イスラエル、ガザ市民のアフリカ移送を検討?
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ガザでは、市民がイスラエル軍による銃撃だけでなく、飢餓や渇水のために毎日多くの命を落としています。その一方で、イスラエルはガザの住民の強制移住先として、複数のアフリカ諸国と交渉を行っていると報じられています。
(last modified 2025-08-16T12:17:38+00:00 )
8月 14, 2025 18:48 Asia/Tokyo
  • イスラエル、ガザ市民のアフリカ移送を検討?
    イスラエル、ガザ市民のアフリカ移送を検討?

ガザでは、市民がイスラエル軍による銃撃だけでなく、飢餓や渇水のために毎日多くの命を落としています。その一方で、イスラエルはガザの住民の強制移住先として、複数のアフリカ諸国と交渉を行っていると報じられています。

【ParsToday西アジア】ガザ住民の強制移住先として、イスラエルは南スーダン、リビア、エチオピアなどを候補として挙げているとされています。

ガザの住民を他国に強制的に移住させるという問題は、特に最近、イスラエルが強調している政策です。かつては一部の大イスラエル主義者の妄想として扱われていましたが、ガザ戦争が勃発し、トランプ米大統領がこれをガザの危機解決策として提案したことをきっかけに、この構想は次第に実際的な戦略へと変わり、今やイスラエルは地域の政治的および人口的なバランスを変えることを目論んでこの計画の実行を目指しています。

この計画は、ガザのパレスチナ人やパレスチナ支援国の強い反対に直面しており、米・イスラエルが考える移住対象国はこの計画を拒否し、パレスチナ人の土地に留まる権利を強調しています。また、多くの人権団体は、パレスチナ人を自国から追い出すことが戦争犯罪になり得ると警告しています。それでも、イスラエルはこの政策の実行に固執し、現在、いくつかのアフリカ諸国がガザ住民の強制移住先として検討されています。

これらの国々が選ばれた理由は様々です。一つは、地理的な近さとガザへのアクセスのしやすさです。アフリカのいくつかの国は他の地域よりガザからの距離が短く、移住させるコストが低くなるとみられています。さらに、アフリカの多くの国々は、西側諸国、特にアメリカからの経済的支援を得ることを期待しており、イスラエルの要望どおりガザ住民を受け入れることで、アメリカや西側からの経済的および技術的支援を活用したいと考えています。

現在、イスラエルとその西側支持国は、新たな形態の植民地主義として、いくつかのアフリカ諸国の経済的および政治的問題を利用し、パレスチナ人の強制移住計画を実行しようとしています。しかし、多くのアフリカ諸国はこの計画に反対しており、拒否しています。

それでも、報道によると、イスラエルと南スーダンとの間でガザ住民を受け入れるための前向きな交渉が行われていることが伝えられています。なぜ南スーダンはイスラエルとの交渉を続けているのでしょうか?

南スーダンは2011年にスーダンから分離し独立した国で、アフリカ大陸の中でも経済的および安全保障上、脆弱な状況にある国の一つです。この国は独立後、長期にわたる内戦や人道的危機、経済的問題に直面しています。それにもかかわらず、近年、南スーダンはイスラエルとの関係を深めており、ガザの住民を受け入れることを、イスラエルとの関係を強化し、そこからさらに支援を受ける機会として捉えているようです。

ガザ住民の強制移住計画が実現すれば、イスラエルはガザ地区の占領を確実にし、さらにアフリカでの影響力を拡大するチャンスを得ることになります。

こうしたイスラエルの野望に対し、アムネスティ・インターナショナルは「ガザ住民の強制移住は人権の原則および国際法に反し、パレスチナの人々にとって悲惨な結果を招く」と警告しています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長も声明を出し、「ガザはパレスチナの不可分の一部であり、パレスチナ人は自分たちの土地で生きる権利を有している」と強調しました。そして、ガザの住民を強制移住させることは民族浄化であるとし、この政策を拒絶しています。

また、アフリカの多くの国々は、かつて植民地支配や内戦、地域紛争を経験した歴史を持ち、現在ではこのような政策を受け入れる余力はありません。

このため、イスラエルの構想は最終的に失敗するだけでなく、西アジア地域での人道的危機と不信感を強める結果となるでしょう。また、イスラエルのアフリカでの影響力拡大がこのような計画によって進められれば、アフリカ大陸に新たな危機を引き起こし、その複雑さや問題をさらに悪化させることになるでしょう。

 


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