視点
イラン最高指導者の見解、「米と西側がウクライナ危機の根源」
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイ-師が、ウクライナ危機の原因はアメリカと西側にあるとしました。
ハーメネイー師は1日火曜、テレビでの生中継演説において、「そもそも、アメリカは緊張を生み出しそれによって生命をつなぐ政治体制であり、様々な危機で国を成り立たせ、危機を食いものにしている」とし、「このマフィア政権は、世界各地に危機的な地域が存在することを必要としている。これゆえに、危機の震源地を作り出しているのである」と述べています。
そして、ウクライナ危機に触れ、「私が思うに、ウクライナもアメリカの政策の犠牲者であり、ウクライナの命運はアメリカの政策と連動していており、アメリカがウクライナを今の状況に陥れたのに他ならない。ウクライナに内政干渉し、反政府的な抗議行動を起こさせ、カラー・クーデター(=カラー革命)を起こし、さらには反体制派の複数の集まりにアメリカ上院議員を参加させるといったことで、結果としてこのような事態に到った」と述べています。
また、ウクライナでの現在の戦争に触れ、「もっとも、我々は世界のいずれの場所における戦争や破壊行為にも反対である」とし、「我々は、ウクライナでの戦闘行為の停止を支持しており、同国での戦争の終結を求めている。とはいえ、いずれの危機の解決も、危機の根源が突き止めらた場合にのみ可能となる。ウクライナ危機の根源は、アメリカと西側の政策にある」と強調しました。
さらに、「諸国の独立の実行役は民衆であり、ウクライナにおいて市民現場に参加していたならば、同国での政府や市民の状況はこのようなことにはならなかったはずである」と語っています。
そして、現在のウクライナと過去のアフガニスタンを、欧米諸国に依存する政権にとってその運命を見せた2つの生きた証拠であるとし、「ウクライナの大統領も、国外に逃亡したアフガンの前大統領も、“自分たちはアメリカと西側諸国の政権を信じたが、彼らは我々を単独で置き去りにした”と述べている」と述べました。
ウクライナ危機までの経過;カラー革命
ウクライナでの戦争や危機という現状の原因究明に関するハーメネイー師の視点は、同師が国際政策や米政権の本質に対して持っている完全な理解と、この数年のウクライナ情勢における西側諸国の破壊的関与に注目した上で提起されています。
アメリカ、および同国の欧州同盟国は、ロシアの弱体化と旧ソ連圏諸国の体制転換を狙い、西暦2000年代初頭から、これらの諸国でのカラー革命の勃発を、自らの政策や措置の筆頭課題に掲げてきました。その例として、2005年にはウクライナのオレンジ革命において、ビクトル・ユシチェンコ氏を西側寄りの大統領として就任させています。そして、米を筆頭とする西側諸国は、次の段階では2014年にウクライナ首都キエフでの騒乱を支持し、反体制派を全面的に後方支援して、ついにはロシアとの関係拡大を求めていた当時のヤヌコビッチ大統領解任に直接関与しました。その後数年間にわたって、西側寄りのウクライナ政権は、NATO北大西洋条約機構やEU欧州連合への加盟に向けた努力という形での西側への接近・合流、そして反ロシア的な行動におけるアメリカとの協調を追求したのです。
実際に、2014年に発生したウクライナ政変は、まさにハーメネイー師も指摘しているように、東欧で大きな面積を占めるこの国での、西側寄りの政権の発足を目的としたカラークーデター・ビロード革命的な動向だったといえます。こうして、アメリカとそのNATO内のその欧州同盟諸国は、即ちロシアに対するけん制と包囲、そして最終的な同国の弱体化と分裂を目的とするNATOの東方への拡大、という自らの壮大な陰謀を実施に移したわけです。もっとも、この問題は、ロシアの反発や警告、そして最終的にはウクライナ国内での軍事作戦を招くこととなりました。
ウクライナ危機に対するイランの正式な立場表明
ウクライナ問題および、特に同国における最近のロシアの軍事作戦という動きは、イランの正式な反応にも遭遇しています。アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相はツイッターで、「ウクライナ危機は、NATOの挑発的な行動にその根源がある。我々は、戦争という手段に訴えることを解決策とはみなしていない。停戦の成立および、民主的、政治的な解決策に集中することが急務である」と語りました。
ウクライナ危機に対するイランの立場は、アメリカとNATOが特にヨーロッパや西アジアにマイナス的な役割を果たしていることを批判する、イラン政府の総括的な見解に基づくものです。西側諸国は、過去にウクライナに対して行った数々の約束に反し、今となっては同国を単独で置き去りにし、単に一部の対ロシア制裁を行使したに過ぎません。しかし、その一方でロシアはNATO拡大を自国の存続に関する問題とみなしており、これに関してはどのような代償も払う覚悟なのです。

