インフルエンサーの投稿にみるイスラエルの焦り
イスラエルの自称ジャーナリスト、エイディ・コーヘン氏は、ハマスのハニヤ政治局長がイランで暗殺されて以降、Xでその活動を活発化させています。
【ParsToday西アジア】イスラエルはガザで10カ月以上にわたり虐殺を行っていますが、自ら掲げた「人質奪還」「ハマス壊滅」という目標はいまだ達成できていません。そうした苦境を補うためか、コーヘン氏のようなシオニストインフルエンサーはSNSでイスラエルの現状が順調であるかのような言説を展開しています。
ここでは、コーヘン氏の投稿の中からいくつかをピックアップし、その手法を明らかにしていきます。
はったり
イスラエルでは連日、ハマスとの停戦交渉による人質解放を求めるデモが行われているほか、止まらない市民の海外流出、政府内の対立など問題に事欠きません。コーヘン氏は、そうした状況を一切無視して、イスラエルの現状があたかも安泰であるかのように吹聴します。
「ネタニヤフ氏の家を訪れる者には安寧が、ハーメネイー氏の家を訪れる者には吉報が待っている」
ムスリムに対する分断工作
コーヘン氏は、ムスリムあるいはアラブ住民の分断を図る投稿もしています。
「スンニ派ムスリムは、イスラエルではなくイランが自分たちにとっての脅威だと知っている」
「サウジアラビアはハニヤ氏暗殺を喜んでいる」
もっとも、こうしたコーヘン氏の思惑に乗ることなく、賢明な批判を展開するムスリムは数多くいます。
アラブ系への差別
コーヘン氏は、パリ五輪でのメダル獲得数を引き合いに出して、アラブへの差別を展開しています。
「アラブ諸国は22カ国あわせてせいぜいメダル2、3個。偉大なイスラエルは6個」
隠せない苛立ち
コーヘン氏は時折、苛立ちを隠そうとするあまり、不自然なまでに笑いを見せようとします。
「(パレスチナ人に向けて)これが君たちが持っているすべてだ。ハマスのどこが勝っているのか聞かせてくれ(笑い)。ハマスは報復できない。テルアビブに1発のミサイルも撃つことはできない。これが戦略的忍耐というものか?(笑い)」
ネタニヤフ擁護
イスラエル市民を対象にした世論調査で、回答者の7割以上が辞任すべきと答えるネタニヤフ首相。コーヘン氏はそのネタニヤフ首相についても無理のある擁護論を展開します。
「ネタニヤフ以外に男はいない。F35に勝る剣はない。ネタニヤフは中東の司令官だ」
「(米議会での)ネタニヤフ首相の演説以降、対米関係は一変した。米国の民主・共和両党の議員が、昼夜問わずネタニヤフ氏の靴をなめ続けている」
エイディ・コーヘンとは何者か?
コーヘン氏はイスラエルの公的ポストには一切就いておらず、その活動は専ら上に挙げたようなSNS投稿です。父親はイラン系で、イスラエルのスパイとして活動していたことが発覚し処刑されました。兄弟の一人も同様にシリアでスパイ活動が発覚し、処刑されています。このような背景を持つコーヘン氏が、イランや抵抗組織に敵意を持ち挑発的な言動を繰り返すのは、ある意味自然なことと言えます。
自らを優位に見せるため、差別的な言動やデマを用いるのはイスラエルの常套手段です。イスラエルは70年代にもアラブ諸国と戦争をしていましたが、ここまで幼稚な真似はしませんでした。ハマス壊滅という目標を達成できずにいる今、その焦りがこうした言動に駆り立てていると言えそうです。