視点;エマーディー解説員
ガザ大量虐殺の中で迎える世界平和の時間
毎年12月31日の午後11時半から翌年1月1日の0時30分までは、「世界平和の時間」(Universal Hour of Peace)とされています。これには、戦争のない平和な世界の確立という願いが込められています。
「平和」とは非常に尊厳のある言葉です。そのことは、国連憲章の前文に「戦争の惨害から将来の世代を救い(中略)善良な隣人として互いに平和に生活」することをその目標に掲げていることからもわかります。そのため、同憲章第1条には国連の目的のひとつとして「国際の平和及び安全を維持すること」が記されています。国連憲章が平和を強調する理由も前文に「基本的人権と人間の尊厳及び価値」「生活水準の向上を促進すること」と記されています。
したがって、平和の確立と平和のうちに生活することは、人類および国際機関の最高の理想であると言っても過言ではありません。こうしたことから、毎年12月31日の午後11時半から翌年1月1日の0時30分が「世界平和の時間」(Universal Hour of Peace)と定められています。
しかし、これには重要な疑問があります。果たして今日の世界は平和を享受しているでしょうか? この答えは確実に否です。このことを証明するのは、国連のグテーレス事務総長の先日の表明です。グテーレス氏が29日にビデオメッセージの中で、「2023年は大きな苦しみと暴力の年だった。人類は苦しんでいる」と語った。グテーレス氏はこの中で、「人々は日々増大する貧困や飢えにより厳しい状況にある」とし、「戦争や無差別の暴力が増えており、信頼が低下している」と述べました。
もうひとつ重要な疑問は、なぜ平和が遠のき、戦争が増えているのかということです。その最大の理由は西側諸国の行いであると言えます。ウクライナとガザは、平和が西側諸国やシオニスト政権の利益のために犠牲にされた好例です。しかし、ガザで現在起きていることは、平和が西側諸国にとって優先事項でないばかりか、平和の確立を阻止してさえいることを明瞭に示しています。
シオニスト政権によるガザ攻撃開始から間もなく3カ月が経ち、この間にジェノサイドや人道に対する罪が発生しました。これまでに2万1600人以上のパレスチナ人が殉教したほか、5万6000人以上が負傷しています。そのうちの7割が女性や子供で占められています。女性や子供は戦時下にあっても安全が保証されなければならない存在ですが、シオニスト政権は意図的に彼らを攻撃の対象としています。
こうした中、国連安保理はイスラエルによるガザ攻撃を止めるに至っていません。それはアメリカがあらゆる停戦決議案に反対し、シオニスト政権を正式に支持し、ジェノサイドを自衛権だとして擁護しているからです。こうした中で間もなく世界平和の時間を迎えようとしており、その間にもシオニスト政権はガザへの攻撃を続けるのです。