シリアは第2のリビアになるのか?
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バッシャール・アル・アサド前政権の崩壊後のシリアが危機の時代に突入しており、地域問題の専門家の一部によれば、イランの近隣国の1つである同国は北アフリカ・リビアと同様の運命を辿る可能性もあると見られています。
(last modified 2025-11-01T05:18:37+00:00 )
11月 01, 2025 13:08 Asia/Tokyo
  • シリアは第2のリビアになるのか?
    シリアは第2のリビアになるのか?

バッシャール・アル・アサド前政権の崩壊後のシリアが危機の時代に突入しており、地域問題の専門家の一部によれば、イランの近隣国の1つである同国は北アフリカ・リビアと同様の運命を辿る可能性もあると見られています。

10年以上にわたり壊滅的な戦争に巻き込まれてきたシリアは、2024年12月のアサド前政権崩壊後は移行期に入り、非常に危険な局面を迎えています。

【ParsToday西アジア】イルナー通信によりますと、シリアの武装組織HTSタハリール・アル=シャーム(シャーム解放機構)の元指導者、アブ・ムハンマド・アル=ジャウラニ氏が現在、シリア統治者として中央集権的で安定した政府の樹立を目指しています。しかし、治安の不安定化、部族間の対立、外国からの干渉の兆候が強まる中、シリア情勢はムアンマル・カダフィ政権崩壊後のリビアに似たシナリオに近づきつつあるのが現状です。

リビアは2011年のカダフィ政権崩壊後、東西二つの対立する政府に分裂した状態にあり、それ以来は内戦、石油紛争、外国の影響に悩まされ、今やシリアにとっての警告的な例となっています。

構造上の類似点

レバノンの新聞「アル・アフバール」は、シリアにおける一連の安全保障上の課題について報じており、ジャウラニ現政権下におけるシリアの安全保障体制の有効性に深刻な疑問を突き付けています。シリア北西部イドリブ県のHTSをモデルとしたこの体制は、内戦中およびアサド前政権崩壊前までは数十の武装集団を統合していたとともに、イドリブ県を統治し、同国北部における攻撃部隊として機能していたことから、然るべき効力を発揮していたと見られます。

しかし、もはや活発な戦線が存在しない現状において、このモデルは危機に瀕しています。今日、武装勢力は経済プロジェクトから密輸ルートの支配に至るまでの資金源を巡って互いに競争し、同盟関係は脆弱化しています。中でも特に、米国がクルド人問題に関する対話に固執していること、シオニスト政権イスラエルによる南西部スウェイダ県のドゥルーズ派(イスラム教シーア派の一派)への支援、そして大規模な戦争の脅威がないことは、ジャウラニ氏指揮下の安全保障モデルが奏功していないことを物語っています。

一方、カタール国営衛星通信アルジャジーラ「シリアがリビアの二の舞を演じると警告される理由とは​​?」と題した記事において「リビアでは、アブデル・ハミド・アル=ドベイバ氏率いるGNU国民統一政府が首都トリポリを支配し、LNAリビア国民軍の指導者ハリファ・ハフタル将軍が東部と南部を掌握しているが、シリアもこれと同様の分断へと向かっている。シリアでは暫定政府が首都ダマスカスを支配しているものの、石油とガスの埋蔵量を持つ北東部は武装組織SDFシリア民主軍が掌握している」と報じました。アルジャジーラはまた「ハフタル将軍はアル=ジャフラとアル=ハディムの基地によりロシアの支援を受けている一方、シリア民主軍は米軍のレミラン・コニコの両基地への駐留と支援の甘い汁を吸っている。リビアと同様に、シリアにおけるこの資源の分断は将来の紛争につながるだろう」とも報じています。

ドイツ国際放送「ドイチェ・ヴェレ」も、「国連代表:シリアはリビアの二の舞化の危機に直面」と題する記事においてガイル・ペデルセン国連シリア問題担当特使の話として、シリアが「危機的状況」にあると警告しました。ペデルセン特使はまた「ジャウラニ氏は独裁的で閉鎖的な政権の樹立を防ぐべく、軌道修正すべきだ」と強調するとともに「暫定政府、クルド人、ドゥルーズ派の間の信頼の欠如は、シリアを再び内戦状態に陥れる可能性がある」と警告しています。

 

 


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