米国がベネズエラに対する戦争状態をエスカレートさせた理由とは?
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アメリカが再び、中米カリブ海地域における軍事駐留を強化しました。
(last modified 2025-12-24T20:36:19+00:00 )
12月 25, 2025 03:57 Asia/Tokyo
  • 米国がベネズエラに対する戦争状態をエスカレートさせた理由とは?
    米国がベネズエラに対する戦争状態をエスカレートさせた理由とは?

アメリカが再び、中米カリブ海地域における軍事駐留を強化しました。

【ParsToday国際】米国は先般、地域における軍事的選択肢の拡大を目的に、カリブ海地域に航空機やその他の軍事装備を増派しました。米国当局者によれば、同国特殊部隊が使用するCV-22オスプレイは少なくとも10機が米南部ニューメキシコ州の空軍基地からカリブ海地域に向けて飛行しました。また、C-17輸送機もジョージア州フォート・スチュワート空軍基地とケンタッキー州フォート・キャンベル空軍基地からプエルトリコに到着しています。

米国は、南米ベネズエラの原油輸出を妨害し、同国のマドゥロ大統領に対する政治的圧力を強めるため、カリブ海における軍事駐留を強化しています。これに対し、ベネズエラは海賊対策・封鎖対策法案を可決しました。これは、米国の行動に対する対抗行為の法的正当性を確立し、国内の結束を強化するための措置とされています。この状況は、ベネズエラ危機が新たな段階に入ったことを意味し、両国間の直接的な軍事的および法的対立がこれまで以上に現実味を帯びていることを意味します。

実際、カリブ海地域における米国の軍事駐留の強化は通常の行動、あるいは単に標準的な軍事手順の一部とみなすことはできず、中南米におけるアメリカの覇権主義的かつ介入主義的な政策の枠組みの中で分析される必要があります。

米国は歴史を通じて、自国の経済的、地政学的利益が脅かされるたびに、速やかに軍事力を投入して地域の独立した政府を威嚇し、世界中の敵対国に明確なメッセージを送ることを繰り返し示してきました。

米国は当初、麻薬密輸との闘いを主張し、その攻撃的な行動を人道的使命として提示することで世論を欺こうとしましたが、現在ではその方針を公式に明らかにし、マドゥロ政権の弱体化を狙い、その打倒への下地を作ろうとしています。

現在の米国にとって最も重要な動機の1つは、ベネズエラのエネルギー資源です。ベネズエラは世界有数の石油埋蔵量を誇る国であり、同国がエネルギー資源の管理において政治的独立を維持していることは、常にアメリカの怒りを買っています。長年にわたりエネルギー市場の支配と安価な石油資源への容易なアクセス確保を狙ってきた米国は、ベネズエラ政府をこれらの目標に対する深刻な障害と見なしています。そのため、ベネズエラがより独立した政策を採用するたびに、米国は制裁、外交的圧力、さらには軍事的脅威で対応してきたのです。カリブ海における現在の軍事駐留の増強も、この戦略の一環と捉える必要があります。そしてその戦略の最終目標は、ベネズエラの政権転覆および、アメリカに従順かつ従属的な政府へと交代させることなのです。

トランプ米大統領は、この地域に大規模な艦隊を建設したと公言し、地上作戦開始の可能性さえ示唆しています。これらの発言は、米国が海上封鎖と経済的圧力だけでなく、直接的な軍事攻撃シナリオも視野に入れていることを裏付けるものです。このような脅迫は、アメリカが世界の多くの独立国に対して行ってきた政策、すなわち軍事力に基づく国際法無視政策の延長と言えます。

一方、ベネズエラは厳しい経済的圧力、広範な制裁、そして軍事的脅迫を受けながらも、政治的独立を主張し続けています。マドゥロ現政権は繰り返し、「ベネズエラによる麻薬密輸などという米国の主張は事実無根であり、このプロパガンダの主な目的は軍事介入へのお膳立てでしかない」と主張しています。ベネズエラは、これらの動きを今世紀最大の大陸単位の脅威・脅迫とみなし、「ベネズエラ国民は祖国を守る準備ができている」と警告しています。

ベネズエラは、海賊行為と海上封鎖に対抗する法案も可決しており、この法案は同国の内外情勢に重要な影響を及ぼしています、マドゥロ政権に対しては、米国とその同盟国の行動を航行および貿易の自由の侵害として提示し、制裁措置や海上封鎖への抵抗の正当性を高めるための法的・政治的手段を与えています。また他方では、アメリカの政策に協力したとされる反対派や集団の訴追を可能にすることで、国内の結束を強化しているのです。この法律はまた、国際社会とベネズエラの同盟国に対し、ベネズエラが法的手段を通じて自国の石油貿易を守る意思があることを明確に示しています。

ベネズエラの姿勢と行動は、同国が米国の圧力に屈する意向がなく、民衆の勢力と軍を動員してあらゆる侵略の可能性にも立ち向かう用意があることを示しています。マドゥロ政権は、ベネズエラ国民の政治的独立と自決権は譲歩の余地がなく、いかなる外国勢力もベネズエラに内政干渉する権利がないことを繰り返し強調してきました。この姿勢は、アメリカの覇権主義的政策に対峙するというベネズエラの真摯な決意を反映したものと言えます。

ベネズエラは確かに困難な状況にあるものの、独立の固守という同国民と政府の決意は、米国の目標実現を阻止する力となります。この戦いは、ベネズエラの運命だけでなく、中南米全体の未来をも決定づけると思われます。米国の侵略的な政策に抵抗することは、この地域の国々の肩に重くのしかかる歴史的な課題であり、その結果は国際関係の将来の方向性を決定づけるかもしれません。

 

 


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