視点;サウジアラビアとG20サミット
(last modified Mon, 23 Nov 2020 08:21:20 GMT )
11月 23, 2020 17:21 Asia/Tokyo

サウジアラビアが、今月21日と22日に2日間にわたり、オンライン形式でのG20・主要20カ国・地域首脳会合を開催しました。

G20の構成国は、今回の議長国サウジアラビアのほか、アルゼンチンブラジルオーストラリア中国ドイツフランスアメリカイギリスインドインドネシアイタリア日本カナダメキシコロシア南アフリカ韓国トルコ、そしてEUの19の国と地域です。これらのメンバー国は、合計すると世界経済の80%、世界の総人口の3分の2を占めています。G20会合は毎年開催されるとともに、この会合にはIMF国際通貨基金や世界銀行、そして国連の各代表も参加します。

過去3年間は、G20開催に当たって何かと周辺に喧騒が絶えない状況が展開されていました。2017年ドイツ・ハンブルク会合、そして2019年の日本でのサミットは、中国を中心とした産業国に反発するアメリカ・トランプ大統領の政策をもろに受けた形での開催となり、そして2018年のアルゼンチンでの開催は、サウジアラビアの在米ジャーナリスト、ジャマール・カショギ氏殺害関与という、サルマン・サウジ国王の犯罪の衝撃がまだ色濃く残っていた中でのことでした。

これらの喧騒に続き今年は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延により世界が大きく混乱している中、初めてオンライン形式で主催されました。しかしG20開催はサウジアラビアを有利にさせる点があったものの、オンラインでの実施により開催国の首都であるリヤドに各国首脳が一堂に会しなかったことから、サウジアラビアのサウード王家、特にサルマン国王、政治の実験を握るムハンマド皇太子はG20構成国首脳の参加を利用できなかった一方で、サウジアラビアのサウード王家、特にサルマン国王、政治の実験を握るムハンマド皇太子はG20構成国首脳の参加を有効利用できず、他方では各国首脳の2者協議のチャンスもふいになりました。

今回の会合の協議の主軸となったのは、新型コロナウイルスの大規模な蔓延に対する共同での対策、並びに世界経済へのこのウイルスの甚大な影響の緩和でした。これに関して、この会議に参加した面々は、G20構成国が新型コロナウイルス対策に210億ドル以上を、世界経済への支援に11兆ドルを捻出すると表明しています。

サウジアラビアは今回、アラブ諸国として初めてG20会合の開催を担当しましたが、これは大きく非難されています。そうした非難の1つは、サウジアラビアがG20のメンバー国であることそのもので、すでに数年前から喧騒を呼び起こしていました。批評家らは、そもそもサウジアラビアには産業経済というものが存在せず、石油収入をベースとした不労収入で成り立った経済であり、G20加入条件を満たしていない、とされています。

もう1つの非難の焦点は、G20が根本的に経済面での本質や機能を有する組織であるにもかかわらず、サウジアラビア政府がこの会議を自らの政治目的、そして自らの暴力的なイメージの払拭に利用しようとしていることです。サウジアラビアを行政管理するサウード王家は特にこの4年間、国内外で大規模な人権侵害を引き起こしてきました。そうした例としては特に、王族内のメンバーや人権・公民権活動家の大規模な逮捕拘束、そして最近数十年間で最大の世界的な大惨事にまでなっている、およそ6年間に及ぶ対イエメン戦争、さらには、反体制派ジャーナリストのジャマール・カショギ氏の惨殺が挙げられます。

これらの事項に鑑み、ドイツ議会人権委員会は声明を発表し、サウジアラビアの王政下における人権状況への強い懸念を表明するとともに、民主主義的な改革や人権擁護を要求している反対派への法的な訴追や、一連の政治的措置を批判しました。

2018年から拘束されているサウジアラビアの女性人権活動家ルジャイン・アル=ハズルール(Loujain al-Hathloul)氏は、G20の構成国に対し、サウジ当局に収監中の活動家の釈放を迫るよう求めています。

こうした状況により、G20会議が世界経済の問題に対する措置を打ち出すのではなく、サウジアラビアなどの一部の国による政治目的の追求の場になってしまうのでは、との懸念が浮上しています。

 

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