May 01, 2024 15:11 Asia/Tokyo
  • イランイスラム革命の創始者・ホメイニー師
    イランイスラム革命の創始者・ホメイニー師

イランでホメイニー師の指導により王制が打倒されイスラム体制による統治が実現したことは、シオニストの拡張主義的目標を深刻な危機に陥れる最も重大な打撃となりました。

イランでイスラム革命が勝利したことは、イスラム教徒のシオニストに対する闘争を激化させ、パレスチナ人の闘争の方向性も大きく変貌させました。イランの旧政権であるパフラヴィ―王朝は、一触即発の状況の西アジアにおいて、西側諸国とシオニスト政権イスラエルの強力な同盟国であると考えられていました。イランは同王朝時代、イスラエル政権から大量の製品を輸入し、この占領者政権の経済の隆盛に一役買っていました。一方で、当時のパフラヴィ―朝国王はイスラエル政権が必要とする石油を輸出・供給することで、同政権を支えてもいました。このようにイランの石油は、イスラエル政権の経済・産業の全般に行き渡り、パレスチナ人に突き刺さる武器・弾薬になっていたのです。イランは、イスラエル政権のスパイ活動および地域のアラブ人支配の拠点となっていました。パフラヴィ―朝国王とイスラエル政権の間に陰に陽に存在するこの関係を暴露し、イスラム教徒の共通の敵に対する旧政権の惜しみない支援に反対することこそが、ホメイニー師が行動を起こし蜂起した動機の一つでした。同師自身はこの点に関して、次のように述べています;

 

「我々をパフラヴィ―朝国王との対決に向かわせた理由の一つは、国王によるイスラエル政権幇助である。私は常に自分の著述において、国王が創設が当初からイスラエル政権に協力しており、同政権とイスラム教徒の間の戦争が最高潮に達したときにも、姿勢を変えずイスラム教徒の石油を強奪して、それをイスラエル政権に与え続けたことこそが、私が国王に反対する理由であると明言してきた」

 

イランにおいてパフラヴィ―朝が打倒されイスラム体制の統治となったことは、最初の致命的な打撃として、シオニスト政権の拡張主義的目標を本格的な危険に陥れました。

イスラム革命とその指導者のメッセージが非常に広範に世論に影響を及ぼしたことから、当時のサダト・エジプト大統領が米キャンプ・デービッドで対米妥協条約に署名したとき、エジプト政府はアラブ民族の輪はもとより、複数のアラブ反動政権からも爪弾きとなり、完全に孤立しました。

イスラエル占領政権の主な支持者である欧米諸国の政府は、ホメイニー師の運動との対決に敗北して蓄積した苦い経験を​​踏まえ、イラン・イスラム革命の制御と現状打開のために動員され、この道筋において彼らは東側のライバル・旧ソ連と足並みを揃えるに至りました。こうした連携の結晶は、イラン領占領を狙ったイラクの旧独裁者サッダームの扇動、そしてイラク旧バース党政権と発足して間もないイラン・イスラム体制との長期にわたる戦争の全段階で、世界の2つの超大国がサッダームを全面的にバックアップしたことに見て取れます。

イランに押し付けられたこの戦争は、イランの占領・分断、イスラム革命の破壊を目的に開戦しました。これにより、世界の被抑圧民の敵との戦いで主導的な役割を果たし、「今日のイランと明日のパレスチナ」のスローガンを掲げることを決意していたイランは、自らの革命の存在を防衛すべく望まぬ戦争に引きずり込まれたのです。この戦争はまさに、東西両陣営の指導者らも自白している通り、イスラム革命の任務を徹底的に減速させ、この革命や蜂起の思想に対するイスラム教徒の諸国民の希望を挫くためのものでした。このようにして、サッダームはイスラム教徒の敵の扇動と支援を得て、長期戦となる痛ましい事件の主演役者となったわけですが、ホメイニー師はこれについて、次のように回想しています;

 

「非常に惜しまれるのは、超大国、特に米国がサッダームを欺き、わが国を侵略することで強力なイラン政権を自国の防衛に集中させ、それによって犯罪者・簒奪者の政権イスラエルに、ユーフラテス川からナイル川にいたるまでの壮大なイスラエルの形成という邪な計画を実行するチャンスを与えてしまったことである」

 

ホメイニー師は、パフラヴィ―政権の権力の絶頂期に同政権とイスラエルとの秘密裏の関係を暴露し、イスラム世界に対するイスラエルの危険性との対決を非常に真剣かつ執拗に追求していました。また同師は、最初の偉大な宗教的権威であり、任意の寄付や献金、そして宗教法に基づく基金からパレスチナ戦闘員を支援する許可を出していたのです。同師は当初から、抑圧されているパレスチナ国民を動員し、そこからイスラム共同体の支持を取り付ける最も効果的な方法として、対イスラエル闘争のイスラム的側面と宗教的側面を紹介していました。そして、アラブ民族に頼るといったルートのほか、ナショナリスト的な捉え方やイスラム意外の他の借り物的なイデオロギーを、イスラムの聖地ベイトルモガッダス・エルサレム解放への戦いの本筋から外れた邪道と見なしていたのです。

