3月 28, 2022 20:28 Asia/Tokyo
  • 日本の水産物市場
    日本の水産物市場

日本の水産物市場が、ウクライナ危機による対ロシア経済制裁のもたらす影響を受けつつあります。

ロシアのスプートニク通信によりますと、日本にとってロシアは、一部の水産物の主要供給国のひとつとなっています。しかし、ロシア領空が欧州の航空会社に対して閉鎖されたことで水産物の空輸が難しくなったことや、世界的な原油価格の高騰により輸送コストが上昇していることで、コロナ禍の影響からまだ回復しきっていない日本のレストランや貿易業者のビジネスを困難にしています。

日本最大の水産物市場である豊洲市場では、ノルウェー産サーモンの価格が2月に比べて約30%上昇しました。カナダ産サーモンなど、他の魚種の価格も上がっています。昨年の赤潮で北海道海域のウニやサケの資源量が大幅に減少したことから、日本市場ではウクライナの出来事以前からロシア産ウニが高騰していましたが、大手外食チェーンとは異なり、中小企業には数カ月分の食材の在庫を持つことも、仕入先や輸送ルートを迅速に多様化することも難しくなっています。さらに、ウクライナをめぐる情勢を理由に、ロシア製品の買い付けを自ら中止する卸売バイヤーも出始めています。

日本がロシアへの貿易上の「最恵国待遇」の撤回を発表したことで、水産物の輸入価格はさらに上昇する恐れがあります。岸田文雄首相は3月16日の記者会見で、政府はロシア製品の一部について関税の引き上げや禁輸を検討していると述べています。

農林水産省によると、昨年の日本への水産物輸入のうち、ロシアからの輸入は8.6%を占めました。また、紅鮭、カニ、ウニなど一部の魚種については、ロシアが最大の供給国となっています。

 

一方、ロシアが日本との平和条約交渉を中止したことで、ロシア・日本間の海での日本漁船の操業は宙に浮いたままとなっています。2022年には、千島諸島海域で48隻の日本船が、スケトウダラ955トン、サバ777トン、タコ213トン、その他232トン、計2,177トンの水産物の漁獲枠を得ていました。

ルースキー・ルィブヌィ・ミール社のアレクサンドル・ジンチェンコ代表はこれについて、「世界の漁業界では、不可抗力が発生しない限り、過去に締結した協定は期限が切れるまで維持されるのが通常」との希望を示しながら、「日本の水産市場だけでなく、ロシアの市場も震え上がっている」としました。とりわけ、多くのロシア人がすでに慣れ親しんだ日本食レストランでは、以前から日本以外からも魚介類を買いつけていたものの、日本料理の中には本場の食材がなければ不可能なものもあるとされています。

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram    Twitter    urmediem


タグ