視点
核合意とイランに関する米国のダブルスタンダードで相反する対応に対する専門家の考え
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イランと米国の国旗
イランでの追加議定書の自主的実施期限が近づいてきたことから、米国はダブルスタンダードな行動を取ることを余儀なくされています。このため、バイデン米政府は18日木曜、いわゆる自らの善意を示すためにいくつかのパフォーマンス的な措置を講じました。
リチャード・マイルズ(Richard Miles)米国国連臨時大使は、国連安全保障理事会へ宛てた書簡の中で、紛争解決システムの発動とイランに対するすべての国際的制裁の自動的再開に関してトランプ前政権が主張した立場を繰り返しました。
他の措置においては、米国は、緊張緩和のための努力を主張し、トランプ前政権によるニューヨーク市でのイラン外交官に対する非常に厳しい行動制限を緩和すると発表しています。
これとは別に、今月18日には米国のある高官が、「EU欧州連合が米国を招待すれば、米国はイランと協議する準備はあるだろう」と語っています。これ以前にEUの高官は、英国、中国、フランス、ドイツ、ロシア、米国を含む核合意の当事者間でのそのような会合の開催の準備ができていると述べていました。
これらの一見前向きなステップがあるものの、米国は依然としてイランに対し圧力と脅威によるアプローチを続けています。このことから、米国務長官とドイツ、フランス、英国の欧州トロイカはネット会議が終了した18日夜、共同声明を出しその中で、米国の一方的な核合意違反後のイランの法的措置に懸念を表明するとともに、核合意に規定されたこれらの国の責務の不履行には言及することなく、イランに対しさらなる措置、特に「追加議定書の実施の一時停止とイランでのIAEA査察の制限」を講じないよう求めました。これらの国は、何らかの制限を課すことは、イランの原子力施設を査察するIAEA国際原子力機関の査察官にとって「危険」となるだろうと警告したのです。
バイデン大統領は、自身が大統領になれば核合意に復帰すると公約していました。しかし、彼の政権樹立から約1か月経っているものの、米国はこの件に関しては具体的な行動をとっていません。
米国人の専門家ジョセフ・シリンシオーネ(Joseph Cirincione)氏は、バイデン大統領はトランプ氏が失敗したイランへの最大限の圧力キャンペーンを継続させていることを強調し、「バイデン大統領がその方針を修正しないうちは、核関連の重要な合意を失うリスクがある」と述べています。
現在、2月23日に発効予定の「追加議定書の実施の一時停止とイランでのIAEA査察の制限」に関するイランの脅迫実施の期限が近付いていることで、欧米諸国、特に米国は慌てており、米国としては自らのためになるいくつかの譲歩を与えることで、報復措置を取ろうとするイランの決意を弱めようとしています。しかし、18日のバイデン政権の行動は、主にイランへの最大限の圧力政策の失敗とイラン国民の最大の抵抗によるものでした。現在イランに対して足並みをそろえて行動している米国とその欧州の同盟国の期待は、イランの基本的な要求、つまり米国の制裁の完全な解除、その検証、そして核合意の責務履行への復帰、これらを実行することなく、イランに対抗措置の放棄を余儀なくさせることにあります。しかしながら、イランの立場は揺るぎがなく、変更させることは不可能です。イスラム革命最高指導者であるハーメネイー師は最近、「米国が、口先や文書ではなく行動ですべての制裁を解除し、これらの制裁の解除がイランによって確認されれば、イランはその責務に復帰する」と述べました。これはイランの決定的かつ後戻りできない政策であり、すべての当局者の見解がこれで一致し、誰もそれを逸脱することはありません。
しかし米国は、いくつかの部分的なメリットを与えることにより、イランがその核合意の根本的政策から逸脱するだろうとと信じています。しかし、「制裁解除、及びイラン国民の権利の保護のための戦略的措置」法が可決されて以降の数か月に起こったことは、欧米諸国に対し、イランがその根本的な要求とその相互措置に対しては、譲歩も妥協もしないことを示したはずです。
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