6月 12, 2022 15:16 Asia/Tokyo

2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で大打撃を受けた福島県でこのほど、帰還困難区域の一部で初めて避難指示が解除されましたが、復興を目指す中で帰還後の住民の生活や区域の再生も懸念されています。

中でも、かつて梨やキウイフルーツなどの産地だった福島県大熊町は、イチゴ栽培に特化した『ネクサスファームおおくま』を設立し、誰でも働ける農業“を実現するイチゴ植物工場で町に産業を興し、最新鋭の設備で目指す日本一安全なイチゴづくりを目指しています。

しかし、その工場長である徳田辰吾氏は、「避難所での生活に適応した人もいれば、故郷に戻らない人もいる。スーパーマーケット、病院、飲食店がなく、日用品が不足しているため、ここのインフラは十分ではない。彼らは多くの不便に遭遇するだろう」と述べました。

また、同県双葉町の渉外を担当する大住宗重さんは、「ここは福島第1原発と第二原発に非常に近い。過去には、原発は多くの関連業務を創出し、多くの農業関係者が稲作の傍ら原発で働いていた。現在、農地の復活を目指していうが、時間がかかる。地方自治体は、どれほどの人数が故郷に戻ってくるかを予測できず、それは今後の確認を待つしかない」と語りました。

さらに、福島大学・食農学類の林 薫平准教授は、「避難命令の解除は決して政府の責任終了を意味せず、自宅に戻った人々の通常の生活の再開を助けるだろう。それが本当の始まりだ」と述べています。

なお、毎日新聞が11日土曜、報じたところによりますと、福島原発事故に伴う帰還困難区域に整備された特定復興再生拠点区域(復興拠点)のうち、12日日曜に避難指示が解除される福島県葛尾村と、近く解除される見込みの双葉・大熊両町で、帰還に向けて自宅などに泊まる「準備宿泊」の登録者数の延べ人数が、住民票を置く人口の1~5%にとどまっていることが明らかになりました。

これは、生活基盤が避難先に移ったことや、帰還しても不安が残ることなどが要因とみられています。

日本政府は放射線量が下がり、生活インフラが整ったとして避難指示の解除を進めていますが、医療機関や商業施設の整備などハード面に加え、帰還住民同士の交流づくりなどソフト面でも課題は山積しています。

帰還困難区域の再生は、これまでの解除地域以上に険しい道のりとなると見られます。

 


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