WHO幹部、「先進国のコロナ対策終了は時期尚早、低所得国支援を」
WHO世界保健機関のシニアアドバイザー、ブルース・アイルワード氏が、将来起こりうる世界的大流行を視野に、先進国は新型コロナウイルスを世界的問題として対処する姿勢を後退させるべきでない、と警告しました。
ロイター通信が英ロンドンから報じたところによりますと、アイルワード氏は23日金曜、「先進国がパンデミックは終わったと考えるのであれば、低所得国もその地点に到達できるよう支援すべきだ」と述べています。
アイルワード氏のこの表明は、ここ数週間でテドロスWHO事務局長やバイデン米大統領から、パンデミックの終わりが見えたという旨の発言が続いていることを受けたものです。
テドロス事務局長は今月14日、世界のコロナ感染状況を概観し「終わりが視野に入ってきた」、「ゴールが見えてきた。勝利できる状態にある」との見解を表明しました。
またバイデン大統領も今月18日、コロナ感染状況に関して「(米国では)終わった」と発言していました。
しかし次のパンデミックの被害を最小限に食い止める準備ができているとは言いがたく、ワクチンの開発・接種体制の継続が欠かせないのが現状です。
WHO報道官は、新型コロナの死者は今年だけでも100万人超に上っており「世界的には依然として、深刻な緊急事態だ」と指摘しています。
また、WHOとして最高度の警告を示す緊急事態宣言の継続の是非については、宣言発出後3カ月ごとに開かれる緊急委員会で検証されると説明しており、次回の緊急委は10月に開かれる予定です。
一方、欧米諸国の多くでは既にコロナ関連規制が撤廃されており、また日本でも最近、岸田文雄首相がコロナ関連の水際対策を巡り、10月7日より1日あたりの入国者数の上限の撤廃および個人旅行の解禁、短期滞在者の査証免除を発表しています。