陸自の教範記述、日米共同作戦の対象を国外有事へ拡大
-
日米共同作戦
陸上自衛隊の作戦や運用の原則を定めた最上位の教範「野外令」の記述で、日米共同作戦の目的として「我が国への侵略を排除するため」とされていた表現が、2017年の改訂で「我が国の平和と安全を維持するため」と、国外有事への対処に含みを持たせる表現に変更されていたことが、沖縄タイムスなどの調査で明らかになりました。
これは、元自衛官などの研究者でつくる軍事問題研究会が防衛省への開示請求で野外令を入手し、沖縄タイムスも独自に資料を確認し判明したものです。
野外令は、陸上自衛隊の教科書にあたる教範のうち最上位のもので、陸自の作戦、戦闘、教育訓練する際の基本的な方針と原則をまとめています。かつては隊内の売店で民間人も購入できましたが、現在は部内専用の秘文書とされています。
沖縄タイムスによりますと、文言変更の背景には、日米両政府の「日米防衛協力のための指針」があります。2015年の改定で、同年に成立した安保法制を根拠に、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」との記述が加わり、日本への侵略に限らず日米が共同作戦を行うことが盛り込まれました。
軍事問題研究会代表の桜井宏之氏は、あわせて入手した自衛隊統合幕僚監部の内部資料に極東有事のシナリオが含まれていることを指摘し、この野外令の記述変更が「台湾有事に参戦することを自明としている」と説明しています。
同シナリオは北朝鮮が南進し、その支援として中国が東シナ海の制空・制海権を得るため台湾の占領に動くことを想定しており、沖縄にも大きく関係する内容です。
こうした資料は国民に知らされておらず、桜井代表は「北朝鮮の南進というシナリオの妥当性も検証できない。文民統制が実質的に機能していない」と問題視しています。
元自衛官の軍事ジャーナリスト・小西誠さんは、これまでの野外令の改定履歴について、「2000年の野外令で、それまでなかった離島防衛を盛り込み、現在の南西シフトの基本概念となった。冷戦時は対ソ連で北海道に展開したが、冷戦終了でその脅威がなくなり、組織の生き残りのため南にシフトする必要があった」と分析します。
実際に有事が発生した場合については、「自衛隊と米軍はアジア太平洋の制海権を握ることを目指すことになる。結果として戦争に発展すれば、琉球弧は自衛隊と米軍のミサイル部隊で対中国への攻撃拠点になり、戦場になってしまうだろう」と述べています。
また、元内閣官房副長官の柳澤協二さんは、日本の南西諸島の防衛力強化の動きについて、「離島防衛が名目だが、むしろ想定されているのは台湾有事。日本防衛というより、台湾防衛を念頭に置いた米軍の抑止力の補強だ」と述べ、自衛隊の役割がこれまでの専守防衛から、米軍への支援および一体化に変質しつつあることを指摘しています。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://twitter.com/parstodayj