視点
OPECプラスの減産決定、米の否定的な反応
OPEC石油輸出国機構および、これにロシアなどの非加盟産油国で構成されるOPECプラスが2日日曜、1日あたりの産油量を117万バレル削減すると表明しました。
さらに、OPECプラスは3日月曜に開催される月例会合において、1日あたり200万バレルの減産という従来の決定を今年12月まで据え置くことが予想されています。この場合、OPECプラスは同組織全体としての減産量が、世界全体の需要量の3.7%に相当する370万バレルに達することになります。
この決定はすぐさま国際石油市場に影響を及ぼし、原油価格は6%上昇しました。
西アジアにおける米の地域同盟国にも支持されたOPECプラスのこの行動は、アメリカの感情を逆撫でした形となりました。
報道各社は、サウジアラビアと他の5つのアラブ諸国が、この5月の初めから今年の終わりまで産油量の削減を決定したと報じました。これに関してサウジアラビア、UAEアラブ首長国連邦、クウェート、オマーン、イラク、アルジェリアは、1日あたり約117万バレルの自主的な減産に踏み切ると発表しました。この自主的な減産は、2022年10月5日に開催された第33回OPECプラス閣僚会議で合意された減産に追加されるものです。
バイデン米政権は2日日曜、OPECプラスの減産に不満を表明し、この決定は不適切で不合理であると表明しました。NSC米国家安全保障会議の報道官は、「市場の状況が不透明なため、現時点で減産は適切ではないと考えている。我々は、このことを明言してきた」と語りました。
世界市場への石油供給を削減し続けるというOPECプラスの決定は、実際には、ロシアに対する西側諸国の敵対的行動への反応であり、一種の対ロシア協力だと言えます。EU、G7、およびオーストラリアなど一部の西側諸国は、ロシア産石油に1バレル60ドルという価格上限を設定することで、ロシアの石油収入の大幅な減少を見込んでおり、またこうした国々の思惑ではこの措置によりロシアの軍事力が無力化すると見られています。
アメリカの政治専門誌・ポリティコは最近、ロシアの孤立化を狙ったアメリカの企みや工作が、かえってロシア主導の強力な反米同盟の結成につながったと分析しています。今や中国、ロシア、インド、サウジアラビアは以前よりも強力になっており、これらの国は一致団結して米国を打ち負かすことができる存在です。
米国の場合、OPECプラスの決定を受け2022年に石油供給が減少したことから原油価格が上昇し、その影響はガソリンと軽油の前代未聞の価格の上昇という形で現れました。その結果、アメリカでは過去40年間で最大のインフレが発生しました。
このため、バイデン米大統領とそのヨーロッパのパートナー国は、OPECプラス、特にサウジなどの影響力のあるメンバー国に、石油の増産および世界市場への供給を増やすことで石油価格を引き下げるよう繰り返し求めてきました。
しかし現在、サウジは、アメリカのライバル大国、すなわち中国とロシアとの前例のない関係拡大により、自らの国益をエネルギー分野におけるアメリカの利益とは別物だとして、アメリカのこの要求を無視するとともに、さまざまな口実でアメリカの要求を拒否しています。
この問題は、アメリカの当局者や議員らの怒りを招いており、彼らの中にはサウジへの処罰を求める者さえも見受けられます。
アメリカの度重なる脅迫にもかかわらず、サウジやOPECプラス加盟の他のアラブ諸国は最近の決定は、サウジにとって長期的な利益および、ロシアや中国との関係の重要性が増していることを示しました。
エネルギー専門家のJavier Blas氏は、「アメリカとその西側同盟国は、現代エネルギー史上初めて、米英仏独がOPECプラス内に同盟国を持たなくなったという事実に注意を払うべきだ」と語っています。
OPECプラスの減産により石油価格が7%上昇し、サウジアラビアやその他の産油国の石油収入が増加する可能性があります。こうした中、オーストラリア国立銀行のアナリストは、OPECプラスの産油量削減と中国の石油需要の増加により、今年の第3四半期には石油価格が1バレルあたり100ドルを超えるだろうと予測しています。