけだ」と語りました。また、アメリカに対し、イランの人々と国際的な取り決めを尊重するよう勧告しました。
ロシアの政治アナリスト、ムスソフ氏は、先週水曜、タス通信の記事の中で、イランを脅迫したトランプ大統領のツイッターに触れ、次のように語りました。
「このツイートは、危機的な状況にあるイランとアメリカの関係に油を注いだ形になった。トランプ大統領は、選挙戦の頃から、核合意は最悪の合意だと主張し、5月8日には、この国際合意から離脱した。アメリカは、今年中にイラン産原油の輸出を完全に停止させ、11月4日までに、イラン産原油の輸出をゼロにしようとしている」
これ以前にも、アメリカ政府は、イランとの対話の用意を繰り返し明らかにしていましたが、アメリカのイランとの対話の目的は、支配にあります。イランのローハーニー大統領が、国連総会に出席するため、アメリカを訪問した際、アメリカ側から何度か、トランプ大統領とローハーニー大統領の会談の要請がありました。
イランイスラム革命防衛隊のジャアファリ総司令官は、イランとの対話の用意に関するトランプ大統領の最近の発言を受け、「イランの人々は、体制責任者が大悪魔と会談するのを許さないだろう」と強調しました。ジャアファリ総司令官はトランプ大統領に向かって、「イランは北朝鮮とは違って、アメリカの要請に肯定的には応じない」と語りました。
政治問題の専門家であるカリンソン氏は、CNNのインタビューで、別の点に触れ、次のように語っています。
「トランプ大統領は、現在の状況の中で、イランの問題を特に取り上げているが、これは、アメリカの世論の注目を、政府内の問題から逸らすためのものだ」
CIAの西アジア問題の元分析官のピラル氏は、“イランに圧力をかければ屈するだろう”とするアメリカの国務長官をはじめとする一部の政治家の考え方は、完全に間違っているとしました。ピラル氏は、ナショナルインタレストの、「ポンペオ長官のイランに対する計画は失敗する」と題する記事の中で、ポンペオ長官のイランに対する要求について、「イランがこの要求に屈することはないだろう」と強調し、次のように記しています。
「ポンペオ長官が提案したのは、12項目の要求だった。これらが実現することはない。核合意は2年に及ぶ協議の末に成立したものだ。それぞれの関係国が、あらゆる圧力の手段を可能な限り、駆使したものだった」
アメリカの政策決定者たちは、圧力行使により、イランが屈服し、アメリカの過剰な要求に従うことになると考えています。このような考え方は、アメリカの歴史や文化に存在するさまざまな要素や、彼らが他国の見解を理解できないことからきています。こうした中、現在の状況の中で、このような考え方に固執することは大きな間違いです。ピラル氏によれば、アメリカは現在、以前に比べて圧力の手段が大幅に少なくなっており、アメリカの核合意離脱により、孤立するのは、イランではなく彼ら自身です。
イランのジャーベリーアンサーリー外相補佐官は、先週月曜、ロシアのソチで開催された、シリア和平協議に出席しました。ソチの会合は、イラン、ロシア、トルコの代表団が出席して開催されました。
政治分野でのイランの積極的な活動は、地域や国際情勢において、イランが影響力を保っていることを物語っています。ソチで開催されたシリア国際和平会議は、シリアの和平の推進において、重要な役割を担っています。この国際会議は、シリアの治安回復を目指し、シリアの停戦を保障するイラン、ロシア、トルコの3カ国の合意を継続する上で良好な機会となっています。
これに基づき、今回のシリア和平協議では、シリア憲法委員会の始動、シリア難民の帰国を円滑化する方法、シリア危機で行方不明になったり、拘束されたりした人々の問題を扱う委員会の新たな会議の開催に関して話し合いが行われました。
ジャーベリーアンサーリー外相補佐官は、「シリアにおけるイランの活動は、シリアの合法的な政府からの直接の要請を受けたものであり、この活動の継続も、両国の政府の合意にかかっている」と語っています。
先週、シンガポールで開催されたASEAN東南アジア諸国連合の外相会議にイランも出席しました。ここからは、この会議についてお話しましょう。
ザリーフ外相は、シンガポールでのASEAN外相会議に出席しました。ザリーフ外相は、この会議の前にスリランカを訪問しました。東南アジア友好協力条約へのイランの加盟が、この訪問の成果のひとつでした。イランはこの文書に調印し、正式にこの条約に加わりました。
東南アジア諸国が、東南アジア友好協力条約へのイランの加盟を受け入れたことは、地域・国際関係において影響力のある重要な国としてのイランとの協力、関係の重要性を物語っています。東南アジア友好協力条約は、1976年2月、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポールによって調印され、現在は30カ国が加盟しています。
アメリカは、核合意からの離脱により、イランを孤立させようと全力を尽くしていますが、誤った道を進んでいます。このような努力によって、イランの可能性が縮小することはありません。アメリカは、現実を受け入れざるを得なくなっています。国際社会は、アメリカの理不尽な要求の代償を支払う意向はありません。