ハイチで住民がギャングを処罰、投石し生きたまま焼殺
中米カリブ海の島国ハイチの首都ポルトープランスで24日月曜、市民らがギャング組織の構成員とみられる十数人に投石し、焼殺しました。
フランス通信が25日火曜、報じたところによりますと、目撃者の話では、ギャングの構成員は現地時間の24日未明、市内数か所の住宅街の民家に押し入り、襲撃しました。
また住民の1人は、「午前3時にギャングがやって来てきて、銃撃が起きた」と証言しています。
実際に市内の大部分は組織犯罪組織に支配されているとともに、ハイチはここ数か月、ギャングの暴力、治安の悪さ、広範囲にわたる誘拐に悩まされています。
首都ポルトープランスでは、200を超える武装犯罪集団が取り締まりを完全に逃れた状態で活動していると推定されています。
また、ロイター通信によりますと、警察は「武装した複数人が乗っていたマイクロバスを捜索し、武器などを押収した。さらにこの車両で移動していた10人以上が、住民によるリンチ(私刑)で殺害された」としています。
ネットで拡散された画像や動画からは、ギャング構成員と思われる少なくとも3人が白昼に殺害され、焼かれた様子が見られます。
ハイチでは2021年以降、犯罪組織の力と影響力が大幅に増大しており、特に同年7月にジョブネル・モイーズ大統領が暗殺されて以降、同国の大部分がこうした組織に支配され、実質的に国内は無法状態となっています。
ハイチの国内情勢は食料と燃料の不足、ギャングの暴力の増加、コレラ発生により、警戒状態にあります。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は報告書で、武装したギャング同士の縄張り争いが首都圏全域に拡大し、これまで影響を受けていなかった地域にも広がっていると指摘した上で、「死者数とギャングの支配下に置かれた地域が広がり、首都の治安の悪化は紛争下に近い状態にある」と述べました。
なお、グテーレス国連事務総長は昨年10月、ハイチのアリエル・アンリ首相の要請を受け、安保理に現地警察が秩序を回復できるよう支援を求めていましたが、今回の事件を受け「国際的な専門部隊の即時配備を改めて要請する」としています。
ハイチで確認された殺人件数は、昨年の第4四半期は673件だったのが、今年の第1四半期には815件と、ここ数か月で21%増加し、誘拐件数も391件から63%増の637件に拡大しています。
国連のハイチ担当人道調整官の報告によれば、同国でのギャングの抗争による死者は4月14~19日で70人近くに上り、うち少なくとも2人は子どもだったということです。