Pars Today

イスラエルは開戦当初から、西側のメディア帝国主義の大々的な支持を受け、被抑圧者を自称して一定期間は自らの陰謀計画を推進し、卑怯な戦闘の舞台での勝者・正当な権利者を自称しました。しかし、イスラエルを支持していた過激派メディアも自身のメディア上の権威喪失への恐れから、その親イスラエル的な声のトーンを控えることになりました。

昨年10月7日の対シオニスト作戦開始記念日から、既に数日が経過しています。一部では、戦争の勝者と敗者という区分での評価査定がなされています。表向きには、複数の場所の破壊、ポケベルの爆発、敵対勢力の指揮官や政治家の暗殺といった一部の戦術的措置によって、多くの人々の間に「イスラエルはこれまでに多くの目標を達成した」という意識を生み出したように見えます。パールストゥデイによりますと、国際情勢アナリストのアスガル・ゼバルジャディ氏は、イラン日刊紙のジャーム・ジャム紙の社説でこうした主張を強く否定し、この分野におけるイスラエルの戦略的失敗について以下のように言及しています。

戦略1：勝者の偽装

第１の戦略は、勝者を偽装することです。一部の思想家は、現代世界を「メディア麺の吹き込みの世界」だとしています。戦場での勝利は、吹き込み能力の高い国のものになります。問題は正しいか誤りか、真偽の如何ではなく、世論における影響力なのです。シオニスト政権イスラエルは開戦当初こそ、西側のメディア帝国の広範な支援を受けて自らの陰謀計画を推進し、一定期間は被害圧者を偽装して、卑怯な戦闘の場の勝者かつ正当者を自称し、これを吹聴しました。しかし、犯罪と残虐行為が激化し続け、それが極限に達したことからイスラエル政権を支持する過激派メディアも、メディアとしての権威失墜への恐れからこの政権への支持を減らし、事実上反イスラエル的なプロパガンダに戻るという事態にまで至りました。そして今や、イスラエルは国際世論において最悪の状況に立たされています。

戦略2：抵抗組織の長の抹殺

　2番目の戦略は、抵抗組織のネットワークの指導者を抹殺することです。武装組織や抗議者のネットワークに対峙する際、指導者の抹殺・排除という行為は、そうした勢力組織の弱体化や破壊に繋がります。しかしこうしたやり方は、抵抗運動への対処法としては非常に間違った選択であるといえます。抵抗勢力は高い精神性、価値観、国民および国際的な動機を持ち、しかも近年においては構造化、組織化されてきました。その一例として、過去1年間においてイスラエルがパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスを完全には殲滅しきれず、同組織の様々な階級の司令官や指導者らの完全な抹殺に失敗していることが挙げられます。そしてこの戦略の事実上の失敗により、新たな指導者が再出現してくるという結果になりました。

戦略3：占領地周辺での緩衝地帯の設置

　3番目の戦略は、イスラエル占領地周辺に緩衝地帯を設けることです。物理的・地理的な視点で抵抗勢力間に距離・間隔を設けることは、ある意味で抵抗勢力を誤って理解・認識していることになります。占領者の物でない土地に距離・間隔を設けるのは、抵抗勢力側の土地で遊ぶことに等しいのです。

戦略4：戦費共有を目的とした地域・世界への危機分散

　4番目の戦略は、危機を世界や周辺地域に分散させ、戦争にかかる費用を他者と共有することです。こうした決定は、戦略的ではなく戦術的な性質を有しています。おそらく、この手法の最初の段階では各国も危機を阻止するため妥協するかもしれません。しかし、後には確実に彼らの重要な問題・戦略と化し、彼らはその根本的な解決のために行動する必要に迫られます。これまで、本物でない見せかけの和平方法は地域で受け入れられておらず、この戦略の成果は、将来的に地域諸国がシオニスト政権イスラエルという政体を畳むしかない、ということで見解一致をみる、ということになると思われます。

戦略5：市民への抵抗組織への対抗の奨励、二重基準の形成

　5番目の戦略は、人々を傭兵として抵抗組織に対抗させ、様々なダブルスタンダードを形成させるというものです。（イスラエルの長である）彼は、「抵抗組織は地域における平和・平穏の欠如の元凶である」と吹き込み、民間的ルーツを持つ抵抗組織の様相を破壊しようとしています。「過去に対する人々の認識が大きく異なってきており、彼らはまさに、地域における危機の元凶がシオニスト政権イスラエルという不吉ながん細胞であることを認識している」という現実に、彼は気づいていないのです。このような戦略を選んだことで、地域や世界では反イスラエル潮流が形成され、そしてこうした潮流が非常に急速であることから、アラブ諸国の政権はパレスチナ不支持やその結果としての自らの地位の動揺を理由に、自分たちに対する本格的な市民抗議の波の形成を危惧しているのです。

戦略6：戦争を継続・拡大すること

　そして6番目の戦略は戦争を拡大することです。シオニストが牛耳る政権・イスラエルはもはや、戦略的に奥深い要素が欠如していることは百も承知です。しかし、今や抵抗戦線は広範囲に及んでおり、イランからイエメンに至るまで幅広く深い戦略性をも持っています。

　そのため、（イスラエルは）空軍を頼みにして、効果が限られた戦術的作戦の実施に訴えています。シオニストらは、本腰を入れるべきは地上戦である事を熟知しています。今はまだ、地上戦にまでは至っていませんが、件の彼が最も恐れているのはその地上戦なのです。抵抗組織との様々な戦線における彼の多様な紛争により、イスラエルは情報・軍備・政治面で疲弊してきています。

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