イスラエルは米なしには為す術なし;イランはこの依存にどう挑戦したか?
(last modified Mon, 14 Jul 2025 05:26:16 GMT )
7月 14, 2025 14:26 Asia/Tokyo
  • 米国抜きのイスラエルは為す術なし
    米国抜きのイスラエルは為す術なし

シオニスト政権イスラエル占領地・ハイファ大学の国際関係専門家が「イスラエルはアメリカの支援なしには何もできない」と語りました。

ハイファ大学の国際関係専門家、ベンジャミン・ミラー氏は「イスラエルはアメリカの支援なしに何かできるか?」との質疑に対し、一言「否」と答えました。

【ParsToday西アジア】アメリカは数十年にわたりイスラエルに軍事的優位性を提供してきたにもかかわらず、イスラエルは2023年10月以降に展開してきた戦争で、自らの脆弱性と目標達成能力の欠如を露呈した格好となりました。イスラエルはシオニスト政権として創設以来、軍事的優位性とアメリカの支援に頼ることで地域における影響力を拡大してきましたが、その影響力はあくまでも安全保障問題に限定されたものでした。

一昨年10月7日のパレスチナ側による対シオニスト攻撃「アクサーの嵐」作戦、これに続くガザ紛争、レバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーとの対立、そして特に最近の対イラン戦争は、イスラエルがいつの日か自立できなくなり、ネタニヤフ・イスラエル首相が主張するこの政権の地域大国化論が今や構造、政治、そして社会面の障害に直面しており、こうした障壁がイスラエルの軍事力を超えてしまっていることを物語っています。ネタニヤフ首相は対イラン戦争後「イスラエルは大国の仲間入りを果たした」と主張していました。しかし、ネタニヤフ氏のこの主張に対して想起されるのは、「我々は対イラン戦争の終結後、イスラエルをイランとの戦争から『救った』」とするトランプ米大統領の発言のみです。

 

イスラエルと地域覇権掌握への欲求

地域覇権とは、特定の地理的地域に影響力を持つ国を指す用語です。またその別の定義は「特定の地理的地域に属し、その地域を経済・軍事的に支配し、その地域および世界レベルで地域覇権を行使できる国」とされています。

アメリカの著名な国際関係評論家スティーブン・ウォルト氏は「地域大国は自らの近隣諸国に比べて非常に強力であるため、安全保障上の脅威に直面しておらず、いつ何時も真のライバルの出現を懸念する必要もない」との見解を示しました。さらにウォルト氏は、イスラエルがこれらの基準を全く満たしていないと強調するとともに、イエメンおよび、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスを例に挙げ、これらの勢力が2年近くにわたる戦争で広範囲にわたり破壊されたにもかかわらず、どのようにイスラエルに容易く対抗してきたかを指摘しています。

 

イスラエルの不能・無力ぶりを示す最も重要な兆候

イスラエルは米国なしではお手上げ;イランはこの依存にどう挑戦したか?


「イスラエルが決して地域の覇権を掌握することなく従属的な政権であり続ける」という説の最も明白な証拠は、以下の通りです;

 

軍事上の制限

イスラエルの2024年の軍事費は、これまで遂行してきた戦争の影響で65%増加し、465億ドルに達しました。これは、1967年の6日間戦争以来、シオニストが牛耳るイスラエル政権にとって最高額の軍事費となっています。こうしたコスト増大にもかかわらず、イスラエルによるガザ、レバノン、イランへの攻撃はハマスの弱体化にさえ繋がっておらず、ハマスはシオニスト政権との闘いを続けています。ブルガリアを本拠地とし複雑な国際問題を取り上げる雑誌「モダン・ディプロマシー」は報告書の中で「ネタニヤフ首相がこれほど戦果を主張しているものの、イスラエルによる2025年6月の攻撃はイランの核開発計画を阻止できなかった」と強調しています。2023年10月7日に「イスラエル安全保障研究所」が認めたところによれば、抑止力、警告、勝利という3つの基本層に基づくイスラエルの「軍事ドクトリン」は失敗しました。

イランのミサイル攻撃で破壊された占領地内の高層ビル


 

アメリカへの依存

ネタニヤフ首相の主張とは真逆に、イスラエルは軍事力の面で完全に欧米諸国に依存しています。これについて、アメリカの外交専門誌フォーリン・ポリシーは「イスラエルの進歩、特に軍事技術分野における発展はすべてアメリカによるものである」と指摘しています。また、イスラエル占領地ハイファ大学の国際関係専門家、ベンジャミン・ミラー氏は「イスラエルはアメリカの支援なしに何かできるのか」と問われ、一言「否」と答えました。イスラエルはアメリカから年間38億ドルの軍事援助を受けており、国連を含む国際舞台で無条件の支援を受けています。ミラー氏はさらに「アメリカからの軍事支援が途絶えれば、イスラエルは大きな問題に直面するだろう」との見方を示しました。

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地域的合法性の欠如

国際関係評論家のウォルト氏によれば、イスラエルはヨルダン川西岸地区と聖地ベイトルモガッダス・エルサレムの占領、ガザ紛争、そしてパレスチナ人へのジェノサイドという自らの行動により、国際世論の間で抑圧的な占領政権として認識されてきています。また、モダン・ディプロマシー誌によりますと、イスラエルと外交関係を結んでいる国々でさえ、それはイスラエルの覇権によってではなく、特定の理由と西側諸国からの圧力による関係樹立だということです。

 

 


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