岸田首相、ビザなし交流破棄について「極めて不当で断じて受け入れられない」
日本の岸田首相が、「ビザなし交流」合意失効とのロシア政府の発表を受け、「極めて不当で断じて受け入れられない」と語りました。
日本の報道各社によりますと、岸田首相は6日、首相官邸で記者団に対し、北方領土(ロシア側呼称;南クリル諸島)と日本の間で人が往来する「ビザなし交流」・「自由訪問」合意を失効させると発表したことを受け、「極めて不当で断じて受け入れられない」と述べています。
ロシアは今年3月に「ビザなし交流」の停止を表明しており、岸田首相は「ロシア側に日本の考え方を伝達しあらためて強く抗議した。高齢になった元島民の思いに応えたいという考えは変わりない」とコメントしました。
ビザなし交流は、旧ソ連の故ゴルバチョフ大統領による91年4月の訪日をきっかけに、相互訪問を始めることで合意した枠組みで、北方領土の元島民や日本政府関係者らが現地を訪れる貴重な機会と位置づけられてきました。
また「自由訪問」は、特に元島民やその家族が故郷を訪れることなどを認めたもので1999年から始まり、これまで多くの日本人が現地を訪れ、北方領土住民の日本訪問も受け入れてきました。
しかし2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、訪問事業は中断されていました。
ロシア法律情報公式ポータルに5日月曜、日本人による国後、択捉、歯舞群島および色丹島訪問の簡素化に関する対日協定の停止という、ミシュスチン・ロシア首相令が掲載されています。
岸田首相は去る6月2日、鈴木直道北海道知事と会談した際、ロシアとのビザなし交流が存在しない場合の代替案を詳細に検討する意向を明らかにしました。
また、鈴木知事は島に上陸できない場合の船上墓参の実施について元島民の要請を伝えています。