視点;米のペルシャ湾領空侵犯に断固たる回答を示したイラン
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米無人機による領空侵犯は、明らかな国際法違反
今月20日午前、アメリカの無人偵察機グローバルホークが、イラン南部ホルモズガーン州のイラン領空を侵犯し、同国イスラム革命防衛隊・対空防衛部隊に撃墜されました。
この問題は、様々な角度から検討することができます。
1.アメリカによる国際法への違反
イラン領空に無人偵察機を派遣したこと自体、挑発行為であり、このことはアメリカがペルシャ湾地域の緊張と情勢不安を高める張本人であることを示しています。さらに、イラン方面に派遣されたアメリカの無人偵察機は、航空宇宙法さえも遵守せず、自己申告装置の電源をすべて切り、ホルモズ海峡区域を秘密裏に飛行してイランの領空を侵犯、情報収集に従事していました。イラン領空の侵犯は国際法や国連憲章への違反に該当します。これに対し、すべての国は自国の陸、海、空の国境を防衛する権利を有し、領空侵犯した無人偵察機を撃墜したイランは、この権利を行使したことになります。さらに、イランはグテーレス国連事務総長に宛てた書簡において、今回の領空侵犯を理由にアメリカを提訴しました。
2.アメリカの政府関係者の嘘
イラン領空内でアメリカの無人偵察機が撃墜された後、アメリカの政府・軍事関係者は問題の無人偵察機グローバルホークが、国際海域の上空でイランに撃墜されたと主張しています。この虚言を成果として鼓舞するために実施された、アメリカ国務省関係者による記者会見は、一部の記者らの抗議に遭遇しました。記者らは、「アメリカは、無人偵察機グローバルホークが国際海域の上空で撃墜されたとする自らの主張を証明するに足る確固とした証拠を有していない」と表明しています。
イランのザリーフ外相は、今回撃墜されたアメリカの無人偵察機の残骸がイラン領海で発見、回収されたことを明らかにしました。
イラン地図作成機関も声明を発表し、同機関の専門家らによる計測や、現在まで入手したデータに基づき、無人機の撃墜場所がイラン領海内であることは間違いなく、これに関する疑いは一切ないと表明しています。
3.防衛力を持つ一方で戦争を追求しないイラン
イランはこれまで何度も、イスラム革命最高指導者ハーメネイー師の表明を含む、政治的最高レベルにおいて、「いずれの国とも戦争する意思はなく、他国に戦争をしかけることはない」と強調してきました。しかし、自国の陸、海、空の国境維持や領土保全は、イランにとって決して妥協できない一線であり、その維持のためには領空侵犯したアメリカ軍用機の撃墜も辞さない、というのが現実です。
これに加え、アメリカの無人偵察機グローバルホークは時価およそ2億ドル、アメリカが誇る最新鋭の偵察機とされています。
アメリカにおける軍用無人機の専門家Ulrike Franke博士は、「イランは世界最大かつ、最も高額な軍用無人機を撃墜した」とし、アメリカはもはや威厳や面目を失ったと表現しました。
4.アメリカ政府内の対イラン決定をめぐる波乱
矛盾や混乱をはらんだアメリカ政府の破壊的な対イラン対外政策は、今回の事件によりさらに混沌としてきました。
アメリカ政府関係者らが、議会上層部も参加させたトランプ大統領を議長とする上級幹部会合を開催した後、一部メディアはトランプ大統領がイランの中枢拠点の一部に対する攻撃命令を出したものの、その実行の直前にこれを撤回したと報じました。アメリカのメディアの多くは、それ以前の数時間、強硬派の筆頭ボルトン大統領補佐官が、ポンペオ国務長官や政府内のそのほかの強硬派らとともに、緊張を助長しようとしたと報じています。
しかし、アメリカの軍事侵略に対するイランの断固たる報復への懸念、そして今回の事件によって、アメリカ政府はより自重した行動を迫られています。
トランプ大統領は20日、「イランは大きな過ちを犯した」とした上で、その後、「おそらく、イランの軍上層部の1人あるいはそれ以外の人物が誤りを犯し、問題の無人機を誤って撃墜したのかもしれない」とも語りました。
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