ドキュメンタリー・イラン
イラン東部シャーフルードにあるバヤズィードバスターミー複合建築群(日本語のナレーション付)
イラン東部セムナーン州のシャーフルード市から5キロ離れたところにある古い町バースタームに、バヤズィードバスターミー複合建築群があります。
バヤズィードバスターミー複合建築群は著名な宗教施設でもあり、バースターム市内に位置しています。この施設には、イスラムの預言者ムハンマドの末裔とされる人物の霊廟のほか、モスクやミナレット、かつてのモンゴル帝国の支配者オルジェイトやガザンハーンの名を冠した境内、玉ねぎ型のドームなどがあります。
この複合建築は、当初はバースターム市への入り口付近に位置していました。この建物の東側にはオルジェイトのポーチと呼ばれるポーチがあり、玄関口は美しい化粧タイルが施されていることで有名です。しかし、このポーチの芸術的な外観や設計上で最も工夫が凝らされているのは、なんといってもその化粧タイルの色彩やそれを使った多様なデザイン、蜂の巣が連なったような形式の美しい持ち送り構造(ムカルナス構造)、さらには細かい彫刻がなされた石膏の浮き彫りだといえるでしょう。
ポーチを通り過ぎたところには、今から1200年近く前のイランの神秘主義者バヤズィード・バスターミーの墓があります。この墓には装飾などは一切施されておらず、物質主義からの完全な乖離という精神が見てとれます。さらに、この敷地内にはモンゴル帝国の支配者ガザンハーンの小さなポーチと華やかなドームがあり、美しい化粧タイルが敷き詰められ、独自のムカルナス構造を施したその壮麗さには思わず目を見張るものがあり、イラン芸術の真骨頂を見事に具現しています。
さらに、このポーチの脇には、ガザンハーンのドームとして有名な建物があります。伝えられるところでは、この建物はモンゴル帝国の為政者ガザンハーンが、神秘主義者バヤズィード・バスターミーのために建設した、とされています。
ほかにも、この複合建築の敷地内には、シーア派6代目イマーム・サーデグの子弟の1人、イマームザーデ・ムハンマドの霊廟もあります。この霊廟の天井や壁には、化粧タイルによる美しい装飾が施されています。
名所旧跡かつ聖地として名高いバスターム市を、観光や巡礼目的で訪れる人々は、この市内にある1軒だけあるホテルを利用できます。また、この町の郷土土産には、地元産の杏や、キリム、ジャージームなどと呼ばれる薄手の敷物などの手工芸品などがお勧めです。そして、この地域を訪れたからには是非、地元産の野草を使った郷土料理をご堪能下さい。
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