視点: チャーバハール港 ルックイースト政策におけるイランの貿易関係の要衝
(last modified Mon, 20 Jul 2020 10:51:52 GMT )
7月 20, 2020 19:51 Asia/Tokyo
  • チャーバハール港
    チャーバハール港

イラン南東部チャーバハールのシャヒード・ベヘシュティ港で、アフガニスタンから最初のトランジット貨物が、中国の天津港に向けて送り出されました。

この貨物はチャーバハール経由でインドのムンドラ港に輸送され、そこでいったん荷揚げされたのち、中国行きの別の船舶に積み込まれます。
イラン、インド、アフガニスタン間の三者合意の一環として、小麦などのアフガニスタンの主要な物資の輸送のため、過去2年間で14隻の専用船舶がチャーバハール港に入港しています。
この港は現在、インド製品をアフガニスタン、さらには中央アジアに送り届けるための一つの重要な交通の要所となっています。
チャーバハール港は、オマーン海とインド洋岸にあるイランで唯一の海港です。

インドは国際南北輸送回廊に参加しており、このルートを通じて、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア諸国の市場とそれら諸国のエネルギー備蓄、さらにはトルコ、ロシア、そして最終的に北ヨーロッパにまでアクセスできるようになります。
インドの統一サービスセンターの上級専門家であるラージーブー・ナラーヤーン氏は、「地政学上でチャーバハールと新たに作り出された状況は、地域を超えて活動する人々をこの回廊に引き付けることになる。ひいては商業圏の新しいブロックの形成につながる可能性を有している」と語っています。
また、アフガニスタンの観点からも、同国がチャーバハール港を経由してオマーン海やインド洋と結ばれることは、経済的に特別な重要性があります。それは、アフガニスタンが内陸国であり、経済成長のためには外洋へのアクセスを必要としていることによります。チャバハールは、世界的に恵まれた地理的条件とアフガニスタンに近接していることから、インドとアフガニスタンのビジネスマンにとって、貿易と投資に最適な場所となっているのです。
そして、より広義には、イランと中国間の包括的長期協力計画で定義された戦略的目標を考えると、チャーバハール港による多国間貿易およびトランジット能力を利用することは重要性が倍増します。
実際、世界経済における中国の立場と一帯一路プロジェクトの枠組みでの中国の動きは、「未来の世界は、商業及び輸送の世界である。 チャーバハール港は、一帯一路の主要ルート上に存在することから、トルコを経由して中国をヨーロッパへとつなぐ」という仮説を証明しています。
したがって、諸国をより近くするための新しい地域協定が策定されている状況下で、この港の地政学的および地域的能力を最大限に活用することは、一つの必須事項ともなっているのです。
特にこの戦略的な港は、中央および南アジアの諸国と結束する能力を有しています。一方、イランはこの地域および世界で最も影響力のある国の1つとなっています。
まさにこの理由から、ルックイースト政策における包括的かつ戦略的な関係を強化するイランのアプローチは、米国に懸念を引き起こしているのです。その理由は、米国が東部同盟の形成を自国の一国主義的政策とは相容れないものと見ていることによります。 と同時に、ロシア、中国、インドなどの諸国の政治的、経済的地位は、これら諸国をイランとの特別な関係を築く上で、影響力を持つ一つの集団に変化させています。
イランもまた、相互協力の枠組みの中で、多国間の地域的および国際的協力の相乗効果にかんがみ、米国の妨害行為にもかかわらず、地域諸国と長期的かつ戦略的な協力を行うことを決意しています。
このことから、中央アジア諸国、アフガニスタン、インドがチャバハール港の潜在能力を最大限に活用することへの関心の高さを考えると、この協力の将来と多国間の戦略関係の強化において、その効果を期待することができるのです。

 

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