安倍元首相、「核共有は議論が必要」
(last modified Sun, 27 Feb 2022 12:13:16 GMT )
2月 27, 2022 21:13 Asia/Tokyo
  • 安倍元首相
    安倍元首相

ウクライナ情勢を踏まえた今後の安全保障政策をめぐり、自民党の安倍元首相が、「アメリカの核兵器共有に関して、日本でも議論すべきだ」としました。

NHKによりますと、安倍氏はフジテレビの番組「日曜報道 THE PRIME」に出演し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関連して、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策について、日本でもタブー視せずに議論すべきだという考えを示しています。

「国連は大切だが、安保理の常任理事国が当事者だった場合は、残念ながら国連は機能しない。自分の国を自分で守るという決意と防衛力の強化を常にすべきだ」と指摘しました。

そのうえで、アメリカの核兵器を同盟国が共有して運用する政策について見解を問われたのに対し「非核3原則はあるが、議論をタブー視してはならない。NATO北大西洋条約機構でドイツなども『核シェアリング』をしている。国民の命をどうすれば守れるかは、さまざまな選択肢をしっかりと視野に入れながら議論すべきだ」と述べています。

その一方で、「核被爆国として核を廃絶するという目標は掲げないといけないし、それに向かって進んでいくことは大切だ」と強調しました。

しかし、日本は世界で唯一、米国の核兵器の犠牲となっている国であることから、日本の世論は核の問題に非常に敏感であり、また仮に核共有政策を採用すれば日本が堅持する非核三原則に反する。政策の大転換となることから、安倍氏のこうした提案は社会で強い反感を買うことが予想されます。

岸田現首相は今月24日の国会答弁で非核三原則に関し、「国是だ。核兵器を使用、保有する選択肢はない」と明言しました。

ウクライナ危機の教訓は、西側諸国への度を越した信頼がもたらす結果です。国際関係のリアリストらによれば、安全保障の基本は自給自足であり、どの国も自分の安全は自分で確保しなければなりません。なぜなら、どの他国も安全保障を約束してはくれないからです。

ウクライナ政府が犯した重大な戦略的誤りのひとつが、西側諸国の約束をもとにパズルを解こうとしたことです。現在のウクライナとロシアの危機でこれまでに明らかになったことは、西側諸国による支援はロシアに対する新たな複数の制裁を発動するだけにとどまり、アメリカを筆頭とする西側はウクライナのためにロシアに対して軍事的措置をとることはないだろうということです。なぜなら、西側はそれが自らの利益にはならないとみているからです。

今回のウクライナ危機への西側諸国の反応は、ロシアへの批判とウクライナへの同情の域を出ていません。

 


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