イランの攻撃で破壊されたイスラエルの経済・戦略拠点
(last modified Thu, 26 Jun 2025 09:30:23 GMT )
6月 26, 2025 18:30 Asia/Tokyo
  • イランのミサイル攻撃で破壊されたテルアビブ市内
    イランのミサイル攻撃で破壊されたテルアビブ市内

13日から始まったイランによるミサイル攻撃で、イスラエルの7つの経済・戦略拠点に多大な損害が生じました。

【ParsToday西アジア】カタールのアルジャジーラによると、イスラエルは軍事的な危機に加え、その歴史の中で最も厳しい経済状態の1つを経験しているといいます。イランに対する戦争の開始以来、イスラエルの主要な企業や経済セクターは、事業停止や外資の急激な減少、株価の下落、そして観光業、技術、エネルギーといった戦略的なセクターの麻痺など、日々増大する困難に直面しています。ここでは、その7拠点を紹介します。

 

バザン石油化学会社

バザンはイスラエルの主要石油精製企業です。北部ハイファに本社を構えるこの企業は、石油精製・石油化学製品の製造が主要事業で、エネルギーセクターの重要な柱となっています。イランによるミサイル攻撃は、この企業の精製所に大きな損害を与え、その活動を停止させました。攻撃による爆発の映像が流れ、同社の拠点で激しい爆発が起こったことが確認されています。

 

シェブロン社

シェブロンは地中海上のタマールとリヴァタンという2つのガス田の管理を行っており、リヴァタンはイスラエル最大のガス田で、イスラエルのガス生産の40%以上を占めています。イランのミサイル攻撃により、リヴァタンガス田に重大な損害が発生しました。エネルギー省もこれを確認しており、ブルームバーグも報じています。

 

インテル(クリアット・ガット工場)

インテルのクリアット・ガット工場は、イスラエルの主要な工場で、数千人の従業員を抱えています。ガザ戦争の最中、約15%の従業員が軍の予備役に召集され、戦場に送られました。

 

エル・アル航空

イスラエルのフラッグキャリアであるエル・アル航空は、イスラエルのイランへの攻撃後、すべての便を停止し、ベン・グリオン空港とイスラエルの空域は封鎖されました。この影響で、エル・アルの株価は3.5%下落しました。

 

ベズク・グループ

ベズクはイスラエル最大の通信グループであり、広範な通信サービスを提供しています。この企業は、ガザ戦争中に発生した損害(2024年には約1450万ドル)と、戦争開始以来繰り返し受けているサイバー攻撃によって大きな影響を受けました。2023年には、イスラエルの株式市場に上場している企業に対して3380件以上のサイバー攻撃が行われ、その年間総コストは32億ドルに達しました。

 

スタートアップ企業

イスラエルのスタートアップ企業は、ガザ戦争と国際的な投資の減少により前例のない危機に直面しています。外国からの投資はほぼゼロに近く、この状況が多くの企業の閉鎖や活動縮小を引き起こしています。例えば、農業技術分野の企業「スピーク」は500万ドルの予算を使い果たし、さらに400万ドルの新しい資金調達ができなかったため閉鎖されました。技術企業「ギストMD」も、650万ドルの予算を受けていたものの、資金不足と市場の欠如から閉鎖されました。

 

観光業

イスラエルは、2023年10月から始まったガザ戦争以来、観光収入の前例のない減少と34億ドルが生じているとされています。イスラエル観光省の統計によると、戦争開始以来、イスラエルに訪れた観光客数は90%減少しています。

航空輸送の麻痺や情勢不安が主な原因であり、イスラエルのホテル業者グループは、一部の地域ではホテルの稼働率が10%にまで低下したと報告しています。通常、イスラエルのホテルは80%以上が満室であることが多いものの、戦争が始まってからは大きな影響を受けています。

また、イスラエルの空域は完全に閉鎖され、何千人ものイスラエル市民がキプロスに逃げるためにボートで出国したことも報告されています。

このように、ガザ戦争とイランによるミサイル攻撃は、イスラエルの主要な企業や経済セクターに深刻な損害を与えており、今後の影響は長期にわたる可能性があります。

 


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