安倍元首相のテロ暗殺、巨星墜つ
(last modified Sat, 09 Jul 2022 05:57:43 GMT )
7月 09, 2022 14:57 Asia/Tokyo

日本の安倍晋三元首相が現地時間の8日金曜正午前、奈良市内で街頭演説中に背後から銃撃され、医療関係者の必死の手当もむなしく帰らぬ人となりました。

今月10日に実施予定の参議院選挙をわずか2日後に控えた中での安倍元首相の死去により、今回の選挙には独自の感傷的なムードが漂っています。

特に、複数の世論調査によれば、安倍氏の所属する自民党は明後日の選挙で圧倒的な勝利を収め、またそれにより憲法改正をめぐる議論が急加速するものと予想されます。

安倍政権は2012年から2020年までの8年間にわたって続くという日本の歴代最長政権の記録を保持しており、2020年に安倍氏の病気による辞任をもって幕を閉じました。

安倍氏は首相を辞任した後、自民党員としての政治活動に注力し、この数日は2日後に迫っていた参院選での党の集票のため、国内各都市での自民党候補の応援のための遊説に東奔西走していました。

応援演説中の銃撃による安倍氏の死亡は、瞬く間に世界各国のメディアで大々的に報じられ、信じがたい事件として各国の多くの人々の間で驚愕と衝撃を引き起こしました。

日本は、銃や武器の所持に関しては世界でも最も厳しいとされる部類の法的規制をしいており、市民は法的な許可を得た場合にのみ空気銃や散弾銃の使用が許されています。このため、日本は組織的であれそれ以外であれ銃を用いた事件の発生が世界でも極めて少ない国の1つとなっています。

その例として、2016年に日本で発生した銃撃による死亡例はわずか6件のみで、これはアメリカの3万3599件と比べると、意味深長な違いを示しています。

今回の参院選は、その開催のわずか2日前、選挙ムードの真っ只中に与党自民党の有力者である安倍氏が非業の死を遂げ世界に衝撃が走った中での実施となります。そして今回の痛ましい事件はおそらく、自民党員が国内外の政治舞台において安倍氏が残した政治・経済面での遺産とも言える各種計画のさらなる推進を目指す下地を作ることになると思われます。

米ワシントンにある安全保障問題関連のシンクタンク・スティムソン・センターの辰巳 由紀・主任研究員は、「2020年の安倍氏の辞任後に菅氏が首相に選任されたことは、安倍氏が開始した政治的イニシアチブの全ての継続が保証されることを意味していた」との見方を示しました。

安倍氏は第2次政権時に、日本の経済改革をめぐる大々的な計画をを実施しました。これは幅広い側面を持っていたことから、いわゆるアベノミクスという異名をとっています。

安倍氏はさらに、外交政策の分野においても、第2次世界大戦後の日本国内外の状況に基づいて編成された日本国憲法を、国際安全保障面での世界との折衝においてより有用化すべく、改正することを強く支持していた人物の1人でもありました。

安倍氏は、国家主権としての戦争や脅迫、あるいは国際紛争・対立の解消を目的とした軍事的手段の行使を恒久的に放棄することを定めた、日本国憲法第9条の改憲を目指していましたが、これはまだ実現されていません。

日本の歴代史上最長とされる政権に君臨した安倍氏は、特に自民党をはじめとする人々の間で高く支持されていました。またアベノミクスを語る際に、TINA(There is no Alternative)すなわち「この道しかない」という言葉を多用したことでも知られています。

 


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