欧州国境地帯での難民に対する暴力に新たな側面
西側メディアや各団体による複数の調査結果が、EU諸国の国境地帯で起きている難民への暴力の新たな様相を示しています。
難民化という現象とは、住んでいた土地を離れざるを得なくなることを指し、合法・非合法な形で自国での多くの困難から逃れるため、多くは欧州を目指して渡航します。
トルコとギリシャは、戦争から逃れ新しい生活を始めるため欧州を目指す移民たちの主な経由地点となっています。
スイスのSRF通信によりますと、オランダの調査機関「ライトハウス」が、ARD・ドイツ公共放送連盟や独紙シュピーゲル、仏紙ル・モンド、英紙ガーディアンと共同で2年間にわたって行った調査の結果、ギリシャが一部の難民たちに、他の難民たちを暴力的にトルコへ送還させていることがわかりました。
本来、EU圏内に滞在する難民は難民申請を開始する権利があり、難民の強制送還は違法とされています。
その一方で今回、そのような違法措置に新たな事実が判明した形です。
難民の違法な強制送還に関する話や報告は、以前から公表されていました。
被害を受けた人たちは、いかに力づくでギリシャやトルコ国境から追放され、拷問を加えてきた人たちが自分たちと同じペルシア語やアラビア語を話していたと様々に説明しています。
それによると、毎晩およそ150人がこのような形でトルコに強制送還されていたということです。
あるシリア難民は、これに関してシュピーゲル紙に対し、「自分は10回目にギリシャ国境を越えようとした際、警察に拘束され、その際、警察から人身売買の罪で収監されるか、難民を強制送還するため警察に協力し、その代価として30日間のEU圏内滞在許可を得るかを選ぶよう迫られた」と語りました。
この若い男性は、ギリシャとアルバニアの国境を流れるヴジョサ川で難民たちが溺れるのを目撃し、彼が警察に襲撃されると、オールを使って一人のアフガン難民を殴ったと話しています。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのビル・フレリック難民・移民担当部長は、EU本部がこのような違法措置に目を向けることを期待しています。
同氏によれば、EUはギリシャにあるEU圏外との国境管理に莫大な予算を投じているということです。
しかし、フレリック氏は状況が変わることにあまり希望を持っていません。
以前、国連のグテーレス事務総長は、世界の人々の強制移住を批判し、「これは難民危機ではなく、難民たちはこの問題の原因ではない。これは政治的危機であり、寄り添いと政治的意思によってのみ解決できる」と述べています。
その一方で、アフガン難民は40年以上前から現在に至るまで、治安悪化や失業、内戦を理由に移民となることを選択しています。