伊藤忠会長、「日本がロシア産燃料抜きに生き残ることは不可能」
伊藤忠商事の岡藤正広代表取締役会長が、「日本はロシア産原油と天然ガスを輸入することなく生き残ることはできない」と語りました。
ロシア・スプートニク通信が1日火曜、報じたところによりますと、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」に参加する伊藤忠商事の岡藤正広代表取締役会長は英紙フィナンシャル・タイムズの取材に応じ、「欧州や米国とは違い、日本はエネルギー燃料の大半を海外に依存していることから、制裁があるとしてもロシアとの関係を放棄することは不可能だ」と述べています。
また、「実際問題として、仮にロシアから輸入しない場合、あるいは仮に輸入量を減らす場合だとしても、我々は生き残れない」とコメントしました。
さらに、「商社に地政学的圧力が行使されるトレンドや、 サプライチェーンの分野で協力の枠組みを強いることは世界経済に否定的な影響を与える」として懸念を示しています。
先に日本政府は「サハリン1」の運営を担う新会社へ参画する方針を固めました。
日本経済新聞によりますと、日本は原油輸入の約95%を西アジアに依存しているため、日本政府は「ロシアでの権益を当面維持することは原油の安定供給に欠かせない」と判断した形となっています。
一方で、同紙は、日本はG7・先進7カ国の一員としてロシア産石油の輸入を原則禁止する方針を決めており、「サハリン1の権益を今後も維持し続ければ矛盾した対応となる」とし、「西アジア依存の高さを理由にした権益維持に国際社会の理解を得られるかが課題となる」と報じました。
ロシアのプーチン大統領は去る10月7日、「サハリン1」の運営会社を新たに設置し、米国の旧運営会社から権利や義務を移行する大統領令に署名しました。
また、この大統領令に基づき、先月14日付で国営の新運営会社が発足しています。
日本政府や伊藤忠商事、丸紅、石油資源開発などが出資する日本のサハリン石油ガス開発(SODECO)を含む外国企業は、新たな運営会社が設置されてから1か月以内に株式保有を継続するかどうかについて、ロシア政府に通知する義務があります。
なお、ロシア政府は「サハリン2」については日本企業の参加を認めており、対ロシア制裁を行使している日本への対応において硬軟を使い分けています。