ヒズボッラー新事務局長選出の持つ意味
ナスロッラー師の殉教から1カ月、ヒズボッラーは後任の新事務局長にシェイフ・カーセム・ナイーム師を選出しました。
【ParsToday西アジア】ヒズボッラー前事務局長のナスロッラー師は、先月27日のイスラエル軍による空爆で殉教しました。それから1カ月あまり。ヒズボッラーは新事務局長にナスロッラー師のもとで副事務局長だったシェイフ・カーセム・ナイーム師(70)を昇格させる人事を発表しました。この人事が持つ重要性をいくつか考えてみます。
まず第一に、ナイーム師はヒズボッラーとレバノンの政党「アマル」の双方の設立に携わっていることです。このことはナイーム師がヒズボッラーの体制強化に指導力を発揮する要因になるとみられます。
イランの政治専門家ハサン・エブラーヒーム氏は、ナイーム師が選出されたのはその個人的資質にあるとし、組織運営に長け、強い意志を持つ人物であると評しています。
2点目は、ヒズボッラーがナスロッラー師暗殺という痛手からすでに立ち直っていることです。ナイーム師の選出は、ヒズボッラー内部が継続性と安定性を保ち、以前と変わりなく活動を続けていることを示しています。
3点目は、ヒズボッラーがこれからもイスラエルへの抵抗を続けていくということです。ナイーム師の選出はその路線が継続されることを示すものです。
ナイーム師は30年以上にわたってヒズボッラー副事務局長として仕え、1993年、1996年、2000年、2006年の各戦争を指揮してきました。このことは、ヒズボッラーがナイーム体制下でもナスロッラー師の路線を継承し、抵抗の枢軸において中心的な役割を果たしていくことの表れと言えます。
また、ヒズボッラーはナイーム師を選出することで、イスラエルによる攻撃を恐れず、ジハードと殉教の道をすすんで選び取ることを示しました。イスラエルはそのことに理解が及ばず、抵抗組織の幹部を暗殺することで組織を崩壊させることができると思い込んでいるのです。