ドイツとロシアの核合意支持
5月8日にアメリカが核合意から離脱した中で、その他の関係国は、この重要な合意の維持を強調しています。
現在、イランと核合意を結んだ5カ国は、核合意は地域や世界の安定と安全を維持する上で非常に重要だと考えています。ロシアのプーチン大統領は、ドイツのメルケル首相との共同記者会見で、核合意の維持を強調しました。メルケル首相もこの記者会見で、核合意を支持しました。
これは、アメリカのライバル国であるロシアと、ヨーロッパの重要な国であるドイツによる、核合意維持の意志を示した最新の立場です。ロシアやドイツをはじめとする5カ国は、核合意は、イランの平和的な核活動を監視する上で重要な役割を果たしており、同時に、地域の核競争の拡大や核拡散を阻止し、世界の安全に肯定的な影響を及ぼすと考えています。また、核合意は、イランの核活動に対処する上で軍事攻撃を排除した可能性があります。さらに、数カ国による国際問題の解決に向けた成功モデルとなっています。
明らかに、核合意の崩壊や破棄は、世界の平和と安全に多くのマイナスの影響を及ぼします。そのため、ロシアとドイツは、この数ヶ月、繰り返し、核合意の維持を求めています。このことは、トランプ大統領が核合意の破棄を訴えているにも拘わらず、世界の重要な国々のアプローチは、トランプ大統領の見解とは完全に異なるものであることを示しています。政治専門家のソコルスキーは、次のように語っています。
「アメリカのトランプ大統領は、地域におけるイランとの対立と核合意からの離脱というアプローチの中で、明確な戦略や現実的な目的を有していない」
このように、アメリカが、イランへの圧力を拡大しているにも拘わらず、ヨーロッパは、アメリカの核関連の対イラン制裁の復活の影響を減らすために、さまざまな措置を講じ、核合意の維持を求めています。これらの制裁は2段階に渡って行われ、最初の段階は、8月7日から始まりました。次の段階は、11月に実施されます。
この問題を巡るEUの措置のひとつに、ブロッキング規制の発動があります。これは、イランで法的な貿易活動を行うヨーロッパ企業の利益への制裁の影響を減らすための規制です。この措置は、ヨーロッパとイランの経済・貿易関係の維持をはじめ、核合意を効果的かつ完全に実施することを、ヨーロッパが支持していることを示しています。
アメリカは、EUのこのような措置を重要なこととは捉えていないように振舞っていますが、ロシアもヨーロッパと同じように、核合意の維持を強調しています。
この中で、ロシア外務省は、8月18日、声明を発表し、核合意の完全な実施と維持に向け、必要な措置を講じることを強調すると共に、核合意を推進する上でのロシアの役割を説明しました。
ロシアはこれまで何度も、核合意に対する立場は変わっておらず、この重要な合意の実施を求めるとしてきました。ロシアの見解では、アメリカは、イランとの対立を解消するために別の道を探るべきであり、核合意を危険に晒すことは、その成果を考えると論理的な行動ではありません。ロシアのプーチン大統領は、次のように語りました。
「我々は、核合意が、世界全体、特に中東の核兵器不拡散に貢献する手段だと考えている」
この手段を失うべきでないことは明らかです。ロシアとドイツが同じ立場を取っている中で、トランプ大統領は、世界の重要な国々の核合意維持を支持する見解を無視し、この重要な国際合意を破棄させようとしています。しかし、このような行動により、アメリカはこれまで以上に、世界で孤立しているのです。