6月 28, 2016 19:53 Asia/Tokyo
  • 日本はトランプ氏を恐れている?

日本はトランプ氏を恐れているのか? 先週、YouTubeで公開された映像により、そのような考え方が広がっています。

ロサンゼルスタイムズによりますと、この映像では、ウエディングドレスを着た女性が、アメリカ・共和党のトランプ候補者のポスターの前で、ハトの鳴き声を真似ています。バックミュージックでは、「トランプ万歳」と繰り返し、トランプ氏の顔が、木と虹の上に登場します。その後、トランプ氏は巨大なロボットの姿になり、有刺鉄線の張られた壁の前に立ちます。その後、ロボットは宇宙に飛び、大きな爆発によって地球を破壊します。

この映像は、400万回以上視聴され、1500万件がフェースブックでシェアされました。風刺的なこの映像は、ロサンゼルスの映像作家マイク・ディーヴァ氏によって作成されました。この作品は、日本の人々は政府関係者の注目を集めており、アメリカの同盟国の中には、日本ほど、トランプ氏の大統領当選を懸念している国はないと言えるでしょう。

日本はアメリカ軍に依存しています。また、輸出品の最大の購入国であるアメリカに依存しており、外国投資の大部分を、どこよりもアメリカに対して行っています。

中国の経済力や軍事力の拡大、北朝鮮のミサイル実験の増加により、アメリカと日本の指導者は、より緊密な協力を決意しています。

日本とアメリカは、防衛協力を加速し、ここ数年は、TPP環太平洋パートナーシップ協定について検討してきました。これは、アメリカと日本の経済を、他の10カ国の同盟国と結びつける貿易協定ですが、中国は参加していません。

トランプ氏は、アメリカと日本の関係の古くからの柱を標的にしています。彼は、日本政府に対し、在日アメリカ軍の費用の負担を拡大するよう求めています。しかし、日本は現在、年間170億ドルを負担しており、アメリカ軍は、日本を防衛する責務を負っているだけでなく、イラクやアフガニスタンでの任務のためにも派遣されています。

トランプ氏は、日本が望めば、核兵器を獲得することができると語りました。これは、非核三原則に矛盾するものです。また、TPPを、アメリカに残る職業を日本に移行する「恐ろしい取り引き」と呼びました。

日本の政界や経済界の間では、トランプ氏は危険だという見方が存在します。日本の安倍首相は、これに関して明らかな発言は行っていませんが、非常に懸念しています。

アメリカの政治問題に詳しい日本の研究者は、「人々は非常に懸念しており、アメリカから聞こえてくる騒ぎから、アメリカのイメージは壊れつつあると考える」と語りました。

この研究者は、「オバマ大統領はアメリカのイメージを好転させた。オバマ大統領の広島訪問は、98%の日本人に歓迎された。そのアメリカが、最も圧制的な人物を選ぼうとしているのは不思議なことだ」としています。

出生率や移民の受け入れ率の低さにより、日本は今後40年で3000万人の人口を失うと考えられています。日本の経済力も衰退しています。こうした中、中国の指導部は、経済力を利用し、中央アジアや東南アジアとの関係を深めようとしています。それも、アジア開発銀行という方法を利用しようとしています。

日本の国際戦略研究所の田中均理事長は、「日本の外交において最も重要な問題は、中国への対抗である」と語りました。さらに、「アメリカの核の傘下への復帰に関するトランプ氏の提案に対しては大きな懸念が存在する。それは日本を危険に晒すだろう。我々は、自分たちで国を守ることができない。我々は同盟国としてのアメリカを必要としている。だが、トランプ氏が大統領になれば、政治的な状況は完全に変わるだろう」としました。

日本が平和憲法を捨て、再び武装することを望む保守派は、トランプ氏を、日本がアメリカとの関係を終わらせ、独立国家となるための絶好の機会と見ています。左派も、「もしアメリカが、日本に関与しなくなれば、平和希求の仮面を捨てることができ、アメリカ国防総省の核組織の後ろに隠れている必要はない」と語っています。

こうした中、大多数の国民は、11月のアメリカ大統領選挙で、クリントン氏が勝利することを望んでいます。

安倍首相は、農家や漁業関係者の反対にも拘わらず、TPPを重視しています。安倍首相は、自民党はこの問題を秋に投票にかける可能性があるとし、この協力は、80万の雇用機会を創出し、GDPを2.6%増加させると考えています。

昨年、クリントン氏は、この協定を支持していましたが、現在、その立場を変更しています。

先のアメリカの政治問題に詳しい日本の研究者は、「アメリカが、TPPを合意に導くことができなければ、その信用を失うだろう。この合意は、経済的な枠組みがあるだけでなく、秩序の取れた地域の創設に向けた日本とアメリカの共通の努力である。もしアメリカがこの計画を実現できなかったら、それは後退を意味するだろう」と語っています。

さらに、「アメリカは石のように確かな歩みを進めるはずだったが、それが揺らぎつつある。それは石ではなくて泡になっている。この問題は、地政学的な決意の不在になっている」と述べました。

 

 

 

 

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