スペインで貯水池から中世の教会など出現、干ばつによる水位低下で
干ばつが続くスペインで貯水池の水位低下により、過去に水没した古代や中世の遺跡が出現しています。
フランス通信が4日日曜、報じたところによりますと、スペインの干上がった貯水池から、11世紀に建てられた教会が姿を現したほか、さらに水位が低下した別の貯水池からも、紀元前5000年にさかのぼるとされる環状列石の遺跡が出現しています。
また、北東部カタルーニャ自治州ビラノバデサウでは、貯水池の水位低下により、1960年代のダム建設で水没した村のサンロマ教会が姿を現しました。
この教会については今年2月に、一部が露出したとの報道がなされていました。
長年、水中に隠れていた教会を見に訪れた人は「これまで見えていたのは鐘楼だけでした」と語っています。
このほかにも、西部エストレマドゥラ州のバルデカニャス貯水池では、通常は水没している小島にある先史時代の環状列石の遺跡で、「スペインのストーンヘンジ」と呼ばれる、巨石数十個でできた遺跡「ガダルペラルのドルメン」が出現しました。
この遺跡は1926年に考古学者により発見されましたが、1963年の貯水池建設で水没していました。
スペイン環境保護省によりますと、干ばつが続くスペイン各地の貯水池の水量は、去る8月に満水時の36%未満にまで減少したということです。
なお、今年のスペインは記録的熱波の影響で山火事が多発しており、去る7月21日には北部アラゴン州と北西部ガリシア州で、東部バレンシア州で先月13日に落雷の影響で山火事が発生しています。
ヨーロッパ当局によりますと、スペイン国内で今年中に山火事により消失した面積は、東京23区のおよそ4倍に相当する27万5000ヘクタールに及んでいるということです。
今年7月に英科学誌ネイチャージオサイエンスに発表された研究では、今年はスペインの一部が過去1000年以上で最も乾燥した状態にあり、冬にはさらなる少雨も予想されている、ということです。