外国人旅行客がようやく戻りつつある東京・上野の伝統旅館
東京・上野にある伝統的スタイルの澤の屋旅館に、日本政府の水際対策の緩和を受け、ようやく外国人旅行客が戻りつつあります。
澤の屋旅館は、東京の中でも下町といわれ、古い町並が残る谷中にある家族経営の旅館で、コロナ前は外国人にも人気のある旅館としてにぎわっていました。
しかし、2020年の新型コロナウイルスの世界的流行で、日本政府が外国人の入国禁止など、世界有数の非常に厳しい措置に出たことから、この旅館も容赦なくその影響をもろに受けることとなります。
「澤の屋」の3代目、澤新(あらた)さん(53)は、これまでのコロナ期間を振り返り、「新型コロナウイルス感染症の影響で、当宿に来られていた外国人の個人旅行者が突然入国できなくなってしまい、これまでほぼゼロの状態でした。そのため、(パンデミックの)初期には、お客さんがゼロの日が非常に多かったです」とコメントしています。
また、「コロナ危機前は、旅館の顧客の約80〜90%を海外からのお客様が占めていました」と語りました。
コロナ危機での外国人観光客の減少を受けて、この旅館はビジネスを時宜に合わせ調節し、東京のテレワーク住民のためのデイスパと及びリモートオフィスとなりましたが、それでも収益は2020 年 4 月の日本入国制限実施前の半分以下に留まっていました。
岸田首相は去る9月に入国制限・水際対策の段階的な緩和に踏み切り、やっと最近、外国人の個人旅行および、それまで日本との間に査証免除規定のあった国に対するビザなし訪問を再開し、1日5万人としていた入国者数の上限も撤廃しました。
しかし、その一方で日本のメディアによりますと、日本はホテル業関連の規制を改正し、コロナ流行中にマスクの着用などの感染防止策を守らない客を拒否できるようにする可能性があるということです。
これについて、澤新さんは「コロナ危機が始まってから今まで、外国人のお客さんは数人だけでした。そうした方もほぼ全員がマスクを着用していました。ですが、これから訪れるお客さんが同じようにするかどうかは本当にわかりません。私どもの計画では建物内ではマスクの着用をお願いしております」とコメントしました。
この旅館を訪れたイギリス人客のジェニー・オーウェン氏は、「個人的な見解に関係なく、外国人旅行者には日本全国でのマスク着用マナーを守ってほしい」と述べています。
また、「私は日本のことを心配しており、来日した外国人が、日本が導入している措置に敬意を払うことを願っています。私たちにとって正しい措置かどうかに関係なく、私たちはそれを尊重し、日本側の指示に従う必要がある」としました。
今後G7並の規制緩和を目指す日本に、これからどのようなペースで外国人観光客が戻り、コロナ前の状況に回復させていくのかが注目されます。