パレスチナの子供たちはUEFAの宣伝手段と化しているのか?
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イタリアで行われたフランスのパリ・サンジェルマンとイングランドのトッテナムによるサッカーの2025年UEFA欧州サッカー連盟スーパーカップ決勝戦は、例年とは一味違う光景となりました。
(last modified 2025-08-17T03:51:37+00:00 )
8月 17, 2025 12:43 Asia/Tokyo
  • パレスチナの子供たちはUEFAの宣伝手段と化しているのか?
    パレスチナの子供たちはUEFAの宣伝手段と化しているのか?

イタリアで行われたフランスのパリ・サンジェルマンとイングランドのトッテナムによるサッカーの2025年UEFA欧州サッカー連盟スーパーカップ決勝戦は、例年とは一味違う光景となりました。

英ロンドンに拠点を置き、西アジアのニュースを主に報じるオンラインニュース・ミドル・イースト・アイは最近、「イタリアのウーディネで行われた2025年UEFAスーパーカップ決勝、パリ・サンジェルマン対トッテナム戦の開始前、パレスチナ難民の子どもたちがピッチ上に「子どもと民間人の殺害を阻止しよう」というスローガンを書いた大きな横断幕を掲げ、この行動は瞬く間にメディアやSNSで大々的に報じられています。

【ParsToday国際】大会主催者・UEFAが公式ページにおいて、このメッセージは「明確かつ明白」であると説明した一方で、反応を見ると多くの人がこのような見解を有していないことが明らかになりました。

人権活動家やサッカーファンは、UEFAがこの措置により「倫理を装ったジェスチャー」と「見せかけの行為」に訴え、ガザでの民間人殺害に関するシオニスト政権イスラエル政権への直接的な責任追及を拒否している、として非難しています。
 

「加害者を明示せずに犯罪名を公表するのは卑怯」

国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルUK(アムネステイ英国支部)は、UEFAの行動を「卑怯だ」と評しました。パレスチナ医療支援局長のローハン・タルボト( Rohan Talbot)氏は、「このメッセージは誰に向けたものか? 誰が子どもたちを殺しているのか? 誰が民間人を標的に攻撃しているのか?」との疑問を提起しています。

 

国際人権NGOアムネスティがUEFAを批判

 

パレスチナのシンクタンク・アルシャバカのアナリストで作家でもあるタリク・ケニー=シャワ(Tariq Kenney-Shawa)氏も、痛烈な批判を繰り広げ「イスラエルは曖昧で意味のないスローガンを掲げ、平和を支持すると主張しながら、子供や民間人を殺害している。最低でもイスラエルを名指しし、UEFAの大会から追放すべきだ」とコメントしています。

 

パレスチナ人の子供たちの出席は「プロパガンダ」か?

今大会のメダル授与式にはUEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長に加え、パレスチナ難民の子供たち2人も出席しましたが、このことも強い批判を浴びました。

スポーツジャーナリストのレイラ・ハメド氏はある記事において「これらの子供たちは難民である。それは、イスラエルが77年間もパレスチナ人の領土を占領し、人々を流離の身に追い込んできたからである。あなた方は、侵略者への支援を続けながら彼らを舞台に上げることはできない」とコメントしています。

批評家らは、「この行動は単なる「見せかけ」に過ぎない。それは特に、試合の翌日にはイスラエルのサッカーチーム、マッカビ・テルアビブがヨーロッパの大会に出場していたからだ」と強調しました。ジャーナリストのアハメド・エルディン氏も鋭く反応し、「パレスチナの子供たちを見世物にしておきながら、イスラエル占領軍を象徴するチームにUEFA旗の下でプレーさせるなどあり得ない」と綴っています。

 

ジャーナリストのアフマド・エルディン氏によるツイート

 

イスラエルとロシアに対するUEFAの対応はダブルスタンダード

批判の大部分は、UEFAの矛盾した行動に集中しました。SNSユーザーらの間では「ロシアがウクライナで特殊軍事作戦を開始した後、直ちに大会への参加を禁止されたのに対し、イスラエルはガザでの流血戦争を繰り広げているにもかかわらず、依然として欧州の大会への参加を許可されている」と指摘されています。

 

イスラエルとロシアに対するUEFAの矛盾した対応をめぐるユーザーのツイート

 

あるユーザーは「あなた方はガザ問題に関して2年間も先延ばしにし、現時点で無意味なメッセージしか発信していない。そのくせ、ロシアに対しては断固として迅速に行動を起こした」と投稿しました。

 

「モハメド・サラー効果」と世論の圧力

この試合の数日前、英イングランド・リヴァプールFCのエジプト代表スター、モハメド・サラー選手は、パレスチナ人サッカー選手スレイマン・アル=オベイド選手がイスラエルの攻撃で殉教したことに言及せずに同選手を称賛するという、UEFAの行動を批判しました。多くの人々の間では、ガザの子どもたちを支援するために複数の慈善団体との提携を発表するといったUEFAの最近の行動は、こうした反応と「サラー効果」による圧力の結果であると考えられています。

モハメド・サラー選手の行動に関する批評家ヘンリー・ウィンター氏のツイート

 

パレスチナ・サッカー協会によれば、イスラエル軍によるガザ攻撃で少なくとも400人のサッカー選手が死亡した他、スタジアムからクラブまで約300のスポーツ施設が破壊されました。

 

結論

UEFAスーパーカップでの「子どもの殺害を阻止しよう」という横断幕が掲示されたことは、UEFAが共感を示すための試みだった可能性もある一方で、多くの人々にとっては単なるプロパガンダであり「空虚なショー」に過ぎないと受け止められています。世論や人権活動家は、漠然としたスローガンを掲げる時代は終わり、今こそ「真の行動」を起こすべき時だと主張しています。特にイスラエルは、ロシアの場合と同様に欧州の大会から追放されるべきなのです。

 

 


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