視点
選挙の終了ー新大統領の計画や見解に対する様々な捉え方
第13期イラン大統領選挙の開票・集計作業の終了とともに、前司法府長官だったエブラーヒーム・ライースィー氏が、第8代目イラン大統領に選出されました。
イラン内務省選挙本部の発表によりますと、ライースィー氏は今月18日に行われた大統領選で、1800万票近い得票数により当選したということです。
この勝利を受け、選出されたライースィー氏はまた、「この選挙は、すべての国民と国家に使える官吏によって選ばれた宗教的民主主義の原則に基づくものだこの選挙で選ばれた者は宗教的民主主義の原則にもとづけば、全国民によって選ばれた者であり、全共和国の奉仕人である」とし、「この選挙戦に自らの意志で出馬したように、国民からの多くの票と比類なき信頼という助けを得ながら、勤勉で革命精神をくんだ、腐敗と闘う政府をつくる。そして、イスラム革命の行動目標として、正義の拡大へむけて歩んでいくつもりだ」としました。
ライースィー氏は当選確定前のあるインタビューで、今後ともに政府を形成していく同僚らを選ぶための3つの指標的要素として、大衆的で人望が篤く、汚職に対抗し、イスラム革命的な精神をくんでいることをあげるとともに、「人民政府というものがいかなる腐敗も容認せず、政府の行政組織の一切の場にも腐敗が根付くことを許さないことを、全国民諸君には熟知しておいていただきたい」とコメントしていました。
さらに、今回の選挙への出馬宣言でも、政府のすべき業務の筆頭課題政府の優先課題に触れ、次のように述べています。
「国の行政や経済の現状が、革命の価値観や国民の期待、既存の可能性や能力にふさわしいものになっておらず、国民がそれに抗議し不満を抱いていることは明白である。この共通の痛みを癒すために、将来の政府は、国民のためになる行政の根本的改革への深い確信を持っている必要がある。そうすれば、近い将来、不公正や消沈、疎外感に起因する苦しみは、正義の実感という甘美で愛おしいものに変わるだろう」
ライースィー氏はまた、「国民が選挙に望んでいるのは、ある個人や集団が権力の座から下り、別の集団がそれにとってかわって国の権益を身内で分け合うということではない。選挙の結果は、人々の生活に希望と活力を取り戻すという真の『変革』であるべきだ」と語りました。
今後約45日以内に、イラン大統領職の舵取りは、今回国民によって選ばれたこの人物に引き継がれます。
国民に選ばれたこの人物は、国家経済が様々な理由で多大な辛酸をなめている打撃を受けている時期に行政府を引き継ぐことになります。現在の第12期政権末期の最新の統計によりますと、インフレ率は過去最悪記録となる45%に上昇すると見られています。
経済におけるインフレ率は、最も政治的な率指標として知られていますが、それは、国民がこの率の増減を自らの食卓・食生活で感じていることによります。このため、予想されるインフレを下げ、インフレの増長を防ぎ、それを下降傾向に戻すことは、将来の政府が直面する課題の1つです。また、次期政府の経済面でのもう1つの課題は、若者の失業問題、そして教育を受けた専門性のある若者を起用して生産の可能性の下地を整える必要性だとされています。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は19日土曜、今回の選挙にイラン国民が英雄伝となりうる意欲的な参加を果たした事にちなんで、これに謝意を表明するとともに、次期大統領府で重大な責務を担う事になる、国民の選出者らや各市町村議員らに対し大統領職や各市町村議員といった重責において国民から選ばれた者たちに対し、 「国家と国民に奉仕する機会の有り難味をかみしめ、常に宗教的な意欲・動機に配慮していただきたい」と語りました。
いずれにせよ、非常に多様で価値のある国家の可能性を活用するには、経済問題の解消に向けて最高レベルで既存の能力を駆使すべく既存の可能性を活用すべく、意欲ある勤勉な責任者の選出・起用が求められます。
この点から、イラン国民に呼びかけるライースィー次期大統領の声明や視点は、選挙の終了が変化をもたらす新しい運動の始まりであるべきだということを強調しています。国民投票で選ばれた偉大なる全イラン国民の代表者と次期政権に対しては、威風堂々と誇り高く国益の確保や国民の要求の実現を果たしていく事が望まれています。
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