視点
停戦か戦火拡大か 迫られるネタニヤフ政権
先月7日に起きたハマスによる「アクサーの嵐作戦」で始まったシオニスト政権イスラエルとパレスチナの戦争は1カ月が経過しようとしています。イスラエルは依然としてガザ市民の虐殺を続けており、地上戦の失敗を大量虐殺により補おうとしています。
ユニセフ・国連児童基金やUNRWA・国連パレスチナ難民救済事業機関、国連人口基金、WHO・世界保健機関などの発表では、これまでにイスラエルの攻撃により殉教したパレスチナ人のうち67%が女性や子供だということです。
これらの機関は共同声明の中で、ガザ地区にある病院の燃料が枯渇すれば、NICUにいるおよそ130人の未熟児の命が危険にさらされるとしました。また、ガザにはおよそ5万人の妊婦がいるとみられ、1日あたり180人以上が出産しているともしています。
パレスチナ保健省の発表では、先月7日以降のパレスチナ人の殉教者数は1万人に迫りつつあり、そのうちおよそ4000人が子供、2000人以上が女性となっています。また負傷者の数も2万4000人近くに上っています。
シオニスト政権イスラエルは、今回のパレスチナへの攻撃は、人質の奪還とハマスの壊滅が目的であるとしていますが、現時点ではそのいずれも達成できておらず、むしろ地上侵攻開始後は自軍に多くの犠牲者を出しています。
それに対しハマスの下部組織であるガッサーム旅団は、1回の反撃でイスラエル軍の戦車6台、兵員輸送車2台、ブルドーザー1台を破壊しています。同じくハマスの下部組織クッズ旅団は、「イスラエル軍は甚大な被害を被っているが、正確な犠牲者の数を公表していない」としました。
イスラエル軍のハガリ報道官は、これまでのイスラエル軍側の死者数を339人、ハマスに拘束されている人質の数を241人と発表しました。
シオニスト政権のラジオは、先月7日以降、1538人のシオニストが殺害され、そのうち388人が兵士であると伝えました。また負傷者数もおよそ5000人に上っているということです。
こうした状況下で、ネタニヤフ政権が戦争の続行に固執すれば、さらなる兵士の犠牲が予想されます。特に、レバノンのシーア派組織ヒズボッラーのナスロッラー師が3日の演説で、停戦か続行かを迫るボールをイスラエルおよびアメリカ側に投げた今ではなおさらです。
イスラエルメディアは、多くのシオニストがナスロッラー師の演説に固唾を飲んで注目したことを挙げ、そのこと自体がナスロッラー師にとってひとつの勝利を意味するとしました。
ナスロッラー師は3日の演説で、「もしイスラエルによる犯罪が続くなら、レバノンから戦線が拡大する可能性がある。これは実際に起こりうることだ」と述べていました。
ハマスやヒズボッラーはともに停戦の意向を持っていますが、その実現の可否はネタニヤフ政権の決断次第です。ナスロッラー師の演説がもたらしたもののひとつに、国際社会からイスラエルへの停戦圧力、そしてシオニスト市民からネタニヤフ氏への辞任圧力の高まりがあると言えそうです。