ホメイニー師はまた、イスラム諸国の一部の指導者の弱点や機能不全、あるいは従属・依存性など、イスラム世界の内部問題を十分に認識していたことから、イスラム共同体の文化・信条面での信念と信仰面での原則に基づイスラム世界の一般的な良識や見識、宗派間の対立の回避を強調するとともに、イスラム諸国の首脳にこの潮流に従うよう呼びかけていました。そして、「イスラム教徒のこの一般的な常識と要求に沿っている限り、各国政府は指導者としての威厳と闘争主導責任を持つことになり、さもなくばイスラム教徒の諸国民は自国政府に対し、イランのイスラム教徒国民がパフラヴィ―朝国王に対して行ったのと同じことをするはずだった」と考えていたのです。

パレスチナ問題及び、敵たるシオニスト政権との対峙に関するホメイニー師の知見の他の側面は以上のようなものでした。

 

アメリカとイスラエルに対して石油という武器を使用する必要性

ホメイニー師は1973年11月7日のラマザーン戦争の際に、イスラム圏の諸国民及び各国政府に宛てたメッセージの中で次のように綴っています;

 

「イスラム圏の豊富な石油資源を有する諸国の政府は、保有する石油やその他の便宜をイスラエルと植民地主義者に対する戦術として利用し、イスラエルを幇助する政府への石油販売を控えるべきである」

 

イスラムのアイデンティティ回復に委ねられているパレスチナ解放

 

「我々が神の預言者の宗教たるイスラム教に戻るまでは、我々の問題はそれぞれの場所にそのまま残っており、パレスチナ問題も、アフガニスタン問題も、他の場所の問題も解決できない..」

 

 

大イスラエル計画の再三の暴露

イスラエル議会の主なスローガンは「イスラエルよ、汝の境はナイル川からユーフラテス川まで」というものです。占領者たるイスラエルが占領地の人口も権力も小さく、発足後の日が浅く脆弱だった時期に提起されたこのスローガンを、彼らが権力を握ったときにその実現のために努力するであろうことは言うまでもありません。

ホメイニー師は再三にわたり、「イスラエル政権の拡張主義の危険性と現在の占領地境境に満足していないことを指摘するとともに、これらの目的をイスラエルが否定、隠蔽していることは、世論を欺き、最終目標追求のための段階的な政治を利用するためだけのものだ」と述べています。

 

シオニズムとユダヤ教の識別

周知のように、シオニズムは野心にまみれ、人種差別や植民地主義的な理念を持った政治現象であり、ユダヤ教の名を借りて宗教的な側面を見せながら、ユダヤ民族の救世主としての目標追求を狙ったものです。しかし見識ある人々にとっては、世界のユダヤ民族の人種的統一という主張が、この妄想的な主張への固執によりパレスチナの土地の簒奪と占領地での自らの犯罪を正当化したいシオニスト政権が捏造したものであることは、自明の理となっています。そして、この問題の主役が当初はイギリスの植民地主義者であり、今ではその立ち位置を米ホワイトハウスの政治家となっていることは、はっきりしています。しかも、西側の新たな植民地主義が、自らの植民地主義政策の利益だけを考えていることは、疑いの余地がありません。これらの事実を認識しているホメイニー師は常に、ユダヤ問題をシオニズムから切り離した上でこの陰謀に立ち向かい、ユダヤ教擁護を主張する人々の顔から偽りの仮面を引きはがしながら、シオニズムを宗教の原則と神の預言者の目的に根本的に反する政治的潮流とみなしてきました。

 

パレスチナ救済の道の統一

ホメイニー師は、世界で10億人以上に上るイスラム教徒が少数のシオニストに支配されることは恥ずべきことであると考え、次のように述べています;

 

「あらゆるものを持ち、あらゆる力を持っているひとかどの国を、なぜ少数の人間を引き連れてやって来たイスラエル政権ごときが、このように支配せねばならないのか?なぜこうである必要があるのか?諸国民が互いに分離し、政府から分離され、各国政府が相互に分離され、10億人のイスラム教徒があらゆる装備を身に着けて座っており、そしてイスラエル政権がレバノンとパレスチナに対してそれらの犯罪を働いているだけである」

 

シオニズムに対する諸国民の蜂起と対米依存からの脱却の必要性

1960年12月25日、ホメイニー師は体制および司法の当局者との会合で、米国とつながりのあるイスラム圏の複数の政府こそがイスラム教徒の根本的な問題の元凶であるとしながら、次のように述べました;

 

「イスラム教徒は、自国政府が自分たちのために行動しイスラム教をシオニズムの手から救ってくれるのを待っているべきではない。国際機関は彼らのために機能していない。諸国民は自らイスラエル政権に対して立ち上がるべきだ。諸国民は立ち上がって、単に非難するだけでなく、イスラエル政権に対して立ち向かうよう自身の政府を促す必要がある。イスラエル政権と同盟関係にある者たちは、イスラエル政権を非難ししているが、真顔の非難も実際には冗談のようなものである。もしイスラム教徒がアメリカもしくはその傀儡政権に自分たちのために動いてくれることを待っているなら、彼らは永遠に不自由さを味わうことだろう」

 


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