韓国紙、「日本の原発汚染水放出は米がゴーサイン」
韓国の日刊紙・ハンギョレが、日本を「米国のゴーサインによって福島第一原子力発電所の廃水を放出し、海洋を汚染しようとしている」として非難しました。
福島第一原子力発電所の処理水を海洋に放出するという日本政府と東京電力の決定は、日本および地域諸国の人々の間に広く懸念や抗議の声を巻き起こしました。
これに反対している人々は、処理水放出が環境へ与える影響を懸念しています。また、地域諸国、中でも日本と距離が近い韓国の人々は、海洋の汚染とそれに伴う環境汚染、特に地域海産物へ汚染が及ぶことを恐れており、これまでに繰り返し抗議デモを行っています。
日本と韓国は、地域における主要なアメリカの同盟国とされています。しかし、韓国野党は、自国政府がアメリカの意向に従順に従い、同国の望む日本と韓国の関係改善のために、原発汚染水の海洋放出が持つ危険性にも口をつぐんでいるとしています。
一部の識者は、日本の海洋放出をめぐるアメリカの反応やそれに続くIAEA国際原子力機関の対応が、このような主張をはっきり裏付けるものだと見ています。グロッシIAEA事務局長が先日、福島第一原発の処理水が安全なものであり、水泳や入浴に使用しても問題ないと発言したことからも、それは明らかと言えるでしょう。
こうした中でハンギョレ紙は、海洋放出をめぐりアメリカが果たしている役割について取り上げました。
イルナー通信によりますと、ハンギョレ紙は分析記事において、「日本は、米国とIAEAのゴーサインによって、福島第一原発から出た汚染水の海洋放出を進めている」と指摘しました。
この記事はさらに、「日本政府は、数百万トンの汚染水を海洋に放出し、地域の環境に深刻な害を与えようとしているが、それにもかかわらず、米国とIAEAは沈黙を保っている」と続けました。
その上で、「福島第一原発の廃水が放射性物質に汚染されている可能性は、非常に深刻なものだ。ロシア、中国、北朝鮮、韓国といった周辺諸国は、この日本の措置に幾度となく抗議を行っているが、これまでのところ、日本、米国、IAEAのどこも、これに対して何ひとつ対応を見せていない」と説明しました。
そして、「韓国は、廃水を海洋放出前に処理して汚染物質の大部分を取り除くという日本の主張に反対し、海洋放出計画に対して国際的監視が行われていないと批判しながら、数百万トンもの廃水が海洋放出前に迅速に処理され無害になるかを疑問視している」としました。
韓国の劉国熙(ユ・グクヒ)原子力安全委員長は、この日本政府の決定に反対を表明し、「これに関して何も行動がとられなければ、30年後に福島第一原発の計画による海洋汚染を見ることになるのは、間違いないだろう」と述べています。
一方、中国外務省の汪文斌報道官も今月11日、グロッシ事務局長の発言をめぐり、「日本当局は、福島第一原子力発電所から出る廃水を海洋放出する代わりに、これを飲むことも可能だと言っている人たちに提供して飲んでもらったらどうか」と述べました。
同報道官はまた、IAEAの報告では原発汚染水の海洋放出計画に対する国際社会の懸念は払拭されなかったという認識を示し、「日本は、IAEAの報告書を海洋放出の”通行手形”としてはならない」と強調しました。