日本の警備体制が非難の矢面に、安倍氏警護に手抜かりはなかったか
安倍晋三元首相が奈良市内での街頭演説中に銃撃され死亡した事件を受け、日本の警察による今回の警備体制に問題はなかったか、警備のあり方に注目が集まっています。
今回の事件で、当時の警備態勢の不備が浮き彫りになりつつあります。
元警視庁SAT所属で要人の警備などに詳しい、伊藤鋼一氏は、「通常は不審な人物を現場から遠ざけた上で職務質問し、所持品を検査するのが鉄則であることを考えると、今回は警察官どうしの連携ができておらず、警備に抜けがあったと言わざるを得ない」と指摘しています。
事前準備や警護要員の配置の甘さが指摘されており、警察当局には徹底した検証と警備態勢の見直しが求められています。
安倍晋三元首相の死去を受け、米欧メディアも日本の警備態勢に疑問の目を向けています。
とりわけ銃社会の米国では、銃を持った容疑者が重要な警護対象の至近距離まで歩み寄っていたことに驚きが広がっています。
ロイター通信は8日金曜、「安倍氏暗殺、日本の要人警護に疑問符」との見出しで報じるとともに、日本は銃規制が厳格で治安が良いことや、聴衆との距離が近い日本の街頭演説の特徴に言及しつつ、「(有力政治家に対する)警備の在り方が問われる」とする専門家の意見を掲載しています。
今回の警備に関与した奈良県警の鬼塚友章本部長(50)は9日土曜夕、県警本部で記者会見し、「警護・警備に関する問題があったことは否定できないと考えている」と謝罪しました。
また東京警察庁は「これから検証する」としていますが、同庁警備局や奈良県警の責任問題に発展する可能性もあると見られています。
今回の事件は、今後訪日する海外要人の警護にも不安を与えかねず、日本の警備体制システムは早急の態勢見直しを迫られています。