なぜ米国はBRICSを恐れるのか?
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なぜ米国はBRICSを恐れるのか?
BRICSの成長とその拡大がグローバルサウス諸国に広がる中、米国は再びこれに対して警戒を示し、BRICSを単なる経済グループとしてではなく、米主導の国際秩序への脅威として見なしています。
【ParsToday国際】ホワイトハウスのキャロリン・レヴィット報道官は、「トランプ大統領はBRICSが米国の利益を弱体化させようとしていると信じている」と述べ、「米国とその国民が不正に利用されるのを防ぐために必要な措置を取る」と強調しました。
トランプ氏は自身のSNSに「BRICS加盟国の反米政策に賛同する国には、追加で10%の関税が課される。この政策に例外はない」と投稿しました。
米政府のこうした姿勢は、実際にはアメリカが新たな多極的秩序の形成に対する深刻な懸念を抱いていることを示しています。これは、もはや西側、特にアメリカの一方的な力の規則に従うことなく、無視されてきた国々の声を反映させた新たな世界の秩序を目指す動きです。
では、なぜアメリカはこれを懸念しているのでしょうか。長年にわたり、世界秩序はアメリカの金融・政治制度の支配の下で形成されてきました。小国は、アメリカが定めた枠組みの中で活動せざるを得なかったのです。そのような中、BRICSのように、アメリカの支配からの政治的・経済的独立を基盤とする組織が登場すると、アメリカの覇権に挑戦することになり、反発を招きます。最近のトランプ大統領の反応は、力の立場からのものではなく、むしろ深い恐怖から来ているものです。その恐怖とは、アメリカの一強的な秩序が崩壊し、アメリカの意向に従わない新たな多極的秩序が現れる可能性への恐れです。
このような状況で、BRICSは、当初ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国から成るグループに過ぎませんでしたが、現在では影響力を持つ地政学的ブロックとなっています。このグループは、ドルの支配に対抗し、国連の改革、独立した金融機関である新開発銀行(NDB)の設立、南南協力の促進を目指しており、実質的にはIMFや世界銀行のような西側中心の伝統的機関の代替を提供しています。
一方、アメリカは長年にわたりドルを有利に使い、制裁、関税、脅迫などの手段で世界との取引を自国に有利に進めてきましたが、ブリックスの台頭により深刻な障害に直面しています。最近のリオデジャネイロでのBRICSサミットでは、加盟国がドルに依存しない国際金融システムの必要性を強調し、商業取引での自国通貨の使用拡大を求めました。また、エジプトやアラブ首長国連邦などの国々が加盟したことは、この連合の影響力の拡大と、その地理的・政治的境界を越える拡大を示しています。
このようなBRICSの拡大は、アメリカをさらに懸念させている要因です。特にエネルギー資源を豊富に持つ国々が加盟することは、BRICSの国際機関における交渉力を高める可能性があります。また、BRICSが国連安保理の構造改革や投票制度の見直しを求めることは、アメリカとその同盟国の伝統的な支配に対する直接的な脅威となります。
一方で、アメリカは引き続き自国中心の経済自由主義を強調していますが、BRICSは現在の世界秩序が第二次世界大戦後にできたものであり、もはや多くの国々のニーズには応えていないと主張しています。この見解は、アメリカは自国の利益を最優先すべきだとするトランプ大統領とその支持者の考え方とは対立しています。トランプ政権にとって、BRICSは単なる独立した経済連合ではなく、アメリカを弱体化させる目的を持った対立的な構造であると見なされています。
実際、アメリカのBRICSに対する敵対的な立場は、国際秩序の未来に対する本物の懸念から来ていると言えます。かつて西側だけが支配していた世界は、今や新たな力を持つ国々によってバランスが取られつつあります。BRICSはアメリカとの対立を望んでいるわけではなく、むしろ現存する非効率的な構造の改革を求めているのです。しかし、米政府が対立的なアプローチをとる限り、より公正な国際秩序を作ろうとするすべての試みは抵抗に直面するでしょう。
このような状況の中で、アメリカは他国の力が強くなることを恐れるのではなく、新たな国際秩序の中での自国の位置を再評価する時期が来ているのかもしれません。その新たな秩序は、もはや単一の国の支配下にはないものの、各国間の相互作用とバランスの上に築かれるべきものです。