英研究、「ネコ科最大アムールトラにも個性」
ネコ科で最も大きいアムールトラ(シベリアトラ)も個体によって個性が違うとする研究結果が5日、英国王立協会ロイヤルソサイエティのオープンアクセスジャーナル「ロイヤルソサイエティ・オープンサイエンス」に掲載されました。
フランス通信が今月5日、報じたところによりますと、研究論文の共同執筆者であるLSEロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロザリンド・アーデン氏は、「トラは非常に個性的だ。トラの世話をしたり、詳しい人は個体ごとの個性を理解していることが分かった」と述べています。
これに関する研究は、中国で半飼育下にある二つの群れを対象とし、人間に使われる性格診断テストを応用し、毎日トラに関わっている獣医師と飼育員に、自信、誠実さ、いじめ、残忍性など70項目でトラの性格を評価してもらう、という形で実施されました。
二つの群れの結果から、両方の群れに「威厳」と「安定性」という二つの特徴を持つ個体がいることが明らかになりました。
「威厳」の評価が高かったトラは他の個体よりも健康的で、多く狩りをし、食事量や交尾の回数も多くなっており、こうしたトラは、回答した獣医師や飼育員から「群れの中で高い地位にいる」と見られていました。
一方、協力的で優しいことも、進化の過程においては利点があり、「安定性」が高いトラは他の個体よりも優しく、誠実で、愛情深かったということです。
このような性格の違いは、トラの子どもが母親と2~3年という長い期間を過ごすことと関係している可能性があるとされています。
その一方で、性別による性格の違いはほとんど見られず、父親トラも子育てに参加していました。
この点に関して、アーデン氏は「トラとして成功するためには支配的でどう猛で、競争を好み、攻撃的である必要はないということが分かって良かった」と述べました。
アムールトラは密猟と生息地の喪失によって絶滅の危機にひんしており、野生ではわずか500頭ほどしか残っていないということです。